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【漫画】最後の“お別れ”「いいお葬式」ってこういうの?親戚やご近所さんが集う笑いの絶えない時間にさまざまな思いがリンクすると話題

  • 2022年4月2日
  • Walkerplus

コロナで思うようなお葬式ができなかった人、実際に同じような体験をした人から「死んだ後も、こんな風にいいお葬式だったと言われるような葬式がしたい」「たくさんの人に慕われた温かいいいお葬式にジーンときた」など、コメント欄に多くの反響がある岸田夏子(@natsugasuki2)さんの「その一日は、」を紹介する。

昨今、いろいろな形のお葬式があるとはいえ、一言で「いいお葬式だった」と多くの人がコメントする理由は何か?本作について作者の岸田さんに制作秘話や見どころを伺った。

――お葬式をテーマに執筆されたきっかけは何ですか?

2年前、トーチwebさんの漫画賞に応募するために描きました。佐々木倫子先生の「おたんこナース」に出てくる主人公の祖母のお葬式のエピソードがとても好きで、自分もあんな作品が描きたいと思い、作ったのが「その一日は、」です。

――全国でいろいろな葬儀があると思いますが、あの笹の葉を持つならわしは、どこの地方のものでしょうか?

地元のある高知県四万十町がモデルです。母に確認したところ諸説あるようですが、「故人を見送るためや、亡くなった人と生きている人との世界を分けるためにする儀式」だそうです。笹を使うのは昔の人にとって生活道具として欠かせないもので、貧しくても豊かでも手に入るものだったから、との話でした。

――たくさん夏空と入道雲が描かれています。主人公の心模様とリンクして、晴れやかに写りました。こちらは意図があって加えられているのでしょうか?

単純に夏が好きだから、というのもありますが、祖父の葬儀があったのは5月の晴れた日でした。ただの青空でもいいんですが、くっきりとした入道雲のある夏の空にした方が葬儀の後に感じた気持ちをより表せるのではと思い、使いました。

――Twitterで2.4万いいねがつきました。いわゆるバズ漫画になりましたが、岸田さんから見て何がバズりポイントだったと思いますか?

バス漫画はいろんな要因がうまく噛み合って起こるものだと思っていますが、この作品を読んだココハナ編集部の担当さんから、生死について考えることが増えた近頃の空気の中で、穏やかで温かいお葬式の描写に心を動かされる人が多かったのではないか、との言葉を頂きました。そうだったら嬉しいなと思います。

――同時に「叔母の葬式」というこちらもお葬式をテーマにした作品を紹介します。こちらは「集英社ココハナツイッター漫画大賞第1回大賞受賞作」と伺いましたが、どのようなきっかけで描かれたのでしょうか?

23歳の時に一度他の商業雑誌でデビューしたんですが、思うようにいかず3年で辞めてしまいました。そこから創作活動を止めていたんですが、「また頑張ろう!」と決めて投稿先を探していた時、偶然見つけたのがこの賞でした。働きながら漫画を描くことに大変さを感じていたので4ページなら、と思ったのがきっかけです。お葬式ものが続いたのは自分でも気づかなくて、多分無意識に「その一日は、」でデビューに至らなかったのが悔しくて、もう一度同じテーマで挑戦したんだと思います。

――主人公は叔母の恋人に淡い恋心を抱く、いわゆる「初恋」を体験したという4Pのショートストーリーです。恋をすると書きたくなるというのは、岸田さんの体験談ですか?

叔母の恋人に恋心を抱くお話にも捉えられるんですが、主人公ははじめて目にした男の人の涙を美しいと感じ、その衝撃を何かに表現しようとする気持ちを恋に例えています。恋をする対象は男の子だけじゃなくてもいいと思っていて、例えば叔母なら描くことに恋をしています。私自身、漫画を描くのってすごくしんどいなと感じているんですが、どうしてもやめられないので恋みたいだと思っていて、そこは体験談になるかもしれません。

――最後に読者の方にメッセージをお願いします。

誰の目にも入らずに終わったかもしれない作品が、こうしてたくさんの方に読んで頂けてとても嬉しいです!ありがとうございました。これからもっとたくさんの作品を描いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

本作は久しぶりにあった親戚やご近所の人、大勢の人に見送られる昔ながらの「いいお葬式」で、1コマ1コマが自分の心の中にあるお葬式とリンクする。この作品の読後、もう一度「大切なあの人」のことを思い出す時間をくれる温かい漫画だ。

取材協力:岸田夏子(@natsugasuki2)

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