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「コストキャップ型下水道」 詳細解説

読み:
こすときゃっぷがたげすいどう
英名:
Cost Cap Sewage Management

市場経済を基本とする日本では、さまざまなサービスの提供にかかる料金や商品価格などは、市場競争を通じて決定されることがほとんどだ。しかし、下水道などの公共料金については、国や地方自治体、議会などの公的な機関が金額の決定や改廃を行っている。一方、下水道など汚水処理施設の整備は、都道府県構想に基づいて、市町村が地域の実情に合った手法を選定している。その結果、わが国の汚水処理人口普及率は、2010年度末で87%に及び、下水道処理人口普及率は同じく75%に達する。

しかし、下水道整備の水準をみると、中小市町村で普及の遅れがあるなど地域間格差が目立つ。その背景には、人口の減少や高齢化、財政事情の悪化などさまざまな原因がある。このため、国土交通省は下水道計画を検討する上で、従来とは違う新たなアプローチである「コストキャップ型下水道」の導入を目指す方針を固め、2012年度から調査を開始した。価格上限方式、またはプライスキャップ方式とも呼ばれる。

この新手法では、下水道施設の建設や維持管理を行うにあたり、地方財政の悪化を前提として事前に投資可能額を設定する。その上で、下水道クイックプロジェクトの技術パッケージの採用や、設備の海外調達など効率的な整備手法を徹底的に採用する。また、超長期間にわたる包括委託や、民間技術力の積極的な活用を図るなど、効率的な維持管理手法を採用する。

国交省の国土技術政策総合研究所は、愛知県知多郡美浜町と、新手法の適用可能性を検討するための共同研究を2012年9月から2013年3月末まで実施している。人口約2万3000人、下水道普及率0%の同町において、低コストの下水道整備・維持管理手法を構築できるかどうか情報収集を行い、経営収支予測を実施する。その結果をもとに、同町における下水道整備と維持管理内容をまとめる。同省では、調査結果を今後の下水道整備を進めていく際の参考とする予定だ。

調査の流れは、下水道の普及を阻んでいる課題を、ハード、ソフトの両面について整理する。現状の手法や事業の仕組みが抱える課題が明らかになったら、柔軟な建設目標や明確な管理目標レベルの設定、民間活力の大胆な活用など、新たな発想に基づき課題解決の方向性を示す。その後、資料収集や自治体における汚水処理整備・管理方針を確認し、目標下水道整備区域を想定する。そして、財政と整備・管理手法のそれぞれについて検討を行い、財政状況を踏まえた新たな下水道整備・維持管理モデルを構築する。

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