川嶋さんの話の後は、森さんの進行による「ワールドカフェ(*)」の時間です。「リラックスした雰囲気の中対話を深めていきましょう」。
参加者は、各テーブルにおいてある模造紙を自由に使って、考えたことを書き留めながら自分の意見をテーブルの仲間と共有していきます。
今回のテーマは「私(たち)は、どんな社会に住みたいと思っているのだろう?」。
この問いかけに対して、各テーブルで15分間自由な発想で話し合うとのこと。講義を担当した川嶋さんも一緒にテーブルにつき、話し合いに加わります。
「みなさん、お互いの話に耳を傾け、積極的に参加することがポイントですよ」。森さんの言葉に促され、いよいよ対話の時間がスタートしました。
「暮らしたい社会ってどういうものだろう?」
この問いに対し、参加者のイメージすることはさまざまのようです。
例えば、あるテーブルでは「水の大切さ」が話題となりました。「おいしい水のある暮らし、それはおいしい食べものに恵まれた暮らしでもあります」「食は毎日のことなので、おいしい食べものが食べられる生活は豊かさに値すると思います」「水を大切にするためには、その周りの自然全体が豊かである必要があります」など。
エコの大切さについては、自然豊かな田舎での生活に対する憧れが話し合われる一方、都会には都会ならではの良さもあるという意見も沢山でました。「都会と田舎では生活スタイルが違うし、幸せに対しての考え方にも違いがあるよね」「そのどちらの良さも分かるし、それぞれ価値があると思う」など、自分の生活体験をもとにさまざまな意見が交わされていました。
また、別のテーブルでは「暮らしの水準」が話題となっていて「今あるもので十分に満たされているのではないか」「でも、もっと技術が進化して便利になっていって欲しい」など、同世代でも意見が大きく分かれるポイントもあるようでした。また、世代を超えた会話とあって、社会人からは「今の学生はどういうことを考えているの?」「若者はどういうことに興味を持っているの?」という、質問から会話が展開されるケースもみられました。
議論が白熱する中、15分という時間はあっという間に過ぎていきました。
「それでは各テーブルに居残りの人を一人決めてください。それ以外の人は別のテーブルに移動します。居残りの人は、そのテーブルで何が話し合われていたのかを新しいメンバーに説明してくださいね」。
森さんの進行に応じて、テーブルを移動しての第二ラウンドがスタートします。「私のいたテーブルでは、現代社会では生のものに触れる機会が少なくなっている、アナログなものとの関係を取り戻すことが必要だという意見が出ました」と発表する人もいれば、「田舎から東京に出てきて、改めて故郷のよさが見えてきて、そこから気づくものがあったという意見がでました」という報告もありました。
また、「旅をして、自分の住む土地を離れてみることではじめて気づくことがある。仕事柄転勤が多いので、それぞれの地域の固有の良さが分かるようになった」「若いうちは旅をしておくといい」という意見や「それぞれ違う価値観を共有できることも大切。立場の違いを超えて『幸せ感』を共有できる社会をつくっていきたい」などという考えが共有されました。
「どんな社会に暮らしたいのか、その暮らしとはどんな環境に存在するのか」。参加者たちの対話はさらに深まっていきます。自分の考えを絵に描いて示したり、相手に質問をぶつけたりと、会場の熱気は高まっていくばかり。
またしても15分はあっという間に過ぎていきました。