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Vol.23 中條淳子さん
食物アレルギーの子どもに 食べる幸せを…SWEETS AID

  • 2013年2月1日

東日本大震災とアレルギー対応のお菓子

東日本大震災とアレルギー対応のお菓子  そんなある日、東日本大震災は起こりました。テレビに映し出される映像の中に避難所の様子、どこの避難所も菓子パンやおにぎりがあるかないかの状態。中條さんは、店に来る食物アレルギーの子供たちをふと思った時、子供たちが一時的にでも食べられるものがないと思ったのです。
 即座に店頭販売していた焼菓子を避難場所に送ろうと決めたのはよかったのですが、もちろん送る手段がありません。色々なところにコンタクトを取り、やっとのことで阪神大震災の時アレルギー患者に物資を運んだことから立ち上がった大阪のNPO日本アトピー協会と連絡がつき、大阪府の支援物資の荷物と一緒に現地のアトピーの方々向けの物資として送ることができたそうです。

 

「アレルギー対応食…届けて」当時の新聞記事
「アレルギー対応食…届けて」当時の新聞記事
 「震災発生直後から現地の流通事情が落ち着く6月末ごろまで、協会を通じてお菓子をお送りしました。ただでさえ混乱している最中、アレルギーの方だけに向けて物資をお送りすることは現地の支援がなければできなかったことです。私どもは、お菓子を作ってNPO日本アトピー協会にお願いするだけでしたが、協会では、陸路が回復するまで自動車は現地に入れないため、今回はバイク愛好者の緊急時ボランティア組織『SAVE岩手』のお世話になったそうです。
 患者団体は、比較的縦割りで横の連携をつなぐのが難しいようですが、各地には国立の“こども病院”があり災害拠点になっています。小児科医が中心で食物アレルギーに関して理解があり、今回は「盛岡こども病院」とコンタクトをお取りになったそうです。
 現在、食物アレルギー患者数は増加傾向にあり、緊急時対策としては無視できない数になってきています。被災地の映像を見て『うちは全てを持って避難しないとこの子の食べるものがないのがよくわかりました』というお母様や『孫が被災したらどうなるのかと心配になった』とおっしゃるお客様も多くいらっしゃいました」と中條さん。そして行政サイドも災害時備蓄に、食物アレルギー患者のための粉ミルクやアレルギー対応の緊急食糧などをリストに入れることを検討してほしいと。


 

小麦粉フリーのアレルギー対応のお菓子…SWEETS AID

お米のお菓子、パウンドケーキとクッキー
お米のお菓子、パウンドケーキとクッキー
おこめのおかしSWEETS AID のクッキー
おこめのおかしSWEETS AID のクッキー
 「実は支援物資をお送りしている最中に、現地の方から小麦粉を使っていないお菓子はないですか?というお問合せをかなりの数頂きまして、小麦粉アレルギーの多さを実感しました」という中條さん。「支援物資をお送りしていた頃は、卵・乳製品・上白糖不使用なだけで、小麦粉は使っているクッキーをお送りしていました。その頃、米粉のお菓子もいろいろ試作しておりましたが、納得できるものは出来ていませんでしたので、お送りすることも叶わず、申し訳ない想いばかりが募っておりました」
 カフェ営業の傍ら、ひたすらスタッフと試作の日々。米粉だけでは美味しい焼菓子は作れないのではと真剣に思ったことも。そんな中、やっと美味しいと思えるものができ、ようやくお米のお菓子のお店を作ろうと思えるようになったのです。

 「小麦粉フリーのお菓子ならば、キッチンも小麦粉フリーにしなくては意味がありません。全ての小麦粉関係のものを排除し、清掃を入れました。カフェでは、パンも焼いており、お料理に小麦粉も使っていました。カフェのお客様には申し訳ないと思いつつ、中途半端に並行して製造するよりは、カフェを休止して小麦粉フリーのお米のお菓子づくりに集中することを選択しました」そして中條さんは2011年11月29日、おこめのおかし「SWEETS AIDスイーツエイド」オンラインショップをオープンしたのです。

 食物アレルギーとは無縁の中條さんでしたが、色々なご縁でアレルギーと向き合うようになり、食物アレルギーを知れば知るほど、お母さん方と話せば話すほど、感じることがある…と。
 「食物アレルギーをお子さんがお持ちだと、お母さん方はご自身を責めます。そして、とてもつらいことだと思ってらっしゃいます。しかし私は、これほど流通する食べ物が多種多様な昨今、食物アレルギーがあるおかげで、お母さん方は加工品の原材料を吟味し、成分や添加物等に関して疑問を持つようになったのです。現代を健康に生き抜くために、お子さんのために選んで食べる知恵を与えてくれたのが食物アレルギーなのではないかと思うのです。忙しい現代で、手作りを続けることは非常に大変です。この子がアレルギーでなければと思うこともあると思います。食の制限がある人間にしか分からないことですが…。しかし、どんな状況でもその状況を楽しむ心を忘れないで欲しいと思います。
 忙しくても出来合いのものに頼れない方々を応援する目的で作ったおこめのお菓子のオンラインショップ。無理せず手作りできるような商品を『SWEETS AIDスイーツエイド』で提供したり、ブログに簡単おやつや料理レシピも増やしていくつもりです。また、色々なアレルギーご専門の先生方のお話なども、情報発信していきたいと思っています」


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