トンネルを掘削する際に、地上を掘り返すのではなくモグラのように地下を掘り進む技術・工法のこと。主な非開削技術の種類として、推進工法やシールド工法、モール工法などがあり、鉄道や道路のほか、電力やガス、上下水道管、通信線などのライフライン埋設に用いられる。都市部などでは地下空間の利用が急速に進み、シールドトンネルが大深度化、長距離化、大断面化するようになっている。こうしたトンネルを埋設する際に、従来は地上から地中へ切り拡げていく工法が用いられていた。しかし、地上からの開削では地盤改良などの大規模な補助工法を伴う場合が多く、地上の占用条件や地下埋設物との干渉などの制約もあって、工期や工費の面で大きな課題を抱えていた。このため、地上への影響が少ない非開削技術の開発が進められるようになった。
例えば、長さ1kmの管を埋設する場合に、地上からの開削では1kmすべての路面を掘り返して管を埋め戻す必要がある。一方、非開削技術を利用すれば埋設する始点と終点だけを掘り返して、そこから掘削機などと呼ばれる穴掘り用の機材を入れて地下を1km掘り進んでいけばよい。これにより路面を掘り返す面積が小さくて済み、工事に伴う騒音や振動なども少ないことから、環境影響の少ない開削技術として注目されている。また、工事に伴う道路渋滞も緩和されるため、自動車排ガスが減少するという二次的な効果もある。非開削技術は地下パイプラインなどの埋設だけでなく、調査や検査、維持管理、マッピングなどにも活用されている。
非開削技術に関する国際的な組織として、英国のロンドンに本部を置く国際非開削技術協会(ISTT)がある。また、世界20数カ国に非開削技術協会があり、日本では1989年にできた日本非開削技術協会(JSTT)がISTTに加盟して、地下利用技術の進歩と安全性の向上を図るための活動を行っている。