古くからの温泉街のあちらこちらに国際色豊かな新しい施設が次々と登場し、ユニークなカルチャーミックスを生み出している野沢温泉村。中でも注目を集めているクラフトジンのディスティラリー、「野沢温泉蒸留所」の魅力とは?
野沢温泉村で飲食店などを経営するインターナショナルなチームが、地元のおいしい湧き水でクラフトジンやウイスキーを造り、村の魅力を発信したいと設立した「野沢温泉蒸留所」。古い缶詰工場を改築し、クラフトバーやギフトショップなどを兼ね備え、見学ツアーも楽しめるスタイリッシュな蒸留施設に生まれ変わらせた。
野沢温泉村の素材を組み合わせて生まれる定番のクラフトジンは、爽やかな味わいが特徴のシグネチャードライジン「NOZAWA GIN」や、地元産の赤紫蘇の優しい甘みが広がる色鮮やかな「SHISO GIN」など4種類。いずれも国際的な酒類品評会で高い評価を受けており、個性あふれる香りと味わいを飲み比べてみるのも楽しいだろう。
また、2023年の冬から限定発売を開始したのが、日本三大火祭りのひとつである野沢温泉村の「道祖神祭り」をイメージした「DOSO GIN」だ。道祖神祭りは山から切り出したブナの大木で巨大な社殿を作り、激しい火の攻防の末にその社殿が燃え上がるという壮大な火祭り。野沢温泉蒸留所では毎年「DOSO GIN」を販売していく予定で、2024年発売のものからは社殿に使用されたブナの木の端材の使用も予定しているという。
缶詰工場時代の設備をアップサイクルしているというカクテルバーでは、4種類のジンが試せるテイスティングセットや、それぞれのジンを使用したスペシャルカクテル、軽いおつまみなどを用意。野沢温泉スキー場からほど近いこともあり、冬場にはひと滑りした後にスキーやスノーボードを抱えて立ち寄る客も多いそう。
またショップでは、豊かな水の循環を育む野沢温泉村の自然をイメージしたシンボルデザインをあしらったTシャツなどのオリジナルグッズも販売。クラフトジンと共に野沢温泉土産として人気を呼んでいる。
野沢温泉村の澄み切った湧き水と山の豊富な植物から生まれるクラフトジンやウイスキーは、今やこの村の自然や伝統文化、人々のコミュニティを象徴する存在に。村人たちが愛するジンのキリリとした味わいを楽しみながら、熟成中のウイスキーがデビューする日を待ちたい。
野沢温泉蒸留所
所在地 長野県下高井郡野沢温泉村豊郷9394
電話番号 0269-67-0270
営業時間 12:00〜20:30
定休日 火曜
https://nozawaonsendistillery.jp
野沢温泉村
アクセス 最寄り駅はJR北陸新幹線 飯山駅。飯山駅からは直通バス「野沢温泉ライナー」で約25分 600円。
車は上信越自動車道豊田飯山ICから国道117号で約30分。村内はコンパクトにまとまっており、ほとんどの場所まで徒歩で移動できるのも魅力。
文=張替裕子(Giraffe)
写真=榎本麻美
取材協力=長野県観光機構