トランプ関税の影響が出るのは数カ月先。Appleの大手サプライヤー「夏にはストアが在庫薄になる」

  • 2025年5月8日
  • Gizmodo Japan

トランプ関税の影響が出るのは数カ月先。Appleの大手サプライヤー「夏にはストアが在庫薄になる」
Image: Karolis Kavolelis / Shutterstock

これまでのところ、ドナルド・トランプ大統領による中国との貿易戦争の影響は、主に金融市場にとどまっています。

でも、本当に困るのはこれからかもしれません。Apple(アップル)やDell(デル)といった電子機器メーカーに部品を供給している台湾の企業Pegatron(ペガトロン)は、消費者にとって最悪の事態はまだこれからと警告しています。

トランプ関税の影響が本格化するのは数カ月先

同社の幹部はReutersの取材に対し、トランプ氏が「やるぞ」「やっぱりやめる」「いや、報復でさらに25%追加だ」といった調子で関税の方針をコロコロ変えるため、夏にかけて品薄になる可能性が高いと警鐘を鳴らしています。

PegatronのT.H. Tung会長は、Reutersに対して次のように語っています。

あと2カ月もすれば、アメリカの店の棚は発展途上国のようにガラガラになるかもしれません。人々がデパートや市場に行っても、何も商品が並んでいない、そんな状況になるのは、みんながただ様子見をして動かないからです。

たしかに、アメリカが(というかトランプ大統領が)中国に課した145%の高い関税は、デバイスの供給不足を引き起こす大きな要因になっています。

先が読めないトランプ政権に企業は様子見

高い関税は、海外から製品を輸入する企業にとってとんでもない負担ですが、結局そのコストは消費者に転嫁されることになります。でも、それ以上にやっかいなのは、「トランプ政権が次に何をするのかまったく読めない」という不確実性かもしれません。

こんな状況になると、どんな企業でも数か月先のことすら見通せず、長期的な戦略を立てるのが難しくなってしまいます。

Tung氏は「たった2〜3か月の関税の変動で、すぐに長期計画を見直すなんてできません。製造拠点には、長期的な計画が不可欠です」と述べています。

トランプ関税に振り回されるApple

こうした混乱ぶりは、Appleの動きを見ればよくわかります。4月初めにまずトランプ大統領が中国からの輸入品に34%の相互関税を課すと発表すると、Appleは影響を最小限に抑えようと、慌てて在庫やサプライチェーンの見直しに乗り出しました。

関税が発効する前に、同社は20億ドル(2,900億円)相当のiPhoneをインドからアメリカへ移送。その後、関税がまるで漫画のように145%まで引き上げられたのを受けて、製造拠点を中国からインドへ移転するという複雑な手続きを始めました。

インドの関税はいまのところ10%ですが、交渉がまとまらなければ、7月までにさらに26%が上乗せされる可能性もあるといいます。

貿易戦争が始まってからおよそ2週間後、トランプ大統領はスマートフォンやパソコンなどのデバイスを関税の対象から外すと発表。Appleとその供給業者はひとまず胸をなで下ろしました。

…が、それももほんの束の間。翌日にはハワード・ラトニック商務長官が、「除外はあくまでも一時的な措置で、1〜2か月以内に業界ごとに新たな関税を導入する」とコメント……。

関税率はどれくらいになるのか? 本当に導入されるのか? もし導入されたらどれくらい続くのか? 答えはだれにもわかりません。なんせ相互関税を「任期中はずっと続ける」と言ったのに、すぐ90日間停止しましたからね。

企業側としては、もう勘で動くしかないような状況に置かれています。関税のとばっちりを最終的に受ける消費者なんて、気の毒すぎるにもほどがあります。

AppleストアからiPhoneが消えるかも

言わずもがなですが、世界にまたがる複雑なサプライチェーンを抱える企業が、こんなに先の見えない状況で積極的に動けるはずもなく。だからこそ、すぐに大きく方向転換をするのではなく、とりあえず様子を見ようという判断になるのはごく自然な流れです。

となると、当面は供給が細ってしまう可能性が高いわけで。なので、6月にAppleストアに足を運んでみたら、店内にあるiPhoneが展示用の1台だけ、なんてことが起こっちゃうかもしれないのです。

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