「ビタミンC」のコスメやサプリは沢山あるけれど、そもそもビタミンCってどんな効果があるのか、意外に知らないかも。高濃度のほうが効く? 飲んでも尿として出てしまうから意味がないってホント? ビタミンCにまつわる「ウソ・ホント」を、皮膚科医の髙瀬聡子先生が解説します!
髙瀬 本当です。ビタミンCには、シミの元であるメラニンの生成を抑制し、今あるメラニンを還元する働きがあります。また肌内部で生じる炎症を鎮め、皮脂分泌を抑制する働きもあり、ニキビに有効とされているんですね。この2つの効果が有名ですが、それだけではありません。
――その他の効果って、どんなものか気になります!
髙瀬 抗酸化作用に優れ、老化の原因となる活性酸素から、肌を守ってくれるんです。さらにコラーゲンの合成をサポートしたり、ターンオーバーを促すことで、シワやハリに迫る作用も。ビタミンCは1つの成分で、シミにもニキビにも、エイジングケアにも力を発揮します。
髙瀬 これはウソです。ビタミンCを服用すると、消化吸収されてから血流にのって全身を巡り、まずは「生命維持に必要な臓器」に使われます。肌に届くのは一番最後なので、効果を実感しにくいかもしれませんが、意味がないわけではありません。
――肌に届けたいと思ったら、どのくらい飲むべきでしょうか?
髙瀬 成人に必要なビタミンCの摂取量は、1日100mgと定められていますが、これは健康を維持するために必要な量なんですね。「肌」まで届けたいと思ったら、美容皮膚科では2,000〜3,000mgの摂取を推奨しています。
――沢山飲んでも問題ないのでしょうか?
髙瀬 排出されるので問題ありません。確かに「使われなかった分は出てしまう」のは、その通りですが、逆に「体に蓄積されて悪さをすること」もないんです。
体が必要とするビタミンCの量や、ビタミンCの代謝には個人差がありますから、一概に「どのくらい吸収されて、どのくらい出てしまうか」は判断が難しいですね。前述の通り「肌に届けたい」と思ったら、3,000mgの服用をおすすめします。
髙瀬 「飲むビタミンC」は、体内のあらゆる部位で抗酸化作用を発揮します。身体の内側から「総合的にエイジングケアをする」意味では有効ですが、肌に届けるためには、一定量を服用する必要があります。
今あるシミをケアしたい場合は、気になる部分に直接「ビタミンC化粧品」を塗布するのも1つの方法です。ビタミンCには、メラニンの還元作用があるからですね。
年齢を重ねるほどに、体も肌も酸化ダメージやメラニンを蓄積しますから、本来であれば「内服」と「外用」を同時に行うのが理想的です。
髙瀬 ビタミンCは化学名をアスコルビン酸といい、ピュアビタミンCはこのアスコルビン酸そのもののことです。アスコルビン酸は非常に不安定な成分で、そのままだと酸化しやすいため、化粧品に配合する場合は、リン酸などと結合して安定化させた「誘導体」を使うことがほとんどです。
――ビタミンC誘導体とピュアビタミンCは働きも違うのでしょうか?
髙瀬 ビタミンC誘導体は、肌に浸透すると体内の酵素によってリン酸が外れ、ピュアビタミンCに変わって効果を発揮します。肌に浸透後の働きは、ピュアビタミンCと同じです。
髙瀬 本当です。ビタミンCは、体内で「必要とされること」から使われていきます。たとえば、活性酸素が沢山発生している肌には、消去のために抗酸化力が優先的に使われるイメージですね。ですので「絶対量としてビタミンCが多い=高濃度で配合されている」ほうが、力を発揮しやすいと考えられます。
――濃度が高いと、刺激も強そうなイメージがありますが……?
