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「黄砂」 とは

読み:
こうさ

 中国奥地のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などから、春先に偏西風に乗って土壌・鉱物粒子が日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象。DSS(Dust and sandstorm)とも呼ばれる。従来は風によって砂塵が運ばれてくる自然現象であると理解されてきたが、近年、その頻度と被害が増大しており、過放牧や農地転換による土地の劣化等との関連性も指摘されている。このため、単なる季節的な気象現象という認識から、森林減少や砂漠化といった人為的影響による環境問題へと認識が変化している。また、発生源地域周辺の農業生産や生活環境に被害を与えるばかりでなく、大気中の黄砂粒子を核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の気候に影響を及ぼすなど、越境する環境問題としても注目が高まりつつある。黄砂の発生量は年々増えているとの指摘もあり、とくに2002年は中国大陸の降水量が少なかったためか、これまで飛来することがほとんど無かった北海道でも黄砂が確認された。呼吸器系疾患、温暖化への影響が指摘される一方、黄砂粒子からは、土壌起源ではないと考えられるアンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなども検出されており、人為起源の大気汚染物質を取り込んでいる可能性も示唆されるなど、実態は不明な点が多い。環境省は、2002年12月に「黄砂問題検討会」を設置、黄砂問題に係る科学的知見の整理・収集、黄砂問題に対する今後の取り組みの検討を行い、2005年に黄砂問題検討会報告書を公表した。同省ではまた、「黄砂飛来情報」(ライダー黄砂観測データ提供ページ)で、専用の機器(黄砂観測ライダー)によって観測された北東アジア地域における黄砂のリアルタイム観測状況を紹介している。黄砂への対策としては、発生場所での被覆など発生源対策や、気象庁による黄砂予報の充実、モニタリングネットワークの構築などが必要とされている。

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