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『天気の子』に登場したのはなぜ?実は地域限定デザインもある?「バニラカー」の謎に迫る!

  • 2022年2月24日
  • Walkerplus

ド派手なラッピングと、一度聴けば忘れることができない「バーニラ!バニラ!バーニラ求人!」という音楽でお馴染みの「バニラカー」。高収入求人情報サイトである「バニラ」の宣伝用のトラック、いわゆる「アドトラック」だが、今やサイトよりもトラックのほうが有名になっている。

多くの人が街なかやSNSで見たことがあるのに、いつからアドトラックのなかでも確立された存在になったのか、どのエリアを何台が走っているのかなど、なかなかその素性を知る機会は少ない。そこで今回は、バニラカーのプロモーションと広報を行う会社の担当者に、バニラカーの誕生秘話や知られざる取り組みについて聞いた。

■派手になった理由と「バニ子」「バニ男」の関係
バニラカーが走り始めたのは2014年。当時の広報担当者が、繁華街を走る派手なラッピングのアドトラックをたまたま見かけたのが始まり。「バニラでもこれをやってみたい!」と思いたったのが全ての始まりだったという。

「派手なバニラのトラックを街で走らせたら目立っておもしろいのでは?と思ったことがきっかけでした。早速トラックを制作して音楽をかけながら走らせたところ、『曲が耳に残る』とSNSなどで大反響になりました」

SNSやYouTubeなどで街を走るバニラカーの姿やテーマソングが拡散され、一躍有名に。数あるアドトラックのなかでも圧倒的な知名度を誇る要因には、思わず二度見してしまうド派手なラッピングと「バーニラバニラで高収入!」のクセになる音楽など、とにかく人の記憶に残るためのさまざまな工夫と努力があった。

「現在東京都内をはじめ全国の繁華街では、さまざまな企業のアドトラックが走行しています。そのなかで、ただただきれいなデザインにしてしまうと目立たなくなってしまうため、キャラクターを作ったり思いきり華やかにしたりと、見る人にインパクトを与えるような工夫を施しました」

ピンクや赤を基調としたデザインと、オリジナルキャラクター「バニ子」が描かれているのも、親しみを持ってもらうための戦略の1つ。サイトのPRをおこなっていくうえでイメージキャラクターを作ろうという話になったとき、社内でキャラクターデザインを募集した結果、バニ子が選ばれたという。現在のメインキャラクターは、バニ子のほかに弟の「バニ男」、メガネをかけた「バニ美」の3人。特にバニ男はレアキャラなので、見かけたらラッキーだ。

バニラカーが街を走るのは、多くの人が街を移動する午後から夜にかけて約7時間ほど。夜になるとさらに目立たせるため、ネオンを光らせて走行するという。爆音と共に公道を走るバニラカーだが、もちろん道路交通法も遵守しながら走行している。テーマソングのボリュームも道路状況に合わせて変えるなど、周囲への配慮も怠らない。

「大きな音で目立つように走行はしていますが、規定音量がありますのでそれが守られているかを毎日しっかり確認・管理しています。また、緊急車両や一部の公共施設を通過する際は音を止めるなど、迷惑にならないようにしています」

そして気になるのが、バニラカーの“中身”。特に荷物をのせる必要はなさそうだが、中身は企業秘密だという。バニラカーが安全かつ目立つための工夫が詰まっているそうだ。

■ご当地バニラカーを見たことある?京都限定はまさかの茶色
全国各地の繁華街を中心に宣伝をおこなうバニラカー。実は地域によってトラックのサイズが違ったり、景観に合わせてローカライズされたバニラカーも走っているのだとか。

現在、4トントラック、2トントラック、軽トラ、そしてバスとさまざまな車体があり、北は北海道から南は沖縄まで全国各地で20台以上が毎日走り回っている。そして過去には東北バージョン、北陸バージョン、中国地方バージョン、沖縄バージョンなど、限定デザインのバニラカーがそれぞれの地域にあった。

