大気汚染物質などが国境を越えて発生源から遠く離れた地域まで運ばれ、他国などの環境を汚染すること。そのひとつが酸性雨で、欧州では1960年代から酸性雨による森林破壊などの問題が深刻化した。米国とカナダの間でも、五大湖周辺にある工業地帯に由来する汚染が起きた。日本では、中国から偏西風に乗って飛んでくる黄砂やPM2.5などによる大気汚染と、健康への被害が問題になっている。
越境汚染には、大気を経由して汚染が移動するほかにも、廃棄物の国境を越えた移動や汚染物質を取り込んだ魚の輸出などの経路もある。このような問題については、国際法上の「領域使用の管理責任」の原則に則って、越境汚染に関する損害防止が国家の権利義務として認められている。
チリのノーベル賞詩人であるパブロ・ネルーダは、詩の一節で「雨は何語で降ってくるの?」と酸性雨の越境汚染を表現した。