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「え?なんで!?」温度を感じて猫の色が変化!“美しすぎる”と話題の不思議なグラスの開発秘話を聞いた

  • 2021年9月2日
  • Walkerplus

1887年の創業以来、美濃焼やガラスの器などを製作・販売し、1990年には天皇即位の礼と大嘗祭の際に使われる食器の製作にも携わった株式会社丸モ高木陶器(岐阜県多治見市)。近年では世界に目を向け、美濃焼をはじめとする和食器の海外へのPR活動も行ってきた。そんな器の老舗がコロナ禍に"新しい器"をリリースした。注いだ液体の温度でデザインが変化する「温感・冷感シリーズ」だ。

この"新しい器"はいかにして誕生したのか。「器は料理の着物」という北大路魯山人の言葉に影響を受け、日頃から「器の付加価値をどのように変革できるか」を思考し続けているという丸モ高木陶器の代表取締役社長・高木正治さんに話を聞いた。

■開発のきっかけは"味覚のズレ"
2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを機に、和食に適した日本の器を海外へ発信してきた丸モ高木陶器。しかし、2019年に新型コロナウイルスが発生したことで渡航が困難になり、これまでと同じような動きができなくなってしまった。そこで高木さんは、2017年ごろから温めていたアイデアを形にする作業に着手した。

「海外出張でさまざまな国の仲間たちと交流するなかで、国や地域、民族などによって『味覚』の基準が大きく異なることに気がつきました。例えば、アメリカ人が『少しだけ甘い』と感じるスイーツに対して、ドバイの人は『甘くない』と感じます。そこから、『味覚』より『視覚』の重要性を感じ、やがて”熱さや冷たさの可視化”がイノベーションになるのでは、と考えました」と高木さん。

普段から「器の付加価値」を考え続けていたからこそ、視覚的な変化を楽しめる"新しい器"を生み出すきっかけを逃さなかった。

■注ぐ液体の温度で見た目が変わるのはなぜ?
ところで、温度でデザインが変化する仕組みとはどういったものなのか。尋ねると、そもそも『温感』と『冷感』では考え方がまったく違うものだと教えてくれた。

「『温感』は、特殊な黒のカーテン(顔料)が熱で消えることで、覆われていたデザインが見えるようになります。対して『冷感』は、色を閉じ込めたカプセルのようなものが冷えることで粒子が開いて発色する、というイメージです」

「ゆえに、『温感』の場合、下地のデザインは多種多様なものが製作可能です。しかし『冷感』の場合は使える色に制限があり、またデータ上では問題がなくても、色の発色などを繰り返し試験・調整することも少なくありません」

■桜が咲く盃から、猫がカラフルに変化するマグカップまで
「温感・冷感シリーズ」の第一作目は、外国人からの人気も高い「盃」。その後、夏に向けて17度以下の飲み物を注ぐとデザインが変わる"冷感のグラス"も開発。グラスなどの薄い素材は転写が難しいとされていたが、美濃焼の技術を応用し、熟練の職人が丁寧に絵付けすることで商品化を実現した。

日本的なモチーフ以外に、指でハートを作る「キュンです」ポーズや、動物をあしらったマグカップなど、若者が手に取りやすいものも製作。デザインの幅を広げた理由にはマーケティング的な狙いもあるが、何よりもコロナ禍でその大切さが再認識された"家での食事"がもっと楽しくなれば、という思いも込められている。

「映画や演劇の大手である松竹株式会社(本社東京都中央区)さまと、古典芸能『歌舞伎』のデザイン利用に関するライセンス契約を締結しました。今後は『温感・冷感シリーズ』にも、歌舞伎のデザインが登場します。また、今秋には『アクセサリー部門』も立ち上がりますので、こちらもご期待ください」と高木さん。

丸モ高木陶器の商品は、公式オンラインショップからも購入できる。

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