そんな地域限定バニラカーのなかでも特に注目を集めたのが、京都限定のバニラカー。町屋を思わせる茶色い市松模様のはんなりバージョン。いつもはド派手なバニラカーだが、京都ならではの景観を損ねないようにと配慮がされ、和なデザインになった。

「馴染んでもらいやすいように地域ごとにデザインを変えたり、地域の名所や名産をテーマにしたご当地限定カーを走らせたりもしました。特に京都のバニラカーは予想以上の反響があり、多くの取材依頼をいただくことができました」

2022年現在、京都以外のご当地バニラカーは走行しておらず、全国統一デザインとなっている。今後、再びご当地バニラカーを走らせる予定もあるそう。あなたの住む地域にバニラカーがやってくる日も近いかもしれない。

また、現在進行形で新しい車種が検討されているが、どんな車種になるかはまだ秘密とのこと。新車種のバニラカーを見かける日が待ち遠しい。

■「バニラといえば」のあのテーマソングが260万回再生を突破
バニラカーといえば、中毒性のあるあの音楽。毎日あの爆音のなかで車を走らせるバニラカーの運転手が心配になるところだが、「車内には音が聞こえづらい工夫をしているので、運転手は特にストレスを感じていないようです」と担当者。

「バーニラ!バニラ!バーニラ求人!」というテーマソングだが、これは実際にプロの作曲家が作った曲だという。「アドトラックを走らせるなら音楽も流すべき」と依頼して完成した。

「『耳に残る、思わず振り向いてしまうような曲を作りたい』という希望でできたのがこの曲でした。歌詞を見ただけで頭の中に曲が流れると言われるほど中毒性のあるテーマソングです。たびたびメディアで使用されたりもしています」


頭にこびりついてしまうキャッチーさがSNSでも話題になり、YouTubeの公式チャンネルで配信されたテーマソングの動画は260万回再生にのぼる。音源を使用してリミックス曲が作られることもあるんだとか。

そんな人気を受けて、2022年2月28日(月)より「テーマソングアレンジコンテスト」が開催される。グランプリに選ばれるとアレンジ音源が流れるバニラカーが1週間限定で渋谷の街を走行するので、音楽が好きな人はぜひ挑戦してみてほしい。

■プラモデル化に銀幕デビュー。勢いが止まらないバニラカー
今や本体である求人サイトよりも有名になってしまったバニラカーだが、2018年にはプラモデルなどを販売する青島文化教材社から直接オファーがあり、プラモデル化を果たすことに。32分の1という大きさながら高クオリティに仕上がっており、バニ子などが描かれたラッピングも見事に再現。あまりの人気に現在は品切れ中だ。

「とても精密でリアルなバニラカーを再現していただきました。当時は限定1000台で商品化しましたが、現在は完売しています。SNSではよりリアルに改造する方も現れ、ライトアップされたり、実際に音楽が流れたりと大変驚きました。今後もファンの方に楽しんでいただけるようなユニークなグッズを手掛けていきたいですね」

そしてプラモデル化だけでなく、なんと銀幕デビューも果たしてしまう。繁華街の象徴になりつつあるバニラカーは“日本ならではの景色”として、2021年にNetflixで配信された映画『KATE』にてハリウッドデビューを果たすことに。他にも2019年にはアニメ映画『天気の子』に新宿歌舞伎町前を走るバニラカーが出演し、観た人を驚かせた。

「『天気の子』は、『新宿の風景として使わせてほしい』ということでオファーをいただきました。そのぐらい根付いているのかと思うと、とてもうれしいですね。これからはアニメや映画などさまざまなメディア作品や、キャラクターなどとのコラボ活動を増やしていきたいです」

2014年に走り出したバニラカーは、ついに世界進出まで果たしてしまった。「今後はさらにバニラカーの台数を増やし、今以上にバニラを多くの人に知っていただきたいです」と、担当者はこれからの意気込みを話す。

8年間、変わらぬド派手な装いで人々から注目を浴び続けているバニラカー。次はどの作品や街に現れるのだろうか。これからの動向が楽しみだ。

取材・文=福井求

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