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水素社会ってなんだろう?〜水素エネルギーが生み出す未来とは〜 ― 第22回エコ×エネ・カフェ(前編)

  • 2016年9月14日
  • 緑のgoo編集部

日本が水素エネルギーを推進する意義

横本:水素は燃焼時に大気汚染物質や温室効果ガスの排出がありませんので、エコでクリーンなエネルギーと言えます。そして、都市ガス・プロパンガスや水、バイオマスなどさまざまな原料から製造することができ、柔軟な二次エネルギーとして活用することができます。また日本は水素エネルギーの研究開発に30年以上の経験と実績がある、世界のトップランナーですので、日本の技術力が世界にも役立てられる分野と言えます。

森:(会場に)日本のエネルギー自給率って知っていますか?意外と知られていないですが、とても低いんですよね。


横本:約5%といわれています。水素エネルギーは国内で生産することも可能です。国産の水素エネルギーが増えれば、国内でのエネルギー安定供給にもつながるのです。

水素エネルギーの強みと弱み

森:良いところについてたくさん聞いてきましたが、水素エネルギーにも弱みはありますよね?

横本:はい。弱みとしてあげられるのは、水の電気分解で水素をつくるためには電気が必要です。この際に使う電力を再生可能エネルギーにすれば、水素エネルギーをよりクリーンなエネルギーとして活用していくことができるでしょう。ただし、エネルギー効率やコストの面では、まだ課題を抱えています。

横本:強みは、水素エネルギーは貯蔵して運ぶことができることです。電線を使って送電することが必要な電気は、膨大な設備投資も必要で、送電時の電力ロスも生じます。けれども水素はボンベのような容器に入れて運ぶことができるので、自動車の燃料といった形で活用しやすいのです。

水素エネルギーの未来


横本:経済産業省が作成した水素・燃料電池戦略ロードマップでは、2020年の東京オリンピックで、日本の持つ水素技術の可能性を世界に向けて発信することが計画されています。その後はさらに大規模利用を進め、2040年にトータルでCO2フリーの供給システムを構築することが目標です。

横本:直近では、首都圏、大阪、名古屋などを中心に、国内に91の水素ステーションをつくる計画があり、既に77箇所がオープンしています。

森:僕の住んでいるところの近くにもありますよ。看板に大きく「水素ステーション」と書いてアピールされています。

横本:北九州では、家庭での利用を想定した社会実証活動「北九州水素タウン」が行なわれました。

森:水素って、目に見えないですよね?家庭で普通に利用するには、危ないんじゃないですか?

横本:もしも漏れた時に気づくことができるように、実証実験ではパイプラインで輸送する水素には匂いをつけました。ガス漏れがあったら匂いで気づくことができるというのと、同じ考え方です。

横本:今後、新たな社会システムの一部として、水素エネルギーが積極的に活用されていく未来を思い描いて、さまざまな開発や実験が展開されています。


横本:インフラ整備などの課題もありますし、まだまだ水素エネルギーについて理解不足の方もいると思いますので、実際にどのような使われ方をしているのかを見ていただき、燃料電池自動車に乗っていただくような体験を通じて、水素の理解が深まり、水素エネルギーが社会に広まっていけばと思っています。


参考:水素エネルギーナビ

第22回エコ×エネ・カフェの前編はゲストの横本さんから『なぜ今「水素」が注目されているのか?』について触れていきました。次回後編は横本さんからのメッセージを受けて『参加者の水素エネルギーに対する考えはどう変わったのか?』全員参加のワールドカフェの様子をレポートしていきますのでご期待ください。

 

ライター:株式会社yukikazet 今井 麻希子(いまい まきこ)
カメラマン:アクアデジタルフォトス 田川 哲也(たがわ てつや)

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