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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第6回 環境で夢を語ろう!〜学び、行動する若者たちと

  • 2004年7月15日

このコンテンツは、「グローバルネット」から転載して情報をお送りしています。

環境で夢を語ろう!〜学び、行動する若者たちと

→参加メンバー紹介


9月から(財)地球・人間環境フォーラムでインターン研修を行っています。大学、そして大学院で環境問題を学んできましたが、知れば知るほど地球環境の将来に絶望的な気持ちを抱いてしまうことがあります。

 終末論に陥らずに環境問題に取り組みたい、そんな夢を分かち合おうと、今回、大学や環境団体で活動する4人の大学生に集まってもらいました。

 損保ジャパン環境財団が支援するE-CO青年隊隊長の藤谷岳さんは、8月に環境提言大会という、環境報告書を介して企業と学生がコミュニケーションを行うイベントを行いました。福島宏希さんは、早稲田大学のサークル「環境ロドリゲス」、コンビニの環境改善を考える学生の会、エコ・リーグ(全国環境青年連盟)などで活動しました。上智大学の環境サークルの鍋島伊都子さんは、ドイツの環境政策を学び、若者らしい行動力でサークルを組織しています。小倉功さんは、学生主導により大学のISO14001取得に成功しました。

 「環境問題を解決する」という究極の目標に向かって前向きに取り組んでいる仲間がいることを実感しました。悩み、迷いつつも何かしらの環境アクションを起こす学生たちは確実に増えています。(京都大学大学院 島さとみ)

 

広がる環境のネットワーク

 

横の連携が生まれてきていますね。世代間環境フォーラムもそんな趣旨で開催されていますよね。一つ思うのは、環境っていうのが共通語になっている。環境という現場があると、学校とか地域の違いなんて関係なく人が集まる。ベーシックな部分で、若者たちがつながり得る土壌が環境にはあるのかなと。

福島

その土壌という部分では、環境のネットワークはしっかりしてきているんじゃないかな。鍋島さんが所属しているANGLEs(アングルス)もE-CO青年隊も僕は前から知っている。これはマスコミには取り上げられないようなことですが、つながりっていうのは確かにあります。学生の活動は環境に限らずいろいろありますが、こんなに日本全国つながっているということはあまりないですよね。今回だって島さんが声をかければこうやって人が集まるわけで。そういうのって本当に珍しい。これはすごくしっかりしたネットワークだと思う。

大きなうねりになりそうな流れはありますよね。小さなサークルでも、日本中にあるわけだし、そしてエコ・リーグみたいに若者が集う場も充実してきた。もしかしたらこういううねりが社会を変えるんじゃないかっていう期待があるからやるって部分もありますよね。

活動するから達成感も得られるわけで、環境を勉強するだけでは、ほんとに暗くなってくる。何かやったとか、つながりができたとか、目に見えて進んだ成果がないと。環境っていうのは特殊な分野で、勉強と行動を並行してやっていかないといけないんじゃないかなって私は思っています。

鍋島

環境に対して共通して持っている問題意識があって、暗くなりがちなところ。また環境問題解決のための手段として、多くの人たちを巻き込むことに意味がある。どうしても個々人の行動に因るところが大きいから。

夢を見ましょうって小学校の頃言われてきたけど、大人になると暗く部屋で考えて、あえて口に出すっていうのは勇気がいる。でもかえってそれが活動の原動力になりますね。

藤谷

環境提言大会ではグループをつくって話し合ってもらったんですけど、そのグループが今でも続いているのはいいなって。あと、西友の開発部が、商品開発についてもう1回話をしてくださいっていう申し出があったりだとか。それぞれでまた続いてくれているとほんとに嬉しいですね。

小倉

提言大会をやることの意味につながることなんだけど、環境っていうのはあまりにも分野が広い。自分一人で考えてやろうとしても限界がある。多くの人たちが集まって、ああいう考えもあるこういう考えもあるっていうのを聞いて、個人にしてみれば次の行動につながるだとか、知的好奇心の満足もある。こういう座談会みたいに、わいわいがやがや情報交換して次の行動につなげるっていう面白さはあるんじゃないかな。環境は裾野が広いけど、だからこそ違う面白さもある。

 

若者の環境意識を変えるには

皆さんが取り組んでこられた活動は、そんなに孤立感を感じないでやってきたのでしょうか?
学生自身の意識も変わってきて、キャンパスもそういう方向に向いてきたんでしょうか?

福島

僕がやってきたサークルは、もともと人数も少なかったんですが、ちょっとイメージを変えるだけで入る人も多くなって、規模も大きくなりましたね。やっていることが真面目ですから真面目にやっても人が来ないんですよね。いろんなことができるとか、面白いっていうので、たくさん人が来る。

小倉

環境問題への意識はあるけど、それに対して自分たちに何ができるかっていうのが伝わっていないことが日本の教育の問題だと思うんですよ。例えばフロンがオゾン層を破壊するっていうことは知っていても、それで自分たちは何をすればいいのか、行動としてつながっていかない。

そういうところで大学で実際に行動している人たちがいれば、自分に何ができるのかなって言ってくる人たちが新入生の中に多い。しかも大学であれば、4年間でどんどん人が入れ替わっていくので、そうやって下に伝えていって広がっていくっていうのはありますね。

鍋島

孤立するのは閉ざせばいいんだから簡単。ずっと開き続けるのが難しいんですよ。やっぱり開いていくと、上智大学の例で言うと、他のサークルにしろ、何かがんばっているらしいって協力してくれてどんどんつながりができてくる。組織として充実しているっていう信頼があれば、学生たちもそこで何かできるかもしれないって可能性を見出して集まってくる。孤立しないように意識して取り組んできたって感じですね。

環境問題に全然関心を持っていない人もいますね。それは社会の中でも大学の中でも同じです。その人たちにどうやって働きかけたらいいのでしょうか。広報誌を読んでもらうにしろ、行動を変えてもらうにせよ、無関心層に働きかけって難しいですよね。何か工夫されていることはありますか?

