文書などをまとめて保存することや、そのようにして保存された資料のことをアーカイブという。ICT(情報通信技術)の飛躍的な進歩により、従来は紙ベースで行われていた文書・資料の収集や保管が、デジタル化された情報として行えるようになった。デジタル化された文書や資料を保存し、それらを検索システムや高機能の閲覧インターフェースを通じて利用者へ提供するシステムが「デジタルアーカイブ」だ。
デジタルアーカイブの普及により、これまで膨大な面積が必要とされてきた文書保管スペースが削減される。また、従来は検索にはICTを使っても保管庫から資料を見つけ出すのは大変な作業だった。デジタルアーカイブを導入することで、このような手間と時間を削減することができる。また、紙資料が劣化する「酸性紙問題」などを防ぐための温湿度の調節も不要となる。このように、デジタルアーカーブは環境面から見ても貢献度が高く、グリーンICTの一環であるといえる。
デジタルアーカイブのメリットとして、インターネット環境さえ整っていれば、いつでもどこからでも利用できる点があげられる。利用者は、欲しい資料があるデジタルアーカイブに自宅や職場のパソコンからアクセスし、検索してプリントアウトしたり、地図上や時系列など多様な検索機能を使って新たな発見をしたりすることができる。また、特長のひとつに、音声や解説を付与することで元の資料をより見やすく、わかりやすく提供するマルチメディア機能の充実がある。デジタルアーカイブには、管理・運営主体や収集する資料の種類などにより、いくつかの種類がある。
もっとも利用が進んでいるのが、美術館・博物館(Museum)、図書館(Library)、公文書館(Archives)などの「MLA機関」だ。国立国会図書館のデジタルコレクションでは、同館で収集、保存しているデジタル資料を検索、閲覧することができる。日本放送協会(NHK)のデジタルアーカイブスは、NHKが保存する映像をテーマ別に配信している。NTTデータの「AMLAD」のように、MLA機関からの情報を一括管理して保存・提供するサービスもある。AMLADは、2014年にバチカン教皇庁図書館のデジタルアーカイブ事業についての初期契約を締結して話題となった。
このほかにも、損傷や劣化が問題となっている文化遺産や伝統芸能などを記録として後世へ伝える事業、地域や産業活動などをデータベース化して共有する事業、私的な研究やコレクションのデータベース化など、さまざまなアーカイブが構築されている。総務省は2013年3月、「デジタルアーカイブの構築・連携のためのガイドライン」を公表した。