A: 日本では、文化財保護法や自然環境保全法、自然公園法などの国内法により保護されていることが、世界遺産に推薦される条件となる。また、個人やNPO/NGO、地方自治体からではなく、国による推薦が必要だ。日本には、世界自然遺産として、屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島がある。また、世界文化遺産として、法隆寺、姫路城、古都京都の文化財、白川郷、原爆ドーム、厳島神社、古都奈良の文化財、日光の社寺、琉球王国のグスク及び関連資産群、紀伊山地の霊場と参詣道(熊野古道)、石見銀山、平泉、富士山、富岡製糸場、明治日本の産業革命遺産などがある。なお、日本には複合遺産はない。
A: 世界遺産に登録されると、遺産の保有国は地域の管理計画を策定し、保護する義務と責任を負う。世界遺産リストに登録されることが最終目的ではなく、そこから保護・保全がスタートするわけだ。しかし、マリのトンブクトゥ遺跡のように砂漠化によって危機にさらされたり、米国のエヴァーグレーズ国立公園のように、農薬の流入や都市化による水位低下で自然が危機にさらされたりしているところもある。また、アフガニスタンのバーミヤン渓谷考古遺跡群や、イラクのハトラ遺跡のように過激派により破壊されるケースもある。なお、世界遺産を自国だけで十分保護できない場合には、条約締結国の拠出金から成る世界遺産基金を申請することができる。