数世紀にわたり継承されるフランスのサヴォワールフェール。伝統的な手法を繋ぐ老舗や変わらぬ美しさのアンティークの物語を知り、丁寧に作られたいいものを探して、旅の思い出に持ち帰りたい。
2回に渡り、パリの老舗インテリアショップをご紹介。今回は、昔、ドレスに使われていたリボンやインテリア用タッセルの老舗手芸店へ。
モードのアクセサリーや帽子の店として1832年に創業し、1920年に2号店のメルスリー(手芸店)が向かいの4番地にオープン。
以来オーナーを替えながら、店の内装も在庫も当時のものを継承する、パリ最古のメルスリーの一つ。
店内にはぎっしりと商品が並び、手芸好きにはたまらない、アリババの洞窟のような空間だ。
在庫には手作りの19世紀のボタン、1940年代の幅広のシルクサテンのリボンなど、今の技術では再現できないものも多数。
「創作のアイディアを求めて、世界中から著名なデザイナーや、映画の衣装を作る方などが訪れます」とオーナーのマダム・モランさん。
欲しいものを伝えれば、約10万点のストックから探し出してくれる、親切な対応も嬉しい。
Ultramod(ウルトラモッド)
所在地 3-4 Rue de Choiseul 75002 Paris
電話番号 01 42 96 98 30
営業時間 月・火・木・金曜 10:00〜18:00、水曜 10:00〜19:30、土曜 14:00〜18:00
定休日 日曜、祝日
https://www.facebook.com/ultramodmercerieparis/
1852年創業のタッセル専門店。19世紀から伝承される製法を用いて、パリ近郊とランスのアトリエで職人が手作りするタッセルは色合い、仕上がりともに格別。
顧客にベルサイユ宮殿、オペラ座、美術館、城などの文化遺産、パラスホテルの他、国際的に活躍するインテリアデザイナーが多いというのも納得だ。
店の奥には、ルイ14世時代のものから1930年代のタッセルのアーカイブを展示。
「飾るだけではなく、同じものを作って販売をすることもできるため、生きている美術館のようだと好評です」と6代目のジェロームさん。
サンプルを見て、好きな色やデザインでオーダーメイドも可能。
Declercq Passementiers(ドゥクレルク・パスマンティエ)
所在地 15 Rue Étienne Marcel 75001 Paris
電話番号 01 44 76 90 70
営業時間 9:00〜17:00
定休日 土・日曜
https://www.declercqpassementiers.fr/
文=木戸美由紀
撮影=鈴木七絵