サイト内
ウェブ

「生活習慣病」 詳細解説

読み:
せいかつしゅうかんびょう

わが国では従来、がん、脳卒中、心臓病などの病気はある程度の年齢に達したときに発病することが多いことから、これらの病気を「成人病」と呼んで、早期に発見し、治療するように努めてきた。一方、これらの病気は、食生活、運動不足、喫煙などを改善すれば、ある程度予防できるため、厚生労働省は1996年に、成人病に代わって「生活習慣病」という概念を導入した。主な生活習慣病には、高血圧症、高脂血症、心筋梗塞、脳卒中、肥満、糖尿病、がん、アルコール性肝炎などが挙げられるが、このほかにも歯周病、骨粗症鬆、痛風、膵炎なども含まれ、非常に幅広いものと考えられている。

政府は2000年に生活習慣病の予防や生活の質(QOL:Quality of Life)の向上に国をあげて取り組むことを宣言した「健康日本21」を策定した。健康日本21は、「栄養・食生活」「身体活動・運動」「休養・こころの健康づくり」「糖尿病」「循環器病」「がん」など9つの分野について具体的な目標を設定し、国民それぞれが自分で健康管理するように呼びかけている。さらに、2002年には「健康増進法」を制定、喫煙による受動喫煙の害を訴えるなど、健康づくりや生活習慣病の予防に向けての活動を推進中だ。

2008年4月からは、40歳以上の加入者を対象として、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健康診査と特定保健指導が実施されている。メタボリックシンドロームは、肥満をベースに、高血圧、高血糖、脂質代謝異常のうち、複数因子を持った状態のことで、生活習慣病の新しいリスクとして注目されている。世界にはメタボリックシンドロームについていくつかの基準があるが、日本では、肥満(内臓脂肪蓄積)の判断を、ウエスト周囲が男性85cm、女性90cm以上とし、そのうち、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の3項目のうち2つ以上に該当する場合をメタボリックシンドロームと診断している。

国が生活習慣病の予防に取り組んだ背景には、医療費の増加による財政圧迫を改善しようとするねらいもある。このような国をあげての生活習慣病の予防策は、人々の健康志向にマッチしたこともあり、中高年齢層を中心に、塩分を控える、脂っぽいものを避ける、ジョギングや水泳などのスポーツを週に2〜3回は行うなど、いまや国民運動的な広がりを見せるようになった。半面、過度な健康志向や過剰なサプリメント摂取などによる弊害も指摘されている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。