スーパーマーケットやコンビニエンスストアで当たり前のようにもらっている樹脂製のレジ袋。その年間使用枚数は、約300億枚(1人1日約1枚)といわれている。これは原油に換算すると約56万リットル(大型タンカー2艘分)にもなるが、最終的にはそのほとんどが使用後に捨てられている。消費者が自前の袋を持参して買い物をすればレジ袋が不要になり、原料となる化石燃料を削減することができ、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出削減にもつながる。
消費者が持参するこのような袋(バッグ)を「エコバッグ」といい、自分のバッグをもち歩くことから「マイバッグ」とも呼ばれる。もともとエコバッグという言葉は、素材の選定など製造の段階から使い終わった後のリサイクルに至るまで、環境に配慮しているバッグを指すことが多かった。しかし、マイバッグが市民にも取り組みやすい環境対策として流行するにつれて、両者の区別はあいまいになった。現在では日本中で、買い物に自分の袋を持参して環境負荷を減らす運動が広がっている。
国の取り組みをみると、容器包装廃棄物の減量とリサイクルの推進を目的として1995年に制定された容器包装リサイクル法が2006年に改正された。レジ袋などの容器包装を多く使う小売業者に対して、国が定める判断基準に基づいて、容器包装の使用合理化のための目標の設定や、容器包装の有償化、マイバッグの配布等の排出抑制の促進等の取り組みを求める。また、容器包装を年間50t以上用いる多量利用事業者に、取り組み状況を国に毎年報告することを義務づけた。さらに、容器包装廃棄物排出抑制推進員制度を創設した。
地方自治体の取り組みも盛んだ。東京都杉並区は、レジ袋1枚につき5円を課税する「すぎなみ環境目的税」を、法定外目的税として条例により定めた。同税は別名「レジ袋税」と呼ばれ、全国的な反響を呼んだが、同区は2008年に同条例を廃止し、代わりに「杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」を制定した。このほかに、青森県や岡山県、西宮市、高知市、小牧市など多くの自治体がレジ袋の辞退やエコバッグ/マイバッグの持参を奨励している。
最近では、エコバッグやマイバッグを販売するスーパーマーケットなどの小売事業者が増えている。また、おしゃれなデザインのマイバッグが雑貨店などで入手できるほか、企業が広報のために制作し、各種イベントなどの場で配布することも多い。レジ袋を受け取らないために持参するものであれば、手づくりの袋やふろしきなどでも十分に機能を果たす。マイバッグなどを持参してレジ袋を断ることでポイントがたまり、一定のポイントを換金したり商品と引き換えたりできる仕組みを導入しているスーパーマーケットや小売店もある。