小倉

関心のない人たちに広めるのはなかなか難しいですね。とりあえず今やっていることは、入学式の時に時間を割いてもらって自分たちはこんなことをやっているんだと新入生にアピールする。あと、自分たちの活動の一つとして、エコクイズっていうのをやっているんですね。学生に問題を出して、正解したらハンバーガーのタダ券をプレゼントする。こういったことで少しずつ効果は上がり、少しずつ広がっていけば、活動として意味があったのかなと思います。

アンケートをやるにしろ、イベントをやるにしろ、毎回同じ顔ぶれだったりするでしょ。それを広げていくっていうのが一番難しいですよね。

福島

効果を上げているなって思うのはFUJI ROCK FESTIVAL(国内最大の野外ロックフェスティバル)でのA SEED JAPAN(Action for Solidarity, Equality,Environment and Development、青年による環境と開発と協力と平等のための国際行動。1991年に設立された日本の青年によるNGO、以下A SEED)の活動です。僕の友達で環境なんて考えていない人でもあれには行く。彼は環境問題ではたぶん行かなかっただろうけど、動機はどうあれ行ったことで少しでも変われば、それでいいんじゃないかなって思うんですよ。A SEEDの取り組みはすごい良いアイデアだと思います。

若者が集まる場に何気なく環境の要素を入れるっていうのはいいですね。

福島

単なるゴミ清掃NGOではなくて、A SEEDはイベント全体の構成員の一つなんですね。演奏の合間にステージ上で、「皆さんにゴミは持ち帰ってもらいます」と伝えています。これもイベントの要素なんですね。

FUJI ROCKレベルまでいくのは大変ですが、こういうことが増えてくると、初めはちょっと違うなというような目で見られていても、人びとの僕らを見る目は変わってきます。

あまり環境、環境と声高に叫ぶんじゃなくてソフトな力で変えていけるといいですよね。

学生の環境活動に政治的な色が欲しい

この前の上智大学での今泉みね子さんの講演にもあったんですが、ドイツでは学生運動から環境運動が始まって緑の党なんかもその流れから派生してできたっていうことを聞きました。今の日本で学生運動なんて考えられないですけど。

福島

でも僕たちの日本の活動も一種の学生運動なんじゃないかな。取り扱っているものも違うし、形態は違いますが、ネットワークができていて新しい運動になっているのではないかな。ただ、政治的な色が足りないんですよ。そろそろそういうことを言う団体が出てきてもいいんじゃないかって思うんですけど。

環境のことを置いておいても、そもそも今の学生が政治に興味を持ってないのかもしれない。

鍋島

でも今度の選挙で少し変わったとは思いませんでした?
環境問題として諫早湾の問題が取り上げられるようになったり。いろんな報道番組を見ていると党首が出てきて、環境問題が政治の中にも入ってきているなって。政治の中でタブーではなくなってきた。むしろ、それを売り物にする団体ができてきましたよね。けっこう取っつきやすくはなっていると思うんですよ。周りの友達と話しませんか?

福島

いつもは選挙に行かないけど今回は行ったっていう友人はいましたね。

鍋島

環境の団体で思い切ってそういう話をしてもいい頃かなって。

福島

学生グループで各党の環境政策を比較してプレスリリースで出すってところも過去にはありましたが、その後が続かなかった。

環境問題は最終的には政治的で経済的だし社会的な問題。学生の活動はそんなに脚光を浴びていないにしろ、目に見えない部分で底上げ効果が起きているんじゃないですか。全員を納得させないとダメだなんてことになると、とんでもない活動になってしまいますが、みんなが考えるべきテーマなんだっていうのが良い意味で出てきている印象はあります。

さまざまな評価の尺度を

自分たちがやっている活動を評価してくれるものが欲しいですね。時間を割いて苦労したことが広く公表され報告されると報われると思うんですが。

福島

まさにそのとおりですね。僕は活動をしてきて、自分では満足しているんですが、今度行われる「全国大学生環境活動コンテスト」みたいなものが4年前からあったらよかったのにという思いはありますね。勉強も他にもやることいろいろあるのに時間を割いて活動してきて、ヒヤリング先の企業の人に「そんなこと聞くんじゃない、あっちいけ」って怒られたりしながらがんばってやっているのにちゃんと評価されないんですね。

ちゃんとこういった活動がもっと評価されて、こういう活動をやっているっていうのを社会に紹介してもらいたいんですよ。いろんな評価の方法があってもいいと思うんですよ。スポーツだと競技ごとにそういった団体があって一番になった者が評価されるけど、私たちは自分で目標を設定して自分で実行するので、それが客観的に評価されることが必要だと思う。

評価の仕方もいろいろあるといいですね。NGO・NPOの活動は何をもって評価するのか、多様性が出てきたから非常に難しいけど乗り越えないといけないんでしょうね。

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