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「労働安全衛生法」 詳細解説

読み:
ろうどうあんぜんえいせいほう
英名:
Industrial Safety and Health Law

工場やオフィスなどの事業場で働く労働者の健康を守るため、1947年に施行された労働基準法により、一定規模以上の事業場に安全管理者と衛生管理者を選任することが義務づけられた。また、結核などの感染症をはじめとする病気から労働者を守るため、同年施行の旧労働安全衛生規則によって、労働者に対する健康診断を行う義務が事業者に課された。その後、わが国は高度経済成長期に入り、製造業などさまざまな産業が急速に成長したが、一方で労働環境の悪化も進み、有害物質による健康被害を受ける労働者も多くなった。

こうした社会状況を背景として、労働安全衛生法(安衛法)が制定され、1972年に施行された。同法は、一定規模以上の事業場に安全管理者などを指揮する総括安全衛生管理者の選任を義務づけるなど、安全衛生管理体制の整備に重点を置いた。また、医師である衛生管理者を「産業医」と定め、労働者の健康管理に当たる専門家として位置づけた。その後、労働安全衛生規則(安衛則)などの関連規則が制定、改正され、労働者が快適に作業できる環境をつくっていくための制度面での土台が整った。

しかし、長時間労働に伴う健康障害や複数就業者の増加など、社会構造の変化を受けて労働者の生命に関わる新たな課題が浮上した。このため、安衛法は2005年に改正され、2006年に施行された。この改正の主な目的は、過重労働やメンタルヘルス対策の充実を図ることだったが、それ以外にも、危険・有害な化学物質の内容を容器や包装に表示することが義務づけられたほか、譲渡時の文書交付などに関する制度も改善された。

一方、化学物質を扱ったり、地下空間のような特殊な場所での作業に携わったりする労働者の健康を守るために、安衛則以外に鉛中毒予防規則などのさまざまな規則が定められている。また、石綿(アスベスト)などの有害物質に関する規制も年々強化されている。2006年に施行された改正安衛則により、アスベストなどを重量の0.1%以上含む物の製造や輸入、譲渡、提供、使用が禁止された。アスベストは建材に使用されているというイメージが強いが、化学工場にある設備の接合部分などにも多用されている。

アスベストを含むこうした製品については、新たな製造はもちろん、在庫品の販売や使用も禁じられている。しかし、厚生労働省によると、全国各地の清掃工場などで配管バルブのパッキンなどにアスベストが使用されている疑いがあり、対応が急がれる。

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