A: 生物多様性の減少による経済的な損失を定量的に評価する国際的な枠組みをつくるため、「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」という報告書の作成が、ドイツを中心として進められている。その中間報告は、生物多様性の減少によって私たちの社会や経済に次のような影響があると警鐘を鳴らしている。
1) 自然生態系の耕作地への転換が加速する
2) 漁業生産が低下し、漁業の崩壊が進む
3) 水不足もあいまって人間の健康が脅かされる
4) 貧困層への影響が深刻化する
A: 「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」の第2段階である最終報告は、2010年10月に名古屋市で開催されるCOP10までにまとめられる。早ければ夏には公表されるだろう。最終報告では中間報告の提言を受けて、各国による生物多様性保全政策の範囲やあり方などが体系的にて提示される。具体的には、次にあげる5つの目標を達成するための道筋が示される予定だ。
1) 生態学と経済学の知識を統合し、生態系サービスの評価を構築する
2) 経済評価手法を確認する
3) 対策を行わない場合を含めた各シナリオにおけるコストを調査する
4) 政策ツールキットを開発する
5) 主なエンドユーザーと早い段階から関わる