湖沼、内海、内湾、汽水湖など、外海との水の交換が行われにくい水域。閉鎖性水域における汚濁の主な原因は、生活排水や工場排水などだ。汚濁物質がたまりやすく、富栄養化の進行による赤潮や異臭などが発生するため、水質の保全や改善が難しい。このため、下水道や浄化槽などの排水処理施設を整備して、汚濁物質の流入量を削減する施策が欠かせない。
湖沼の富栄養化対策としては、水質汚濁防止法に基づく窒素及びりんに関する排水規制が行われている。一方、とくに対策が必要な湖沼については、湖沼水質保全特別措置法にもとづく保全計画策定などが行われている。規制措置としては、湖沼特定事業場に対する汚濁負荷量の規制や、一定規模のし尿浄化槽などに対する排水規制などがある。
海域における富栄養化対策としては、公共用水域へ水を排出する特定事業場に対して、窒素及びりんに関する排水基準が適用される。また、人口や産業が集中して濃度規制のみでは環境基準の達成が困難な広域的な閉鎖性海域については、化学的酸素要求量(COD)と窒素・りんを対象とした水質総量規制が実施される。現在の第7次水質総量規制は、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海を対象としており、2015年度を目標年度としている。