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スパコンが生み出すダイヤモンドより硬い「スーパーダイヤモンド」

  • 2024年3月25日
  • Gizmodo Japan

スパコンが生み出すダイヤモンドより硬い「スーパーダイヤモンド」
Illustration: Mark Meamber/LLNL

地球で一番硬い宝石、ダイヤモンド。その地球の定説を覆すかもしれません。

「スーパーダイヤモンド」とされる、ダイヤモンドより硬い物質がスーパーコンピューターによってモデル化されました。この理論上の物質は地球外にも存在する可能性があるかもしれないし、もしかしたらいつか地球上でも作ることができるかもしれません。

スーパーダイヤモンドとは?

理論上の「スーパーダイヤモンド」は、通常のダイヤモンドと同様に炭素原子から成り立っています。特定の炭素相は8つの原子で構成され、通常の環境下でも安定して存在できるものだそうで、つまり地球の研究所でも存在する可能性があるんだそうです。「BC8」と呼ばれるこの特定の相は、シリコンやゲルマニウムによく見られる高圧相ですが、今回炭素もこの特定の相で存在し得ると予測されました。

フロンティア(Frontier)と呼ばれる世界最速のエクサスケールスーパーコンピューターによって、莫大な圧力下に置かれた数十億の炭素原子の進化をモデル化。「BC8」炭素が、通常のダイヤモンドよりも圧力に対して30%高い抵抗力を持つと予測。この超硬質物質についての研究論文は「The Journal of Physical Chemistry Letters」に掲載されています。

系外惑星に存在する可能性

ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)の研究者であるマリウス・ミロット氏は

回避が難しい炭素結晶相を合成しようと、国立点火施設(NIF)等、さまざまな研究施設で、多くの試みが行われてきましたがまだ観測されていません。しかし、私たちはそれが炭素が豊富な系外惑星で存在する可能性があると信じています。

と述べています。

宇宙のどこかに存在する超硬質物質の可能性の証拠の事例は他にも存在します。

2022年、地球に落下した隕石の断片に「ロンズデーライト」という珍しいダイヤモンドの形態の存在を発見。これによって、宇宙にはまだ未知の超硬質物質がある可能性が示唆されました。

さらにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では、かつてないほど炭素が豊富な系外惑星の存在を明らかにしてきました。NASAは2040年代初頭を目処に、ウェッブ宇宙望遠鏡を超えた次世代宇宙望遠鏡で居住可能世界観測所の計画を進めています。

サウスフロリダ大学の物理学者であり論文の主執筆者であるイワン・オレイニク氏は、

これらの炭素豊富な系外惑星内部の極端な環境は、ダイヤモンドや「BC8」のような炭素の構造形態を生み出す可能性があります。そのため、「BC8」炭素相の特性の深い理解が、系外惑星の正確な内部のモデルを開発する上で重要です。

と述べています。

将来的にはラボで生成可能かも

そのためには、LLNLの国立点火施設(NIF)を通じて、どのような可能性があるかを探っていく必要があります。

本研究は、NIFのディスカバリーサイエンスプログラムを通じて行なわれていますが、スーパーダイヤモンドの生成が、地球上のラボの中で、たやすく実現することは期待するものではありません。しかしながら、この材料科学の領域はどんどん発展していきそうです。

「時間結晶」ってなに? 未来のコンピューターに応用できるかも 独ドルトムント工科大が、40分持続する時間結晶の創出に成功。 https://www.gizmodo.jp/2024/02/long-lasting-time-crystal.html

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