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「グリーン復興」 詳細解説

読み:
ぐりーんふっこう
英名:
Green Reconstruction

2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴う津波により、東北地方をはじめとする太平洋沿岸地域は大きな被害を受けた。それは住民の生命や財産にとどまらず、自然環境にも甚大な影響を与えた。国や関連する地方自治体は、復興に向けたビジョンを策定して施策を展開するなどして、震災からの復興に取り組んでいる。環境省は同年5月に公表した復興基本方針の中で、東北地方太平洋沿岸の自然公園を「三陸復興国立公園」として再編することを位置付けた。そして翌2012年5月に「三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興のビジョン」をまとめた。

同ビジョンは、青森県八戸市から福島県相馬市までを対象として、三陸復興国立公園の創設を核とする環境に配慮した「グリーン復興」に関する取り組みの方向性を示したものだ。ここでいうグリーン復興とは、再び起こりうる地震や津波に備えつつ、自然環境に配慮しながら進めていく復興のことだ。そのための基本方針として、自然の恵みを活用すること、自然の脅威を学ぶこと、森・里・川・海のつながりを強めること、の3つをあげている。

具体的には、陸中海岸国立公園などを中核として三陸復興国立公園を創設し、復興の観点から地域と連携して自然の適切な利用を推進し、地域振興に役立てる。そして、再編した国立公園とその周辺部の里山里海などをフィールドミュージアムとし、拠点施設を整備してエコツーリズムや環境教育などを推進する。このほかにも、三陸地域を南北につないで交流を深める仮称「東北海岸トレイル」の設定、干潟や藻場などの生態系調査の実施、持続可能な社会を担う人づくり(ESD)の推進などの施策を展開する。

広報面では、環境省は2012年8月に、太平洋沿岸地域で実施された生物多様性や自然環境などに関する調査と研究の情報を共有することを目的に、情報を収集・整理、発信するポータルサイトを公開した。また、同年9月には、三陸復興国立公園の創設を柱とするグリーン復興に関する取り組みを紹介するホームページを開設した。一方、国土緑化推進機構と都道府県緑化推進委員会は、被災地の復旧・復興に使う緑の募金で集まった募金を活用して、森林づくりを柱とする復興事業を進めている。

民間の主体によるグリーン復興の取り組みも盛んだ。東北大学大学院生命科学研究科とNPO法人アースウォッチ・ジャパンは、被災地で生物多様性への影響と現状などを把握するモニタリング調査を行っている。海や田んぼの豊かな生態系や、生物多様性を育むグリーン復興を進めることが、農林水産業と共生してきた地域が着実かつ力強く復興するのに役立つとの考え方に基づいた活動だ。また、NPO法人環境文明21は、復興を担うキーパーソンを育てるワークショップを宮城県などの被災地で実施している。

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