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「復興基本方針」 詳細解説

読み:
ふっこうきほんほうしん
英名:
Basic Guidelines for Reconstruction in response to the Great East Japan Earthquake

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、1万6000人を超える死者と約5000人の行方不明者を出し、避難者の数が7月現在で9万人を超える大きな被害をわが国に与えた。また、被災地の広範さに加えて地震・津波・原子力発電施設の事故による複合的な災害であり、風評被害などの影響が全国各地に及んだ点でも、未曽有の大災害となった。政府は同年6月に制定・施行した東日本大震災復興基本法に基づき、東日本大震災復興対策本部と現地対策本部を設置し、7月29日に「東日本大震災からの復興の基本方針(復興基本方針)」を策定し、8月11日に改定した。

復興基本方針は、復興に向けた基本的考え方と期間、具体的な施策と支援、原子力災害からの復興、支援体制の確立などから成る。基本的な考え方は、被災地における社会経済の再生と生活再建、そして日本再生のために、国が地方自治体や民間主体と連携して仮設住宅の建設や避難所の解消、生活環境の改善、災害廃棄物の処理、ライフライン、交通網、農地・漁港などの基盤の復旧を急ぐことだ。復興期間は10年間で、復興需要が高まる2015年度末までの5年間を「集中復興期間」と位置付けている。

国による施策と支援策の目玉が、「復興特区制度」の創設だ。地域主体による復興を支援するため、地域における創意工夫を活かし、区域限定で思い切りのよい規制・制度の特例や経済的支援などの提案を実現する。具体的には、被災地域の要望を踏まえた土地利用再編手続きの一元化などが想定されている。また、地方自治体が策定する復興計画に基づき、復興のための施策を自ら展開できるように、使い勝手のよい自由度の高い交付金を創設する。さらに、企業やNPOなど民間の力が発揮されるような支援も行う。こうした施策と事業を実施する経費は、集中復興期間だけで総額約19兆円に上ると見込まれている。

東日本大震災による被害への対応を急ぐ一方で、復興の道筋を示すことも大事だ。復興基本方針は、二度と同じような悲劇を繰り返さないためにも、災害に強い地域づくりの必要性を強調している。高齢化や人口減少に対応しつつ、再生可能エネルギーの導入や省エネの徹底、景観保全など環境面にも配慮したまちづくりを進めていくとしている。また、津波災害による被害の軽減、土地利用の再編を速やかに実現できる仕組みづくり、被災者の住まいの安定確保、市町村の計画策定に対する人的支援と復興事業の担い手育成などに力を入れる考えだ。

さらに、地域における支え合いや雇用の確保、教育・文化・スポーツ振興など生活の再生や、中小企業や農林水産業、観光産業など地域経済活動の再生が必要であるとしている。また、再生可能エネルギーの利用促進やエコタウン化、災害廃棄物処理の促進などに全力をあげる方針を掲げている。そして、東日本大震災の教訓を生かして、電力安定供給の確保とエネルギー戦略の見直し、再生可能エネルギーの導入拡大と省エネ対策の推進などを軸とする新たな国づくりを進めていく姿勢を示している。なお、東日本大震災復興対策本部は復興庁の発足とともに廃止され、機能が引き継がれる予定だ。

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