サイト内
ウェブ

「ロッテルダム条約」 詳細解説

読み:
ろってるだむじょうやく
英名:
Rotterdam Convention

人間が作り出した化学物質は数千万種類にのぼり、その数十万種が使用されている。1992年の地球サミットで採択されたアジェンダ21が、有害化学物質を国際的に適正管理することの必要性を提言したことを受けて、UNEPの下で政府間交渉委員会による交渉が行われ、1998年9月にロッテルダムで開かれた外交会議で「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約」、別名PIC条約が採択された。2004年に発効し、2011年1月現在で日本を含む73カ国とEUが署名し、145カ国とEUが締結している。

本条約は、人の健康や環境の保全を図るために、特定の有害化学物質の特性についての情報交換を促進することを目的とし、そのような化学物質の輸出入に関する各国の意思決定の手続について定めている。また、化学物質の適正な使用を図るため、国際貿易において締約国が化学物質に関して共同で責任を果たし、努力することをうたっている。条約化の背景には、開発途上国における有害化学物質による環境汚染や健康被害が深刻化したことがある。

化学物質の輸出入については、国際連合環境計画(UNEP)と国際連合食糧農業機関(FAO)が、特定の有害化学物質の輸入の可否について事前に相手国の意思を確認し、輸出については輸入国側の意思を尊重する「事前通報及び同意手続(PIC)」の制度を1980年代から運用していた。先進国同士では、UNEPやFAOが定めたガイドラインに基づく貿易が行われていたが、こうした規制が整備されていない途上国で、先進国で使用が禁止された化学物質が使用されたり廃棄されたりして、環境汚染や健康被害を引き起こす例が多発したのだ。

本条約に基づき、条約事務局は、条約の附属書3に掲載された化学物質に関する輸入国側の輸入条件を締約国に回付する。特定の化学物質を輸出する国は、輸入国政府の意思を事前に確認しなくてはならない。また、締約国が独自に禁止や制限を行う「最終規制措置対象物質」を輸出する国は、輸入国へその化学物質に関する有害性情報などを事前に通報しなくてはならない。附属書3には2012年5月現在で43物質が掲載されている。また、日本は化学物質審査規制法などにより、最終規制措置対象物質の指定を行っている。

本条約の締約国会議(COP)が定期的に開催されており、2011年6月にスイスのジュネーブで行われたCOP5で、エンドスルファンなどが附属書3に掲載されることが決まったが、懸案とされてきたクリソタイル系のアスベストについては掲載が見送られた。また、本条約とストックホルム条約及びバーゼル条約との連携が重要であるという観点から、3条約に共通したプログラムの実施や事務局機能の統合なども採択された。COP6は、2013年に開催される予定だ。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。