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「パッシブハウス」 詳細解説

読み:
ぱっしぶはうす
英名:
Passive House

環境への負荷を徹底して減らすことを目指す「エコハウス」が、日本でも建設されるようになっている。なかでも、再生可能エネルギーの代表格である太陽の光や熱のエネルギーを利用する家が多い。このうち、太陽光を太陽電池で電気にしたり、熱温水器により温水にしたりして積極的に利用する方法を「アクティブソーラーシステム」という。一方、建物そのものの省エネ効果を高めたり、自然換気を採り入れたりして環境負荷の低減を図る方法を「パッシブソーラーシステム」という。パッシブとは「受け身」を表す英語だ。

パッシブハウス」は、このパッシブソーラーシステムを採用した住宅のことで、「パッシブソーラーハウス」とも呼ばれる。ドイツのパッシブハウス研究所が1990年代に提唱し、世界へと広まった。正式には同研究所による性能基準を満たすものがパッシブハウスとして認定される。最大の特長は、特別な動力や装置を用いることなく、低コストで省エネや省CO2に取り組むことができる点だ。また、個別の省エネ技術を採用するのではなく、建物全体をひとつのパッシブソーラーシステムとして考え、デザインする。このため、高性能な省エネ住宅として評価され、ドイツや北欧などで実用化されている。

パッシブハウスは、主にパッシブクーリングとパッシブヒーティングという2つの技術で構成される。パッシブクーリングは、夏など気温の高い季節に庇などで強い太陽光を防ぐとともに、室内を吹き抜けにして空気を天井や壁の換気口から自然換気する仕組みだ。条件にもよるが、盛夏でも冷房をかけずに暮らすことができる場合もある。一方、パッシブヒーティングは、秋や冬など気温の低い時期に、昼間の太陽光を取り込むとともに室内の断熱効果を高めて太陽熱を蓄え、夜間まで暖かさを持続させる暖房手法だ。

パッシブハウスは、電力をほとんど使わず、廃棄物や排水なども発生しない。また、太陽以外のエネルギーを利用せず、可動部分が少ないため維持管理も手がかからない。このような特長は、日本の伝統的な古民家の知恵に通じるところが多い。そのかわり、建てる地域の気候や風土に合った設計やデザインにする必要がある。このため、地域の事情に通じた設計事務所やハウスメーカー、工務店などの協力が欠かせない。

日本でもパッシブハウスの建築事例が増えつつある。2010年には一般社団法人パッシブハウス・ジャパンが設立された。

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