Lifehacker 2025年2月2日掲載の記事より転載
東京都によると、1月8日に一部地域でスギ花粉飛散がはじまったとのこと……。
すでに花粉で目がショボショボしたり鼻がムズムズする人もいるのでは?
これからの季節、常に鼻が詰まっていて、仕事のパフォーマンスが落ちてしまいがち。
日本気象協会によれば、今年の花粉の飛散量は例年を上回り、地域によっては2倍以上の量が飛散するとのこと。いまからガッツリ対策していきましょう。
花粉は強敵ですが、研究も進み、対策の知識や技術も向上してきています。
そこで、今シーズンは定番から最新テクノロジーまでフル活用できるよう、花粉症対策のあの手この手をご紹介します。
マスク、メガネは手軽なので多くの人が行っている対策かと思いますが、そのやり方が誤っていたり甘かったりと、もしかしたら効果的に花粉を防ぎきれてない可能性も……。
花粉対策の基本装備について、いまいちどチェックしてみましょう。
環境省の「花粉症環境保護マニュアル」(2022年版)によると、通常のマスクでも花粉をおよそ70%削減し、花粉症用のマスクではおよそ84%の花粉を減少させる効果があるそうです。
マスクの装着方法で注意したいのが、顔との間にすき間をつくらないこと。
顔にフィットするタイプのマスクを選ぶことはもちろんですが、マスクの内側にガーゼをあてるインナーマスクを活用すると、さらに高い花粉カット効果が期待できるそう。
インナーマスクの作り方も紹介されていましたので、ぜひ自作して、花粉症対策に役立てましょう。
10cm四方のガーゼを2枚用意化粧用のコットンを丸めて、1枚のガーゼでくるむ(インナーマスク)
市販の不織布のマスクにもう1枚のガーゼを4つ折りにしてあてる鼻の下にガーゼでくるんだコットン(インナーマスク)を置く3のガーゼをあてたマスクを装着する
※息が苦しい場合にはコットンの厚さを半分にする
(出典: 環境省の「花粉症環境保護マニュアル」(2022年版))
次にメガネですが、一般的なメガネでも目に入る花粉が約40%カットでき、さらに花粉用のメガネだと約65%のカットが可能。
メガネに関しても、マスクと同様、できるだけ顔にフィットするゴーグル型のようなものを選ぶと花粉が侵入しにくく、効果が高まります。
コンタクトレンズを着けている方は、花粉の時期は外出するときだけでもメガネにしたほうがよさそうです。
とはいえ、どうしてもコンタクトレンズを使いたい方もいるでしょう。
コンタクトレンズを販売しているメニコンによると、使い捨てコンタクトレンズの方が花粉が付着してもすぐに捨てられるからおすすめとのことです。
基本装備が整ったところで、衣類に目を向けてみましょう。
家に入る前に花粉を払うと良いのはもちろんですが、花粉の付きやすさは素材によって異なります。
一般的にウールの衣類は素材の目が粗いため花粉が付着しやすく、綿やポリエステルは付着しにくいといわれています。
そして最近は、さらに花粉が付着しにくい素材が開発されているそう。
日本化学繊維協会では、以下の素材が紹介されています。
たとえば東レの「アンチポラン」シリーズは、繊維の密度を高くして花粉が付着しにくくすると同時に、生地表面を滑りやすいものにし、花粉が着いてもはらったらすぐに落ちる仕様になっています。
また、帝人フロンティアも高密度で表面の滑りやすい「ポランバリア」シリーズを開発しているほか、静電気の発生しにくい糸を使い、花粉を付着しにくくする「ポランバリアAS」も開発しています。
ただ、せっかく衣類は万全に対策できても、頭、顔、手など、露出している部分の対策を怠ったら効果は半減です。
帽子や手袋でガードするといった方法もありますし、最近では花粉をガードするスプレーにも人気が集まっています。
たとえば、アース製薬の「アレルブロック 花粉ガードスプレー」や資生堂の「イハダ アレルスクリーン EX」は、髪や肌にスプレーするだけで、花粉やPM2.5をブロックしてくれます。
また、ライオンの「エレガード」など、スプレーするだけで衣類の静電気が抑えられて花粉が付着しにくくするものもあります。
使いやすいものを選んで、一歩進んだ花粉対策を心がけてはいかがでしょうか。
花王の生活者研究センターが実施した「花粉に関する生活者実態とその対策の検証」(2006年1月)によれば、外気中の花粉の量の0.1〜8%、1日あたり約2000万個の花粉が室内に持ち込まれるとのことです。
その主な侵入経路は、換気口や窓からの換気によるものが約60%、洗濯物や干した布団などへの付着が約37%、帰宅時の衣服や髪の毛への付着が約3%となっていて、換気や洗濯干しに特に注意する必要がありそうです。
窓はできるだけ閉めておき、洗濯物を極力部屋干しするなどの方法も考えられますが、花粉シーズンを通して完璧にやるのは現実的ではないでしょう。
実は、ちょっとした工夫を加えるだけで、家に持ち込む花粉の量は4分の1程度に減少するようです。以下2点を実践してみましょう。
・換気する際は窓を開ける幅を10cm程度にする
・レースのカーテンを閉めておく
また、洗濯物や布団を取り込む際に、軽くはらうことで、Tシャツなら65%、布団なら57%の花粉が落とせるということです。
ちなみに、干すタイミングですが、夜干しでも花粉は付着するそう。
