なぜこんなにも変わり果てたのかは謎のまま…。
火星探査車のキュリオシティは、もう13年もの間、ずっと火星の地をコロコロ動きながら探索を続けているんですね。これまでも数々の驚くべき発見をしてきたものの、このほど火星の何十億年も前の姿をひも解く重大な調査発表がなされましたよ!
科学ジャーナル「Science」に掲載された研究論文によると、キュリオシティがシャープ山(Mount Sharp)からゲール・クレーター(Gale Crater)へ探査を続けるうちに、硫酸塩層からサンプルを採取して新発見がなされました。ゲール・クレーターは、かつて火星が温暖で水が流れていたころ、古代湖があった場所とも考えられています。
そこでキュリオシティはアームを伸ばし、岩石にドリルで穴を開け、試料を掘削。そのまま「CheMin」とよばれる器具内に格納され、X線解析がなされました。
すると、硫酸塩に富む層内から高濃度の菱鉄鉱(炭酸鉄)を初検出。液体の水と二酸化炭素の豊富なエリアで、火星の岩石と反応して生成された可能性が高く、これまでの火星探査では見つからなかったものとされていますね。
実は今回の発見に先立ち、火星の周回軌道上からも、探査機による炭酸塩鉱物の調査が試みられてはきました。とはいえ、地表面の観測データだけでは、豊富な菱鉄鉱を見出すにはいたりません。キュリオシティが掘削したのは、地表面から3〜4cm下に埋もれる硫酸塩層でしたが、その層内ゆえに菱鉄鉱の存在が明らかになったんだとか。
火星の地層をドリルで掘って探査することは、歴史の本を読み解くようなものだ。ほんの数cmだけ地表面から下がるだけで、35億年前くらいにさかのぼり、当時の地層の鉱物状態について、大きなヒントを与えてくれる。
NASAのエイムズ研究所で研究を進めるThomas Bristow氏は、今回の論文発表にあたり、こんなふうに語りました。
もし研究者たちの仮説のとおりであれば、火星は厚い二酸化炭素の大気層で覆われていたはず。何十億年も前は、まるで現在の地球上のような温暖な気候のもと、液体の水も豊富に存在していたかもしれません。ところが、どんどん二酸化炭素などが岩石中に炭酸塩鉱物として取り込まれ、現在の不毛の地へ変わっていってしまったのかも?
まだ今後のさらなる調査結果が待たれるようですけど、火星の姿について、いろいろ深い発見が続くことになるのでしょうか。そこに生息していたものをめぐる新発見も飛び出してきたりして。
Source: Science
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