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地名から南城市の歴史を探る“おもしろ見聞記”が誕生

  • 2021年5月11日
  • 沖縄島ガール

沖縄・南城市の見聞録的な書籍「南城市見聞記 読んで歩いて なんじょうの地名と文化」(ボーダーインク)が発売中。

「南城市見聞記 読んで歩いて なんじょうの地名と文化」は、元琉球大学教授で、南城市在住の仲宗根幸男氏の近著。

仲宗根氏が生まれ育ち、現在も住んでいる南城市にスポットを当て、各字(あざ)の地名の由来から始まり、地域の文化、風習、その地に伝わる琉歌などをつづっている。仲宗根氏がカメラを片手に各地を巡り、実に9年の月日を費やして完成させた。

仲宗根氏には「地名の呼称には意味があり、それは先人たちが残してくれた歴史的文化遺産」(「はじめに」より)という強い思いがあり、この企画をスタートさせた。結果的には、「先人たちの豊かな知見をあらためて思い知らされた」と、著者自身も楽しんで書き進めていったことが行間から伝わってくる。資料としての価値はもちろん、読み物として成立している所以がそこにある。

南城市を構成している「佐敷」「知念」「玉城(たまぐすく)」「大里」の4エリアごとに計51の地域を紹介。例えば、「佐敷」は「城治(さしち)」で、統一王朝を築いた按司(尚巴志王)の生誕地を意味している地、「知念」は、琉球王国の最高神女(ノロ)である聞得大君(きこえおおきみ)を意味する「チヘチン・チヒシン」が転じたとされる地、玉城の「糸数」は、“イチヰカジ(勢い風)”と風の強いところだったことから付けられたなど、仲宗根氏はその由来を「歴史」「地形」「人事」などに分類し、推論している。

もちろん全て記録が残っている(見付かっている)わけでもないので“推論”と記したが、仲宗根氏は「読者の方々がその結果をもとに論議し、少しでも妥当な解釈に近づけていただきたい」と投げ掛ける。仲宗根氏は本書をきっかけに、南城市のことをみんなで考え、南城市を歩いてもらうことを望んでいる。それが、各地の芸能や祭事を記すことにもつながっているのだと思う。その全てに仲宗根氏が自ら写した写真や提供写真が付与されているので、目でも南城市の文化を楽しませてくれる。

そして、表紙のデザイン(装丁)や、フォント(書体)、四六横判という判型も珍しく、そういった点からも目を引く仕掛けが施されている点も興味深い。

ぜひ、本書片手に南城市を訪れて、その歴史に思いを馳せてほしい、そんな1冊に仕上がっている。

「南城市見聞記 読んで歩いて なんじょうの地名と文化」
発売中 1,760円(税込) ボーダーインク

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