便利で楽しいインターネット。しかし、人が集まるところには悪い奴もやってきます。SNSのDMやEメール、テキストメッセージを使った詐欺が終わることは、悲しいかな、なかなかありません。
誰かのフリをしてターゲットに接近する「なりすまし詐欺」はよく知られており、中でもアイドルや某国の王子を騙るロマンス詐欺がメジャーです。世界中で多数の被害者を出しており、日本国内だけでもその被害額は177億円を超えるといいます。
アイドル詐欺では、芸能界に悩む偽櫻井翔さんが一時期とてもメジャーで、ネットでよく話題になっていましたね。そういう私も、偽櫻井翔さんからメールが来たことがあり、つい「やったー！ついに来たぞー！」とスクショを撮って友人に送った思い出があります。
そんななりすまし詐欺。最近よく使われている人が…イーロン・マスク氏。
Tesla、SpaceX、Neuralink、そしてXで知られるイーロン・マスク氏から連絡が来て、金銭を騙し取られたという人がいます。
米Gizmodoが米連邦取引委員会に情報開示を依頼。2023年から数千件の偽マスク詐欺の報告があったそうで、そのうちの200件の情報が提供されました。
開示された情報の中から、偽マスクがどうアプローチしてきたのか、その一部を紹介します。
偽マスク詐欺が特に増えたのは、去年のサイバートラックリリース時だったよう。さすが詐欺師、時事ネタを盛り込むのがうまいですね。
・Aさんの場合
昨年11月30日にテキサスで開催された、サイバートラックの出荷イベントのオンライン配信を見ようと検索するうちに、Tesla-clubs.comに行き着く。そこでマスクを語る人物が、世の中をもっとよくするために仮想通貨をより多くの人に使って欲しいから仮想通貨送ってくれ！と訴えており、QRコードが届いた。
・Bさんの場合
Teslaの経営が厳しいから助けてくれと、Facebookでマスクが呼びかけるのを見た。援助してくれた人には、将来Teslaの車を割引で買える特典がつくという。支援手段は、Appleギフトカード購入でコードを送信。
・Cさんの場合
イーロン・マスクのパスポートの写真つきでメールが届き、Trust Wallet（仮想通貨取引所バイナンスのウォレット）のアカウントを作れと指示。60万ドル相当が入金されている証拠を見せられるも、それを手にするには手数料がかかるというもの。
・Dさんの場合
ネットで出会った女性とチャットするうちに、マスクの企業で政府も絡んでいるというspacestockmining.comでの投資話を持ちかけられた。
・Eさんの場合
TikTokで見かけたビットコインのサイト。マスクが宣伝しており、アカウント開設で0.3ビットコインプレゼントという内容。アカウントを開設して、ビットコインを受け取るには手数料が必要。
・Fさんの場合
マスクの企業が作ったAI投資ソフトウェアの宣伝動画をネットで見た。動画にはマスクも出演。
・Gさんの場合
マスクの資金を管理している人とネットで出会ったけど、ロマンス詐欺だった。
以上の被害者は、数百ドルから1万ドル（数万円から100万円超え）の金銭を騙し取られています。
イーロン・マスク氏と言えども、偽物は偽物。詐欺のシナリオはどこかで聞いたことがあるようなものばかりです。仮想通貨、AI投資、Appleカード購入は、まず詐欺を疑ってみるべきでしょう。
イーロン・マスク氏もヒマじゃないと思うんですよね。暇どころか、複数の企業を運営しつつ、OpenAIを訴えてみたり、常にXに出現してからんでみたりと、とにかく多忙なんです。
もし、Teslaが資金難に陥っていっても、見ず知らずの個人にランダムにメールして資金調達するなんてありえません。マスク氏はたとえどんなに困っても、Appleギフトカードで助けてくれなんて言わないと思いますけどね。もし、マスク氏が個人に何か呼びかけるならXでしょうし。
詐欺は、まず、こういう詐欺があると知るところから。繰り返します。マスク氏から連絡はこない、くるはずがない！
