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「動物愛護管理法」 詳細解説

読み:
どうぶつあいごかんりほう
英名:
Act on Welfare and Management of Animals

動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)は、1973年に「動物の保護及び管理に関する法律」として議員立法により制定された。本法には、動物の「愛護」と、動物の適正な「管理」という2つの大きな目的がある。前者は、動物の虐待防止などについて定めることで国民の動物を愛する心を育て、生命尊重に貢献することを目指すものだ。後者は、動物の適正な取り扱いについて定めることで、人の生命・身体・財産に対する侵害を防ぐことに主眼を置いている。

その上で基本原則として、すべての人が動物をみだりに殺したり、傷つけたり、苦しめたりしないようにし、人と動物の共生に配慮しながらきちんと取り扱うことを求めている。これらの目的や原則に基づき、環境大臣は動物愛護管理基本指針を定め、都道府県は動物愛護管理推進計画を定める。法の対象となるのは、家庭動物、展示動物、産業動物(畜産動物)、実験動物など人が飼い、育てる動物だ。また、殺傷や遺棄など虐待に関する罰則の対象となる「愛護動物」として、牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬・ねこ、いえうさぎ、鶏、家鳩、あひる、人が飼っている哺乳類、鳥類、爬虫類を定めている。

動物の飼い主などには次の努力義務がある。動物の種類や習性に応じてその健康と安全を確保する。動物が人の生命などに危害を加えたり、迷惑を及ぼしたりしないようにする。みだりに繁殖しないように不妊去勢手術を行う。感染症予防のために必要な注意を払う。自分が所有する動物であると明らかにする。また、多数の動物を飼ったり保管したりすることにより周辺の生活環境が損なわれる事態が生じた場合には、都道府県知事などが飼い主に対して必要な措置をとるように勧告や命令を行う。さらに、人の生命や身体、財産に危害を加えるおそれがある「特定動物」を飼う場合には、都道府県知事などの許可を得た上で、動物が逃げないような施設を設け、マイクロチップなどを付ける。

ブリーダーやペットショップなど動物の販売・保管・貸出・訓練・展示事業を行う動物取扱業は、必要な基準を満たした上で都道府県知事などによる登録を受けなくてはならない。登録は5年ごとの更新制で、動物取扱責任者を選任して都道府県知事などが実施する研修を受講させなくてはならない。施設や動物の取り扱いについて問題がある場合には、都道府県知事などが改善勧告や命令、立入検査などを行う。悪質な場合は、登録の拒否や取り消しのほか、業務停止命令を発する場合もある。

本法は1999年と2005年、2012年に改正されている。1999年の改正では現在の題名に改められたほか、動物取扱業が届出制から登録制になり、飼い主による責任の徹底、虐待や遺棄に関する罰則を適用する動物の拡大など、規制の強化と拡充が行われた。2005年の改正では、動物取扱業への登録制導入と研修義務づけ、インターネット販売業者を規制対象に追加、個体識別措置と特定動物の飼養規制一律化、実験動物として利用する際の配慮、動物由来感染症の予防、犬・ねこ引き取り業務の委託先の明記、動物虐待に対する罰金引き上げなどが行われた。

2012年の改正では、目的に動物の遺棄防止、動物の健康と安全の保持、生活環境保全上の支障の防止、人と動物が共生する社会の実現が追加された。また、ペット販売業者による幼齢動物の販売が規制されるとともに、対面による説明や定期報告などが義務づけられた。さらに、第2種動物取扱業の届出制度が創設され、罰則も強化された。本法はこのほかに、都道府県などによる犬・ねこの引き取りと収容、動物愛護推進員と協議会、動物愛護週間(9月20日から同月26日まで)、罰則などを定めている。

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