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「スマートシティ」 詳細解説

読み:
すまーとしてぃ
英名:
Smart City

省エネ節電などにより低炭素社会を実現していくためには、企業や個人による取り組みに加えて、地域ぐるみで電力などのエネルギーを効率よく使うことが必要だ。こうした考え方に基づき、電力を使う側が再生可能エネルギーを最大限に利用するとともに、電力を蓄えたり融通したりしてむだなく使うように系統制御された都市や地域のことを、スマートシティ(賢いまち)、またはスマートコミュニティという。スマートシティについては、再生可能エネルギーへの期待の高まりを追い風として米国などで先進的な取り組みが進められている。わが国では今世紀に入り経済産業省などが中心となって、小規模な電力ネットワークのマイクログリッドを活用したスマートシティの構築に向けた検証が行われてきた。

スマートシティの実現には、地域内の各住宅が太陽光などの再生可能エネルギーで発電を行って使用するエネルギーを自らまかなうとともに、家電製品をスマートメーターにより制御するスマートハウスとして自立する必要がある。そのうえで個々のスマートハウスで余った電力をプラグインハイブリッド車(PHV)などの電気自動車(EV)に蓄え、次世代電力網のスマートグリッドで連携させて電力需給を調整することで、スマートシティが形成される。さらに、地域で余った電力を双方向の配電システムにより電力需要の多い都市部へ送れば、季節などの条件により発電量が大きく変動する再生可能エネルギーを有効活用することが可能となる。

このようにスマートシティは、環境・エネルギー、まちづくり、交通などさまざまな社会的要素が組み合わさった新しい社会システムだ。スマートシティの中核となる技術のひとつが、近年急速な進歩を遂げたEVやPHVだ。これらの次世代自動車に搭載されているリチウムイオン電池を、走行していないときに再生可能エネルギーの蓄電池として活用するアイデアにより、スマートグリッドの構築による地域のスマートシティ化が夢物語ではなくなった。また、スマートハウスに電力計の代わりに設置されるスマートメーターや、スマートグリッドを集中管理するコントロールセンターなどの制御設備の開発も実用段階に入っている。

スマートシティ構想を現実のものとするため、電気・ガス、自動車、各種メーカー、情報・通信、建築、大学・研究機関などからなるスマートコミュニティ・アライアンス(JSCA)が設立された。また、資源エネルギー庁は、スマートシティを次世代エネルギー・社会システムと位置付けて、国内4地域で5カ年の実証計画を進めている。そのひとつである横浜市は民間企業と共同で「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」を立ち上げ、日本型スマートグリッドの構築や未利用エネルギーの導入、エネルギーマネジメント、次世代交通システムなどのプロジェクトに取り組んでいる。

一方、スマートシティを実現するために欠かせないのが、配電システムや新交通システム、制御機器の設置などのインフラ整備で、これには多額の費用がかかる。また、電気事業法などエネルギーに関する既存の制度を大きく変える必要もある。

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