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丸岡城で特別なツアーを体験!食、自然、歴史…魅力あふれる福井県坂井市の観光地を一挙紹介

  • 2024年1月22日
  • Walkerplus

2023年10月、日本の重要文化財である「丸岡城」を舞台に、地域の歴史や食、文化、技を体感できるツアー「月待の宴 朧〜OBORO〜」が開催された。

編集部スタッフはこの特別な機会を体験すべく、福井県坂井市へ。本稿では、ツアーが始まる夕方までのあいだに訪れた観光名所とそこで出合った素晴らしい景観やグルメ、そして丸岡城でのイベントについてレポートする。

■神秘的で雄大な自然に触れる、神の島「雄島」

最初に訪れたのは、東尋坊の沖合いに浮かぶ無人島「雄島」。昔から海の神様の島として崇められ、今でも手付かずの自然が残っている。雄島橋の往復だけなら15分、時計回りに島内を1周すると40分ほどの小さな島だ。

朱塗りの雄島橋を渡り、島の入り口にある大きな鳥居をくぐった先にある石段を上がると、海での無事を祈願して祀られた大湊神社がある。

お社(やしろ)の向かいにある鳥居の先に広がるのは、一面の日本海。澄んだ空気と雄大な自然を全身で感じつつ、都会の喧騒を忘れリフレッシュできるスポット。

この神社では、毎年4月20日に例大祭「雄島祭り」が開催される。子ども神輿や男衆の船神輿、女衆の乙女神輿が地区内を巡行し、賑やかで活気あふれる祭りだ。なかでも、船神輿を担いだまま海に入る様子は圧巻の迫力だという。

■荒々しくも美しい景観、絶好の夕陽スポット「東尋坊」

次に訪れたのは、越前加賀海岸国定公園にある国の天然記念物「東尋坊」。約1キロにわたり巨大な柱状の岩(柱状節理)が織りなす海岸線は圧巻の光景だ。柵などはなく、眼前いっぱいに広がる水平線は絶好のフォトスポット。溶岩が冷え固まったときにできたといわれるこの大規模な柱状節理は世界でも珍しく、「世界三大奇勝」に数えられる。日本海の荒波に耐え、長い年月をかけて作り上げられた芸術的な地形を、足元に気をつけながら、ぜひ全身で感じてほしい。

また、夕陽の名所としても知られており、水平線に沈んでいく様子を眺めることができる。運がよければ、太陽が完全に没する瞬間に緑色に光る「グリーンフラッシュ」に出合えるかもしれない。

ここでしかお目にかかれない壮大な景観を楽しんだあとは、東尋坊商店街で腹ごなし。東尋坊につながる観光商店街には、各種お土産や北陸の幸・越前がになどの海鮮などがずらり。「がけっぷち」Tシャツや「がけっぷち」シュークリームなど名物商品も多数並んでいた。

今回は、1977年(昭和52年)創業の「正太楼」でランチタイム。

新鮮な海の幸を味わえる「にぎり寿司」と「海鮮丼」をいただいた。ネタはおまかせで、その時々の旬の海鮮を楽しめる。

ちなみに現在この東尋坊エリアは再開発の最中で、お店をリニューアルしたり、冬でも楽しめるような施設をつくるなど、より観光しやすい環境づくりを進めているとのことだ。

■東尋坊
住所:福井県坂井市三国町東尋坊
アクセス:えちぜん鉄道三国駅から京福バス東尋坊行きで約15分、終点下車/JR芦原温泉駅から京福バス東尋坊行きで約45分/北陸自動車道金津ICから車で約15分
時間:東尋坊の散策は24時間いつでも自由
【東尋坊商店街】9時〜17時(冬季は16時頃まで。店舗により営業時間が異なる)
【東尋坊タワー】9時〜17時(冬季は9時〜16時30分)
【東尋坊遊覧船】9時〜16時(冬季は9時〜15時30分)

■レトロモダンな「三國湊」でまち歩き
次に向かったのは、古きよき街並みが残る三國湊エリア。格子戸が連なる町家、豪商の面影が残る歴史的建造物など、情緒ある町並みを楽しむことができる。一時は取り壊しや撤収などの話も出ていた空き家や建物たちが、地域の人たちの「古いものを守りたい、後世に残したい」という想いに支えられ、リノベーションして活用することになったのだという。

