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「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」 詳細解説

読み:
えねるぎーまねじめんとしすてむ
英名:
Energy anagement System

エネルギーの効率的な利用、いわゆる省エネを図るシステムのことをエネルギーマネジメントシステム、またはエネルギー管理システムという。英語の頭文字をとってEMSと略すが、同じ略称の環境マネジメントシステム(EMS)と区別するためEnMSと略すこともある。2011年6月には、事業者がエネルギーマネジメントシステムに取り組む際に準拠する国際規格であるISO50001が発行した。一方、住宅やビルなどで使用される機器や設備同士をセンサーやICTにより連携させて、エネルギーの使用と管理を高効率に行う機器やシステム自体もEMSと呼ばれる。ここでは主に後者について解説する。

代表的なEMSとしては、住宅向けのホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)、ビル向けのビルエネルギー管理システム(BEMS)、工場向けの工場エネルギー管理システム(FEMS)がある。このほかに、マンション向けのマンションエネルギー管理システム(MEMS)及びそれを導入したスマートマンション、店舗やショッピングモール向けの店舗流通エネルギーマネジメントシステム(REMS)またはSEMS、地域全体を対象とした地域エネルギー管理システム(CEMS)などがある。また、サーバなどICT機器があるデータセンタ内のエネルギー需給を最適化する、データセンタエネルギー管理システム(DEMS)もある。

わが国では、1970年代の二度にわたる石油危機を克服するために省エネ法(省エネルギー法)が制定・改正され、産業・輸送分野における省エネの取り組みが進んだ。その後も地球温暖化などの環境問題に対応するため、国や地方自治体、企業などがエネルギーや資源の節約に力を入れた。その一方で、いわゆる業務や家庭部門におけるエネルギー消費がめざましく伸びる半面、省エネについては遅れが目立つ。エネルギーマネジメントシステム(EMS)は、需要部門における省エネを進めるための切り札として注目され、導入が進んでいる。東日本大震災の発生による原発事故を受けた節電要請もこの流れに拍車をかけた。

たとえば家庭向けのHEMSでは、エアコンや給湯機器など各部屋にあるエネルギーを使用する機器をICTネットワークでつないで自動で制御する。オフィスビル向けのBEMSでは、照明や空調などエネルギー機器・設備の運転やエネルギー使用状況を集中管理する。いずれの場合も、省エネや節電の制御を一元化するとともに、エネルギーの流れを「見える化」するための工夫が凝らされている。さまざまな場所でエネルギー管理が導入されることは、スマートグリッドによるスマートシティ化やスマートコミュニティ化とあいまって、エネルギーの地産地消に大きく貢献する。

国も需要側におけるエネルギー管理を重視し、2013年5月に公布した改正省エネ法に電力ピーク時の対策として盛り込んだ。工場や輸送などエネルギーの需要家が、従来の対策に加えてHEMSやBEMSなどのエネルギー管理システムなどを導入して電力需要ピーク時の系統電力使用を低減する取り組みを行った場合に、プラスに評価する仕組みを整えた。2014年にも施行される予定だ。

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