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昔話に“時短”を導入したら展開がハチャメチャに!主役すら交代の「タイパ最高桃太郎」に爆笑【作者に訊く】

  • 2024年4月28日
  • Walkerplus

「むかしむかしあるところに…」お決まりの語りで始まる昔話も、全編通すと意外とストーリーは長いもの。そんな童話を現代の「タイムパフォーマンス」重視にアレンジしたらどうなる?

パロディネタや理不尽なオチまで笑える4コマ漫画を数多く制作し、Amazonにて電子書籍「4コマ1000本ノック」を無料公開している津夏さん。電子書籍の第6巻に収録されている「忙しい人のための浦島太郎」と「忙しい人のための桃太郎」は、有名な物語をそれぞれ4コマに圧縮(?)したギャグ4コマだ。

「忙しい人のための浦島太郎」では、いじめられる亀を浦島太郎が助けるおなじみの場面から始まるものの、3コマ目で感謝を告げる亀が口から煙を吐き出し、浦島が老人にされてしまう……と、竜宮城の過程をすっ飛ばして完結する4コマ。一方「忙しい人のための桃太郎」は、そもそも「どんぶらこ、どんぶらこと」のフレーズすら登場せずに鬼退治が終わるという、原作の筋書きすら変わってしまう爆速の結末が描かれている。

読者からは「太郎要素行方不明」「めっちゃショートカット」「更に短縮できる」と、もとのストーリーからの省略具合にツッコミが多く寄せられた2作。ユニークなアイデアの発想の源について、作者の津夏なつなさんに話を訊いた。

■結末は同じでも過程が異なれば違う物語に…批評性あふれる4コマにニヤリ
――「タイムパフォーマンス」が叫ばれるご時世と4コマの様式の掛け合わせに発想のおもしろさを感じる2作です。アイデアのもとについて教えてください。

【津夏なつな】4コマ漫画だと、物語のどこかの一場面を切り取ることが多いのですが、しっかりと4コマだけで完結できないかに挑戦してみました。時短での終わらせ方を考えると、どれも乱暴に終わらせるしかなくなるのがおもしろいなと思いました(笑)。

――「浦島太郎」は完全に過程を省略してオチにという形ですが、「桃太郎」では省略しすぎて主役が変わるというズラしが効いていると感じました。もともと2作続けての2段オチのような狙いはあったのでしょうか?

【津夏なつな】おっしゃるとおり、この2作は対照的なつくりになっています。どちらも行き着く結末は原典どおりなのですが、浦島太郎はプロセスをすべて端折って唐突なバッドエンドを迎え、物語として破綻させる笑いに対して、桃太郎は唐突なハッピーエンドを迎えさせて、そこにいたるまでのプロセスや背景を想像してもらえるよう余韻を残しています。たどり着く結末は同じでも、プロセスによっては全然違った物語になるのがおもしろいなと思いました。

――本作だけでなくのように、オチや構成の天丼は津夏さんも多く描かれているように感じます。こうした4コマのフォーマットならではの重ねネタを描く狙いやポイントがあれば教えてください。

【津夏なつな】私が4コマを考える際の組み立て方として、オチから先に思いつくパターンと、シチュエーションから先に考え、それに相応しいオチを考えるパターンがあります。オチから思いつく場合だと、そこにいたるまでのプロセスを何パターンか考え、オチは一緒だけどシチュエーションが違う、いわゆる「天丼」ネタになります。この場合はオチが決まっているのであまり悩まずに描けますし、読者の方もこのオチを期待してるだろうという安心感があってやりやすいです。

一方、シチュエーションから考えてオチを模索する場合ですが、こっちは結構苦戦します(笑)。こちらのパターンはいいオチが思いつかず、なかなか納得がいかないことが多いのですが、そういうときはオチを重ねて強引に笑いをつくることがあります。3コマ目で落として、4コマ目でオチの先にさらにもうひとつオチを重ねることで何だかうまくいったりします(笑)。こちらは苦労しますが、納得のいくおもしろい作品になることが多い気がします。

取材協力:津夏なつな(@tunatu727)

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