特によく晴れて花粉の多い日や、気温が高い日中にはできるだけ外干しを避ける程度にとらえておくのがよいでしょう。
室内への侵入を許してしまった花粉については、ポイントを押さえた掃除で効果的に取り除くことが可能です。
掃除の手順としては、いきなり掃除機をかけず、拭き掃除をしたあとに掃除機をかけることで床面に落ちている花粉が舞い上がるの防げます。
掃除機に関しては、紙パック式だと吸った花粉を排気口から噴射してしまうので、サイクロン式のほうがよいでしょう。
また、室内のなかでも窓際や換気口付近といった花粉の侵入口は花粉が溜まっているので重点的に掃除しましょう。
玄関や窓の桟も花粉が溜まりやすいスポット。
おそうじ本舗の解説によれば、濡らした古新聞で吸着させるのが効果的とのことです。
花粉の侵入経路を意識することは空気清浄機の使い方にも言えます。
室内に舞っている花粉を除去するために空気清浄機を使用している方も多いでしょうが、気を付けたいのが設置場所。
日本経済新聞によれば、空気清浄機は花粉の侵入経路付近である玄関などに置くのが正解とのこと。
できれば窓際や換気口付近にも置いて24時間つけっぱなしにしておき、花粉が床に落ちる前に吸引してしまいましょう。
花粉症対策では、のどや鼻の粘膜をケアすることがとても大切になります。帰宅時のタイミングなどで、こまめにうがいをすることで、のどについた花粉を洗い流すことができます。
また、鼻洗浄をすると、詰まっていた鼻が通ってとてもスッキリしますよね。
北里大学メディカルセンター耳鼻咽喉科による「鼻アレルギーに対する局所薬物療法の変遷」で触れられているように、鼻の洗浄はスギ花粉や鼻水に含まれるアレルギー物質を除去する効果があるとして、以前より花粉症治療で活用されてきました。
ただし、厚生労働省の「的確な花粉症の治療のために(第2版)」で触れられているように、人によってはかえって鼻の粘膜を傷つけてしまうこともあるそう。
のどや鼻の粘膜を極力傷つけないようにするための工夫として、0.9%の食塩を蒸留水で溶かした生理食塩水を体温程度に温めて行なうとよいとのこと。
また、帰宅時の洗顔も効果的ですが、丁寧に洗い流さないと鼻の周りに付着した花粉が侵入してしまうこともあるので注意が必要です。
たばこも鼻の粘膜を傷つけ、花粉症の症状を悪化させるため、特にこの時期は控えるのがよさそうですね。
また、アレルギー症状は免疫が弱っていると悪化することがありますので、免疫を高める生活習慣を送ることが重要といえます。
花粉症ナビの「花粉症を悪化させるNG習慣」によれば、以下を意識するとよいとのことです。
・規則正しい生活リズムと十分な睡眠
・ストレスをためないために発散法を持つ
・花粉の少ない午前中や屋内での日々の運動
・アルコール摂取は節度を持って
ここで気を付けたいのが、生活習慣のひとつを改善しても、すぐに花粉症の症状軽減につながるとは限らないということ。
厚生労働省の「花粉症の民間医療について」にもあるとおり、花粉症の発症要因は複合的で、生活習慣や体質、PM2.5や花粉の飛散量などの各要因がそれぞれどれくらい影響を与えるかはわかっていないのです。
ヨーグルトや甜茶の摂取といったよく知られた民間療法も、効果が立証されているわけではなく、改善につながるかは個人差が大きいため、取捨選択することが必要です。
また、花粉症対策に特化したスマホアプリも登場しています。
「アレルサーチ+」というアプリでは、花粉症の症状に関する質問とスマホカメラによる目の赤みの測定から、対策などを知らせてくれますよ。
花粉対策についてご紹介してきましたが、花粉症の症状を少しでも軽減するために、気軽にできることか試してみてはいかがでしょうか。
毎日すべての対策をするのが重荷と感じる方は、花粉の飛散量に応じて対策を手厚くするのも良いと思います。
最近では、スギの分布や開花状況、天候や地形データから、1時間毎やピンポイントでの花粉の飛散量を教えてくれるサービスもありますので、うまく活用しいきましょう。
置くだけで、花粉の落下促進、舞い散りを防止。ずっと気になっていた「マモルーム」の実力を試してみたよ | ライフハッカー・ジャパン 「マモルーム Feat.アレルブロック ハウスダスト・花粉用」は、爽やかなユーカリの香りに特長がある、ハウスダスト・花粉症予防対策アイテム。空気中のハウスダストや花粉が落下するのを促進し、床に堆積したハウスダストや花粉が舞い上がるのも防止してくれます。 https://www.lifehacker.jp/article/amazon-mamoroom/ 花粉の飛散開始…。大学教授に聞く、長い花粉シーズンを快適に過ごすコツ | ライフハッカー・ジャパン ダイソン主催の花粉対策セミナー花粉研究の第一人者である王青躍(おう せいよう)先生のレクチャーより、長い花粉の時期を快適に過ごすための注意すべきポイントをまとめていきます。 https://www.lifehacker.jp/article/2501_dyson_kafun_seminar-5a1/ 執筆:山田洋路
Source: 東京都, 日本気象協会, 環境省, メニコン, 日本化学繊維協会, アース製薬, 資生堂, LION, 花王生活研究センター , 日本経済新聞, J-STAGE, 厚生労働省(1, 2), 花粉症ナビ, アレルサーチ+
Image: Shutterstock