旧森田銀行本店
1920年(大正9年)に建てられた、三国湊を代表する豪商のひとつである森田家が開いた銀行の本店で現在は有形文化財に登録されている。外観は西洋風のデザインで、中に入るとケヤキの一枚板で作られたカウンターや重厚な金庫の扉、窓枠や壁に施された象嵌(ぞうがん)など、贅沢で上品な内装が当時のまま残っている。応接間の中央にあるふかふかの椅子に座り、部屋中をゆったり見回してその美しさを堪能してほしい。また、なかでも吹き抜けの先にある天井に施された漆喰の装飾は見応え抜群。中央の部分は厚さ50センチもあり、2階から見るとその重厚感に驚かされる。

古民家ゲストハウス「詰所三國」
町家をリノベーションして建てられたこのゲストハウスは、もとは築百数十年の薬屋だった。その趣を残しつつ、現代的な快適性を備えた宿に生まれ変わった。一棟を縦に割り、左棟を「行雲」、右棟を「流水」と名付け、自宅のようにゆったりと過ごせるようにインテリアも含め隅々まで設計しつくされている。“おもてなしを受ける”のではなく、この街の住人のように思い思いの時間を過ごせる、味わい深い素泊まり宿だ。

■詰所三國
住所:福井県坂井市三国町南本町3-3-17
アクセス:「えちぜん鉄道 三国駅」より徒歩5分
詳細:【行雲】定員:4名/料金:2名の場合1人あたり1万1300円〜
   【流水】定員:4名/料金:2名の場合1人あたり1万4300円〜

このほかにも三國湊エリアでは当時のまま残され歴史を感じられる建造物や、古い町家などを利用したコンセプトショップが少しずつ増えてきている。さらに、2024年1月には新たな宿泊施設も完成予定だという。

■禅の世界に触れる「永平寺」
曹洞宗の大本山「永平寺」は、寛元2年(1244)に道元禅師によって開かれた禅の修行道場。広大な敷地と70を超える諸堂を誇るが、今回はそのなかでも「絵天井の間」として知られる「傘松閣(さんしょうかく)」と、修行に欠かせない重要な建物である「七堂伽藍(しちどうがらん)」を案内してもらった。

厳格な雰囲気と凛とした空気を感じながら、じっくりと参拝し禅の教えに心を傾ける。日常をしばし離れ、上質な時間を過ごしたい人には特におすすめだ。山深い地にあるこの場所は四季折々の景観の美しさも魅力。

■永平寺
住所:福井県永平寺町志比5-15
時間:8時30分~16時30分(入場は16時まで)※季節により変更有
アクセス:福井駅東口から京福バス「特急永平寺ライナー」で直通約30分/えちぜん鉄道福井駅から勝山永平寺線で「永平寺口駅」下車、京福バス「永平寺門前行」または「永平寺行」に乗り換えて終点下車、徒歩5分
料金:拝観料 大人1人500円

■福井の文化を伝える、日本酒と食のテーマパーク「ESHIKOTO」
2022年6月にオープンした複合施設「ESHIKOTO(えしこと)」は黒龍酒造を擁する石田屋二左衛門が創造したブランドで、お酒を核に、福井県を中心とした北陸の食や文化を伝えるために建てられた。「えし」とは古語で“良い”という意味で、福井の良い文化を伝える拠点として名付けられたという。また、逆から読むと「とこしえ」となり「永久の豊かな時間」という想いが込められている。建物の目の前には九頭竜川が流れており、春になると満開の桜が見られたり、夏には鮎が豊富に釣れるなど季節折々の風景が楽しめる。

臥龍棟(がりゅうとう)
お酒の発酵・熟成をさせる建物「臥龍棟」の内部は高さ11メートルもあり、尖った天井はまるで教会のようなデザインと雰囲気だ。広い面積と洗練されたデザインを活用し、今後はさまざまなイベントを開催できるよう企画しているという。
※「臥龍棟」は通常、見学できません。今後イベント開催時に開放を予定しています

石田屋ESHIKOTO店
女優で陶芸家でもある結城美栄子さんによるアート作品が飾られる酒樂棟(しゅらくとう)には、「石田屋 ESHIKOTO店」とレストラン「Apero & Patisserie acoya」の2棟が併設されている。今回は日本酒のテイスティングもできる「石田屋 ESHIKOTO店」で、3種類のおすすめをいただいた。

