ワークショップの後は、全体セッションで一日の学びを振り返りました。
会場:普通のビルよりメンテナンス料金が高く掛かりそうですが、そのことについて入居するテナントから理解は得られますか?
山下:緑が豊かなビルの人気が高まり、そういった負担を受け入れる意識が共有されるようになればいいなと考えています。環境配慮型ビルの推進のためにも、こういった費用負荷を軽減する法制度も整備されるといいですね。
仁藤:ビルのメンテナンス費用と比べれば、緑地そのもののメンテナンス費用は高くありません。緑地があることをメリットと感じていただけたらと思います。
山下:相対的にテナントあたりのメンテナンス費用を下げることを考えると、高層ビルに緑地という組み合わせという事業モデルがふさわしいのだろうと思います。
会場:他のビルが環境配慮型ビルになるためのポイントは何ですか?
高橋:シンプルに言うと、ベース照明をLEDに切り替えることにより照明の電気使用量が半分に減ってます。それに伴い空調用のエネルギー使用量も削減されています。このインパクトは大きいですね。
久保田:立地によって、地価や掛けられる費用も違ってきますので、どうすればよりよい環境配慮型ビルになるかは、そういったバランスを配慮した上での問題とも言えます。
会場:入居を検討しているテナントに対して環境配慮型ビルというセールストークは、どれくらい効果がありますか?
仁藤:なかなか難しいですね。「ランニングコストで光熱費が下げられる」などメリットが提示できますが、移転コストの問題、タイミング、今入居しているビルからの引き留めなど、いろいろな要素が関わります。
高橋:日本では、環境配慮型ビルであることが賃料の引き上げやテナントさんの人気に直結しないというジレンマが、まだあります。
会場:品川シーズンテラスにかけたコスト回収見込みを教えてください。
仁藤:スキームによっても違ってきますが、不動産はだいたい、90~95%くらいの入居率で回収に20年~25年が目安と言われています。
森:気の長い商売ですね!