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「自動車リサイクル法」 詳細解説

読み:
じどうしゃりさいくる
英名:
End-of-life Vehicle Recycling Law

日本の自動車保有台数は約7930万台で、このうち国内で1年間に約370万台が廃棄処理されている。使用済み自動車は、鉄などのまだ使える金属や部品を含んでおり、資源としての価値が高いため、従来は解体業者や破砕業者がリサイクルしてきた。しかし、鉄スクラップ価格の低下や、最終処分費の高騰などによって、かつてのリサイクルシステムが機能しなくなり、不法投棄などの不適正処理が横行し、社会的な問題となった。

また、車体を粉砕した後に出る破砕くずであるシュレッダーダストには、有害な成分を含む金属なども混入しているため、設置基準の厳しい管理型処分場に捨てることが法律で義務づけられている。しかし、最終処分場の残余年数は年々少なくなり、リサイクルの割合を高めることが求められていた。このような状況を背景にして、1997年に通産省(当時)は「使用済自動車リサイクル・イニシアティブ」を策定し、有害物質使用の削減やリサイクル率の向上を求めた。

その後、2002年に「自動車リサイクル法」が制定され、使用済み自動車のうち、自動車エアコンの冷媒として使われているフロン類、爆発性があって処理の難しいエアバッグ類、シュレッダーダストの3品目のリサイクルと適正処分を自動車メーカーに義務づけた。本格施行は2005年1月で、施行に先がけて2002年10月からフロンの回収がスタートした。この法律は、自動車メーカーと輸入業者、解体・破砕業者、フロン類の回収業者、自動車の所有者といった関係者が、それぞれの役割を果たす仕組みになっている。

自動車の所有者は、新車を購入する際などに使用済み自動車を自動車販売業者や整備業者などの引取業者に引き渡す。その際に、リサイクルにかかる費用をリサイクル料金として負担する。リサイクル料金はあらかじめメーカーなどが定めて公表し、不適切な料金設定に対しては国が是正を勧告することになっている。引取業者は使用済み自動車をフロン類回収業者や解体業者へ引き渡し、解体業者や破砕業者がリサイクルを行う。エアバッグ類やシュレッダーダストなどについては自動車メーカーに引き渡され、その一部については回収費用を請求する。

使用済み自動車の不法投棄を防止するためには、その自動車がどのように取り引きされているか把握することが重要だ。そのために、自動車リサイクルにかかわる事業者が、使用済み自動車の引き取りや引き渡しを行った際に、その旨を情報管理センターに報告する「電子マニフェスト制度」(移動情報管理システム)が導入された。本法に基づき処理された使用済み自動車のリサイクル率は、約95%に上っている。

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