テイスティングは45ml×3種類 1800円。1種類600円でも試飲可能となっている。また酒コーナーには15種類以上ものお酒が並んでおり、旅の思い出や大切な人へのお土産、贈答品にもぴったりな1本が見つかること間違いなしだ。

■ESHIKOTO
住所:福井県吉田郡永平寺町下浄法寺第12-17
時間:各店舗に準じる
アクセス:JR福井駅から車やタクシー・レンタカーで約30分/えちぜん鉄道 勝山永平寺線「永平寺口」駅で下車、タクシーで約5分
※毎週水曜日・第1.3.5火曜日は閉館日/入場は20歳以上/ペットの同伴不可

■福井の食と文化を味わう「月待の宴 朧〜OBORO〜」
丸岡城は、江戸時代以前に造られ、当時の姿で現在まで残っている現存12天守のひとつ。昭和23年の福井地震により石垣もろとも完全に倒壊したが、天守の材料や石垣などの主要部材の多くを再利用して昭和30年に修復修理され復活。重要文化財となっているこの貴重な場所を舞台に、2023年10月28日、29日に「月待の宴 朧〜OBORO〜」は開催された。

さっそくテーブルへ案内され、丸岡城を目の前に野点が始まる。抹茶と上生菓子をいただき、まずはほっと一息。

その後は丸岡城へ入っていき、敵襲に備えた階段の造りに感動しながら天守の最上階へと向かう。ちなみに城内の1階から2階に上る階段の角度は65度、2階から3階部分で67度だという。

お天守杯
普段は飲食禁止の天守最上階で、食前酒とアペタイザーが振る舞われる「お天守杯」。かつての城主も愛したであろう絶景を前に、この特別な体験に乾杯をした。

一筆啓上
日本一短い手紙といわれる「一筆啓上」は徳川家康の家臣、本多作左衛門重次が妻へ宛てた「火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」とシンプルながらも想いが込められた手紙がルーツとなっており、丸岡町の文化として根付いている。今回はその一筆啓上を、神聖な天守で月の光に照らされながらしたためる。特別な場所、静寂、雰囲気も相まって思い出に残る体験となった。

一流シェフによる城郭ダイニング
城下に降りたら、いよいよディナー。この日限りの幻の野外レストランにて、地元の食材を使った福井のトップシェフによるフルコースが振る舞われた。料理は、フレンチ料理をとおして福井の文化、伝統を表現する「cadre(カードル)」と、ミシュランガイドで2つ星を獲得した金沢のスペイン料理店「respiracion(レスピラシオン)」のスタッフが手掛ける。

丸岡のカボチャや鹿肉、三国港の塩ウニに甘エビと、新鮮な福井の食材をふんだんに使用した料理の数々は、「黒龍」をはじめとした地酒との相性も抜群。お腹だけでなく心も満たされる特別なひとときを堪能した。

天守を彩るプロジェクションマッピング「丸岡城×ネイキッド ヒカリ結び」
ツアーのあとは、ほぼ毎日上映されている、クリエイティブ・プロダクション「NAKED(ネイキッド)」が手がけるプロジェクションマッピング「ヒカリ結び〜伝説編〜」を鑑賞。丸岡城にまつわる伝説(お静人柱伝説、雲の井竜神伝説)をモチーフに組み立てられたストーリーが、最先端の技術で繊細に描かれている。上映は原則毎日、20時00分~、21時00分~の計2回。上映時間は約15分間で、丸岡城天守閣の北東側壁面に投影される。上映する映像は季節ごとに入れ替えているそうだ。

初めての試みとなった丸岡城天守を舞台とした「月待の宴 朧〜OBORO〜」。本ツアー実施の経験を活かし、坂井市は今後もさまざまな企画を考えていきたいとのこと。

2024年3月16日に開業を予定している北陸新幹線により、より福井県へアクセスしやすくなる。この機会に、食だけでなく、歴史や文化、自然と魅力あふれるスポットが盛りだくさんの福井県坂井市に一度足を運んでみてはいかがだろうか。

取材=浅野祐介、文・撮影=山本晴菜

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