結婚後2人の子を産み、夫と育て暮らすも、ある朝起きると40代の夫が隣の部屋で亡くなっていた…。
誰もが迎える、身近な人の「死」。でも、夫は40代。
これまで全く話してこなかった「もしも亡くなったとしたら」。
何もかも想定外。
煩雑な手続き、膨大な遺品の整理。
毎日一緒に暮らしていた妻であっても、スマホのパスワード、SNS、デジタルデータ、遺品…何がどうなっているのか全然わからない!
あなたは自分に「万が一」があったとき、お金のコト、モノのこと、残された人に伝えておくべきこと…家族と話していますか?家族がどうしてほしいか知っていますか?
「ある日突然オタクの夫が亡くなったら?」の著者、こさささこさんは、1977年生まれ。武蔵野美術大学を卒業し、イラストレーターや張子制作などをしていました。
いわゆる「オタクの夫」との結婚を機に山形へ移住し、2人の子どもを育てていたところ、夫の突然死に直面…。
前の晩、普通に元気で隣の部屋で本を読んでいた夫。
翌朝、なかなか起きてこなかったものの、夫は疲れているんだからもう少し寝かせておこう、とこささんは朝ごはんを用意していました。
ーいつもの平和な日常。いままでもこれからも毎日くりかえし続いていく家族4人の日々。
そう思っていたのに…。
こささんが夫を起こしに行ったところ、反応がない…。
これはおかしいと確認したところ、呼吸も心音もないことがわかりました。
すぐに救急車を呼ぶも、しばらくすると夫が亡くなったとの連絡が入り、警察署で冷たくなった夫と対面することに…。
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ある朝、隣の部屋で夫が亡くなっていた。突然のことだった。
毎日横で話していた人が、しかもたくさん喋っていた人が突然いなくなるのは本当に大きなことで、家の中は荒み、淀み、家族みんなが食欲を失った。それでも、残された者にはやらなければならないことが山ほどある。
彼が亡くなった直後から手続きの日々がはじまった。
葬式・火葬・告別式にはじまり、その後は市役所、銀行、郵便局を行ったり来たりが果てしなく続く。私は手際の悪いほうなので、途中で何をやっているのかわからなくなってきて、混乱した書類も多々あった。
実はいまもまだ終わっていない。
彼は多くのことに興味を持っていて、一般的に見ていわゆるオタクだった。
まあびっくりするほど貯金はなかったが、代わりに多くの「モノ」を残した。
そしてそれらは、残された私を途方に暮れさせた。
お金のことも、モノのことも、生きているときに確認しておけばよかったのだが、楽しそうだからいいかな、頑張って働いているからいいかな、と見て見ぬふりをしていたのがよくなかった。
お互いに「万が一のこと」があるかもしれないことに向き合い、きちんと話し合いをすべきだった。それが起きてからではもう遅いのだ。
彼が亡くなったあと、ただただ追われるように目の前のやるべきことをこなしてきたが、これまた悔いがたくさんある。
お葬式はあれでよかったのだろうか。棺に入れるのはあれでよかったのだろうか。最後の服はあれでよかったのだろうか。
これからのこともある。
お墓はどうしようか。彼のコレクションはどうするのが最もよいのか。どうするのが、彼が望むことなのか?
いまとなっては想像しながらやっていくしかない。
出典:「ある日突然オタクの夫が亡くなったら?」
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働き盛りである40代後半の突然死。
40代で亡くなるというのは年間1000人に1〜2人といわれます。
しかし、だれもが「いつかは死ぬ」ことがわかっていても「いつ死ぬか」はわかりません。
平均寿命は女性87歳、男性81歳(2017年簡易生命表より)といわれますが、いつどこで死ぬかは誰にもわからないのです…。
夫の死に関する手続きを経験したこささんは、
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夫婦のどちらかでも、いつやってくるかわからない死についての準備をしているのと、していないのとでは違うと思う。
夫は死んだ。彼はいなくなった。いまでも悲しくて悲しくてたまらない。
しかし、大切な人を失った私たちの生活はこれからも続いていくのである。
死んだら終わり、ではないのである。
出典:「ある日突然オタクの夫が亡くなったら?」
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と語ります。
家族が亡くなると、死亡診断書の作成依頼、死亡届の提出、お通夜、告別式、初七日はもちろん、世帯主の変更、公共料金の名義変更、パスポート・運転免許証の返納、納骨先の検討、納骨、相続…などなど、ここでは書ききれないほどの手続きが待っています。
しかし、それだけではなく、遺族に残されるのは、たくさんの遺品の整理や処理、故人のスマホ関連の手続き(契約しているネットサービスなども)、クレジットカード、定期購読中の雑誌などの解約などなど細かい物がまだまだあります。
本人がいないことで何がどうなっているのかわからず、なかなか手続きが進まないことがこささんを困らせました。
役所での膨大な手続き…。
夫が購入したネット通販物も続々届きます。
ゲームなどスマホのアプリ課金なども把握していませんでした。
無宗教とはいえ、本人はどんなお墓や埋葬方法を希望していたのかもわからずじまいです。
そして、膨大すぎるコレクションをどうするべきか…?
こささんは、「彼が突然亡くなってとても困った。私が突然亡くなったらそれもとても困るだろう。私はいま何をしておくべきだろう。」と、自分しか把握していない自分のことを整理しておくことにしたそうです。
著書「ある日突然オタクの夫が亡くなったら?」では、生前準備ノートを作ることをおすすめしています。
参考にご紹介します。
◆生前準備ノートに書いておくこと
・銀行預金(銀行名・支店名・口座番号)
・証券会社(証券会社名・支店名・保有証券)
・加入している民間保険(保険会社名・保険の内容)
・加入している個人年金(金融機関名・年金の内容)
・所有している不動産(所在、面積、抵当権の有無)
・借金(借入先、金額、期限)
・ローンの有無(用途、借り入れ先、金額、期限)
・携帯電話、スマートフォン(契約会社名と電話番号)
・保有しているクレジットカード(カード会社名、名義)
・契約中のネットサービス(契約先の会社名、サービス名)
・定期購読中の雑誌・新聞(契約先の会社名、誌名等)
・パソコンや携帯電話を起動する際のID とパスワード
・各種ネットサービスのID とパスワード
・葬儀への希望(「できるだけ簡素にしてほしい」など)
・葬儀の参列者・連絡先
・遺影、副葬品の希望
・納骨、お墓についての希望(「海洋散骨してほしい」「故郷の墓に分骨してほしい」など)
・供養に関する希望(「法要は希望しない」など)
・主な遺品の処分方法
・売却できそうなものは、売却先一覧
・遺贈する場合は、相手先
・知人・友人等の連絡先
・ペットの情報(餌、持病、かかりつけ医など)
・延命治療への希望
・臓器提供への希望
・家族へのメッセージ
・その他の特別な希望やお願いごと
例)PC は中身を見ないで初期化し、廃棄してほしい
◯◯のフィギュアだけは、処分せずに保存してほしい
いかがでしたか?
人はいつか死ぬー。
いまできるうちに、家族と「もしものことがあったら」について自分のこと、家族のこと、きちんと確認しておきませんか?
【レタスクラブニュース編集部】