髙瀬 確かに、バリア機能が乱れている肌に、高濃度のビタミンCを使うとピリピリ感を感じるかもしれません。乾燥がひどい方、敏感肌の方がビタミンCを試したいときは、まず低濃度のものからスタートすると安心です。
髙瀬 実はビタミンCの誘導体はたくさんあって、水に溶けやすいものを「水溶性」、油に溶けやすいものを「脂溶性」と呼んでいます。どちらも肌の中でピュアビタミンCに変換されるので、ビタミンCとしての効果自体は同じです。
近年は「両溶性」といって、水にも油にも溶けやすい誘導体が開発されています。おかげで色々なテクスチャーや、肌内部において時間差で力を発揮するビタミンC化粧品が登場しています。
髙瀬 ビタミンCの効果は濃度に比例しますので、そういう意味では「高度濃度に配合した美容液」が、効果を実感しやすいかもしれません。ただし、濃度が上がるほど刺激を感じやすい点には注意が必要です。
大前提として、化粧品は「単一の成分」だけで、効果が決まるわけではありません。他の成分とのバランスや浸透技術も重要です。まずはシミなのかハリなのか、目的に合ったアイテムを選ぶこと。さらにご自身のライフスタイルによって、続けやすいものを選ぶことも大切だと思います。
髙瀬 「絶対にNG」というわけではありませんが、肌が敏感に傾いている時は、ビタミンCに限らず化粧品全般に刺激を感じやすいんですね。ピリピリ感が強かったり、赤みが出るようなら、使用は避けたほうが安心です。
――敏感肌におすすめのビタミンCアイテムはありますか?
髙瀬 浸透感に優れた化粧水は、刺激を感じやすい傾向があります。クリームのようにじっくり浸透していくもののほうが、使いやすいかもしれません。また近年では、敏感肌でも使える「中性ビタミンC」が登場しています。通常ビタミンCは酸性の成分ですが、中性ビタミンCは高濃度でも刺激を感じにくく、クリニックでも用いられています。
このようなビタミンCを試すのも一案ですが、肌が敏感な時はまず保湿を徹底して、バリア機能の立て直しを優先しましょう。
水溶性、脂溶性、ハイブリッド型の3種類のビタミンCを配合した、1回1本使いきりタイプの美容液。化粧水のようにみずみずしく、肌が飲み干すように浸透していきます。くすみ、ニキビ、毛穴、ハリなど色々なお悩みに迫り、使用後はすべすべの質感に。これから夏に向けて、頼もしい味方となってくれそうです。
アルビオン
www.albion.co.jp/
エッセンス層と乳液層がさっと瞬時に混ざる2層式のビタミンC美容液。エッセンス層には水溶性、両親媒性のビタミンCを配合し、乳液層には保湿成分のセラミドがたっぷり。肌表面をしっとり包み、ビタミンCを閉じ込めて、透明感やハリなど様々なお悩みにアプローチします。オレンジ精油の香りにも癒されそう。
ドクターシーラボ
https://www.ci-labo.com/
皮膚科専門医と薬学、化学の専門かチームが開発した、世界初の「中性ビタミンC誘導体」を配合した美容液。一般的に酸性領域のビタミンCを中性領域に保ち、デリケートな肌にも高濃度で使える点が魅力です。肌の中でピュアビタミンCに変わり、あらゆる肌悩みに迫る存在として、美容クリニックでも注目されています。
マーベセラー
https://newtra-vc.com/
長年ビタミンC研究を続ける、ロート製薬開発の「飲むビタミンC」。3種類のビタミンCを組み合わせ、長時間、血中濃度をキープする処方にこだわっています。水なしでサッと飲める口溶けのよい顆粒も、製薬会社ならではの製剤技術のおかげ。ツボクサエキスなど美肌成分をバランス良く加え、明るく調子のよい肌へと導きます。
ロート製薬コミュニケーションコール(Obagi)
電話番号 0120-234-610
https://www.obagi.co.jp/
●お話を伺ったのは……
ウォブクリニック中目黒
総院長 髙瀬 聡子先生
皮膚科医。東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院での皮膚科勤務を経て、ウォブクリニック中目黒を開院。肌悩みに対する分かりやすい解説と、親身なカウンセリングに定評がある。ドクターズコスメの開発経験から、美容成分にも詳しい肌のエキスパート。
文=宇野ナミコ