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アイスの「白くま」が今、白くなくなっている?鹿児島のローカルスイーツが全国で愛される理由とルーツに迫る

  • 2022年6月11日
  • Walkerplus

コンビニやスーパーで当たり前のように見かけるアイスの「白くま」。カップに入った練乳氷にフルーツがトッピングされた華やかなビジュアルのものや、フルーツや小豆が入ったアイスバー状のものなどが主流で、これから到来する本格的な夏に欠かせないひと品だ。

しかし、白くまはもともと鹿児島のご当地スイーツだったのをご存知だろうか。今ではどこでも見かける商品であるため、てっきり発売当初から全国展開がされていたものだと思いきや、実は九州の一部の地域だけで販売されていた商品だったのだ。

では、なぜ全国デビューに至ったのだろうか。白くまを全国で販売している丸永製菓株式会社 取締役の永渕寛司さんに話を聞くと、今や身近な存在となっているコンビニが全国展開の鍵だったことが判明。さらに最近は“白くない”という新事実も!まだまだ謎多き白くまのルーツに迫った。

■コンビニ展開が成功の鍵!時代の流れで全国区へ
白くまの誕生の経緯については諸説あり、本場・鹿児島で白くまの原型となっている「氷白熊」の本家と言われる「天文館むじゃき」が発祥という説が有力。鹿児島で白くまを販売しているかき氷屋さんは県内に何店舗も存在する。

「約50年ほど前にご当地スイーツを市販化する流れがあり、同時期に九州のいろんなメーカーが白くまの商品を開発し、販売を始めました。当社もそのうちの1つです。ちなみに商品名の由来として、真上から見たときに“白くまっぽい”という説があるみたいです(笑)」

市販化からしばらくは主に個人商店で販売されていたため、九州以外での販売はなかったが、1994年に当時流通のメインになりつつあったコンビニに展開されたことがきっかけで一気に全国区の商品に。もしかすると、当時テレビなどで取り上げられているのを見て白くまを知った人も多いのではないだろうか。

「もちろん全国のスーパーで採用していただいたのも知名度向上の理由の1つですが、コンビニはトレンド商品を多く取り揃えていますし、なにより東京を基点として全国津々浦々に商品が行き届くので波及効果がすごかったですね」

そして衝撃的な全国デビューから30年近く経った今、白くまにある変化が起き始めている。

■今はもう白くない!?シンプルな味わいを生かした工夫
全国的な知名度になった白くまだが、本場の鹿児島では従来のスタイルにとらわれない豊富なバリエーションが展開されているんだとか。調べてみると「天文館むじゃき」でもいろんな種類の白くまが提供されていて、チョコレート味やストロベリー味など、もはや私たちがイメージする“白い白くま”ではなかった。なかにはプリンが乗っているものもある。

丸永製菓もこれまでになかった自由度の高い白くまを開発している。なかでも「白くまデザート」シリーズは新たな試みがなされており、練乳氷だけでなくバニラアイスが入っていたりするものも。そしていちごやメロンソーダなどフルーツの鮮やかな色合いにより、現在の本場と同じ“白くない”新たな白くまとなっている。

「表面だけでなく底にまでバニラアイスが入っているので、最後のひと口まで楽しめます。また、フルーツが多めなので少しお得感もあります(笑)。また、このシリーズは主にスーパーで展開している商品で、発売してから売上は常に右肩上がりなんです。練乳ベースなので、どんな素材とも基本的に相性が良いんですよね。個人的にはブランデーで風味付けして食べるのがとてもおすすめです。一度試してみてください!」

今注目したいのが、2022年2月21日に発売された新シリーズ「PREMIUM しろくまパフェ」。バニラアイスの下にかき氷があり、最後まで飽きの来ないおいしさになっている。このシリーズもこれまでとは一線を画した新たな白くまといえる。

もちろん、1972年に発売された初代「白熊」や1986年に発売されたアイスバーの「白くま」に加え、家族で楽しめるマルチパック、フルーツ多めの大容量のものなど、従来の味わいを守り続けている商品も健在。ぜひお気に入りを見つけてほしい。

■姉妹品「あいすまんじゅう」はなぜか東北で人気!
白くま以外にも丸永製菓には「あいすまんじゅう」という商品があるのをご存知だろうか。北海道産の小豆あんとバニラアイスの相性の良さが大きな魅力。さらに抹茶やあまおう、和栗など味の種類も豊富で、実は白くまよりも歴史が長く今年で誕生60周年を迎えるのだ。

「東北ではなぜか『白くま』より『あいすまんじゅう』がよく売れるんですよ。特に名産があるというわけではないのですが…。逆に関西では京都など“和”のイメージがあるにも関わらず、なぜか『白くま』のほうがよく売れます。あいすまんじゅうのほうが白くまより和スイーツっぽいのに、なぜ?と思っています(笑)」

ちなみに、現在「あいすまんじゅう愛すキャンペーン」が開催中だそう。抽選で1120名に当たるキャンペーン賞品には「A賞」「B賞」「Wチャンス」の3つが用意されている。(6月30日(木)まで)

■コロナ禍で需要に変化も。世代を超えて愛される白くま
数ある白くまのなかでも、コロナ禍で売れる商品の傾向が変わりつつあるという。これまでは単品が多く売れていたそうだが、外出する機会が少なくなり家族と過ごす時間が増えたことで、マルチパックの売上が好調なんだとか。

「緊急事態宣言下で、一時は家庭の冷凍庫が冷凍食品でいっぱいになる傾向があり、アイスが売れない時期もありました。しかし最近では売上も堅調で、お客様からも『アイスを食べることでいい気分転換になっている』とうれしいお声もいただいております」

丸永製菓の白くまは今年で誕生50周年。購入しているのは主に大人で、その多くが子供の頃からよく食べていた人だそう。「小さい頃に食べていたアイスって、おそらく親が買ってきたものが多かったと思うんです」と話す永渕さん。一度食べたら忘れられないおいしさの白くまだからこそ、鹿児島のスターから、全国各地で世代を超えて愛されるロングセラー商品となったのだろう。

取材・文=西脇章太

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