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名匠の感性を受け継ぐ若きシェフ 「レストラン・ル・ムーリス・ アラン デュカス」

  • 2024年4月10日
  • CREA WEB

 食の都・パリを牽引する名門ホテルのメインダイニングは、受け継がれてきた技術と革新的な感性を備えたスターシェフたちの“作品”に魅せられる場所。

 その優美なガストロノミーを皮切りに、今行くべきグルマンの旅を案内する。

 4回に渡り、名門ホテルのメインダイニングとそのホテルをご紹介。


伝統を守りながら進化する新鋭シェフ

◆RESTAURANTLE MEURICE ALAIN DUCASSE(レストラン・ル・ムーリス・アラン デュカス)


絵画の下に飾られた氷をイメージしたオブジェ、ミッドセンチュリーのチェアなどはスタルク氏がアレンジしたもの。

 アラン・デュカスのDNAを受け継ぎ31歳でエグゼクティブシェフに就任したアモリー・ブウール氏。

「デュカスはフランスの伝統料理を継承するアンバサダーのような存在。“伝える”ために若い人材を積極的に登用し、自由な発想を応援してくれています」と話す。


テーブルには花ではなく野菜を置くというユニークなアイディアが。キャンドルホルダーもアーティスティック。

 地元の生産者をサポートしたいという思いから、使う食材のほとんどが国内産。

 一方で調理法は様々な国のものを取り入れ、その一つが日本食。脂、塩、砂糖を極力抑え素材そのものの味を引き出す技術、魚の調理法、海藻の使い方など幅広く用いているという。


ディナーコースは350ユーロ〜。本日のメインの仔牛のソテー。表面を香ばしく焼き上げクリーミーなソースでいただく。付け合わせの苦みのあるホップのペーストを付ければ違った味わいも楽しめる。

「盛り付けやお皿はあえて伝統とは違うものに」と、オードブルのカキはドライアイスのスモークに包まれて供されるという演出も華やかだ。


オマールの中でも質が高いと言われているオマールブルーを天ぷらのように揚げた逸品。土佐酢を使った赤タマネギのピューレなどが添えられて。

 レストランの内装はヴェルサイユ宮殿の「平和の間」をイメージして造られ、2016年にフィリップ・スタルク氏によってアレンジされた。


ドライアイスのスモークに包まれたカキ。ジントニックのシャーベットにキウイ、グレープフルーツ果汁、タマネギなどを和えたものが添えられ爽やかな美味しさ。

 艶やかなインテリアと、軽やかで大地を感じる料理とのミクスチャーがフランス料理の新たな風となっている。


顧客向けの特別室「シェフズ・テーブル」。ガラス越しに厨房が見え調理のライブ感が伝わる。

 このレストランを率いて3年を過ぎた感想をアモリー氏に聞くと「とにかく成長し続けた3年でした。

 結果として以前と変わらず満席なのは嬉しいですね」。デュカスの愛弟子の進化をゲストも称賛している。


厨房。


Amaury Bouhours(アモリー・ブウール)

アラン・デュカスのレストラン「ル・ルイ・XV」で働き始め、ホテルなどで経験を積み2020年にル・ムーリスの店舗でエグゼクティブシェフに就任。

RESTAURANTLE MEURICE ALAIN DUCASSE(レストラン・ル・ムーリス・アラン デュカス)

所在地 228 rue de Rivoli, 75001 Paris
電話番号 01 44 58 10 55
営業時間 19:00〜21:30
定休日 土・日曜
https://www.dorchestercollection.com/paris/le-meurice

麗しい“モダン・ヴェルサイユ”

◆Le Meurice(ル・ムーリス)


リノベーションされたデラックスルーム。

 1835年に創業し、王侯貴族がよく訪れていたことから“王様のホテル”と呼ばれていたル・ムーリス。スペインの画家、サルバドール・ダリが定宿にしていたなど、芸術家にまつわるエピソードが多い老舗ホテルだ。


レセプションの天井には“ゲストを迎える”という思いを込め、手が描かれた作品が。

 長きにわたる歴史を継承しながら、2007年から10年近くかけてフィリップ・スタルクによる大規模改装が行われ、そのコンセプトというのが“モダン・ヴェルサイユ”。


最上階にある“ベル・エトワールスイート”の大理石のバスルーム。

 クラシカルなインテリアに個性が光るアートピースを織り交ぜるなど、自由な感性をちりばめゲストを迎えている。


読書室だった場所を改装した「バー228」。

 豊かな味わいの地元食材が楽しめるセカンドレストラン「ル・ダリ」や重厚感あるレザーシートが趣を醸す「バー228」など、記憶に深く刻まれる場所で、特別な時間を過ごしたい。


アーチ型のエントランスが印象的な建物。

Le Meurice(ル・ムーリス)

所在地 228 Rue de Rivoli, 75001 Paris
電話番号 01 44 58 10 10
客室数 160室
料金(1室)1,775ユーロ〜
https://www.dorchestercollection.com/paris/le-meurice

文=梅崎奈津子
撮影=小野祐次
コーディネート=宮方由佳

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