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「ミドリムシ」 詳細解説

読み:
みどりむし
英名:
Euglena

ミドリムシは体長約0.1mmの緑色をした細長い単細胞生物で、前端から生える鞭のような毛を使って活発に運動する。また、その付け根あたりに小さな赤い眼が1つあり、口もある。こうした特長から原生動物に分類されるが、体内に葉緑素をもっていて光合成を行い、つくり出した栄養分を体内にためることができる。このため、植物の一種である藻の仲間に分類されることもあり、近い種類の生物とともに「ユーグレナ」と総称される。ミドリムシは池や沼、田んぼや水たまりなどの淡水ならどこでもみることができ、有機物が多いと大発生することがある。

この、動物と植物の両方の特長をもつ不思議な生物であるミドリムシが今、近未来の食品素材として脚光を浴びている。その名を一躍知らしめたのが、ミドリムシクッキーの登場だ。1枚に2億匹以上のミドリムシが含まれているこの商品は、東京大学内で活動するベンチャー企業で、ミドリムシの培養技術を生かした製品の開発を手がける(株)ユーグレナが販売した。ビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素を豊富に含む食品として、人気の商品となっている。食品素材としてのミドリムシの可能性については従来から指摘されていたが、大量生産に必要な屋外での大量培養が難しかった。

しかし、同社が2005年に世界で初めてミドリムシを屋外で大量培養することに成功したことで、食品だけでなく化粧品や飼料、燃料などへの応用が期待されるようになった。燃料については、同社とJX日鉱日石エネルギー、日立プラントテクノロジーの3社が共同で、ミドリムシを原料としたバイオジェット燃料の製造に関して、2018年の事業化を目指して研究を進めている。光合成を行い体内に二酸化炭素(CO2)を固定化する能力をもつミドリムシを原料にすることで、カーボンオフセットの効果が期待できる。また、培養により増やせるので、食料となる植物を原料にするのと比べて社会経済への影響が少なくて済む。

医療の分野では、2010年7月には名古屋大学大学院工学研究科の馬場研究室が、ミドリムシの光に応答する特性と微小装置(マイクロデバイス)に関する技術を組み合わせて、再生医療などに欠かせない特定の細胞を安く大量に分離することができる技術を開発した。このようにミドリムシは、日本発の最新バイオ技術として、さまざまな分野から注目されている。

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