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台北で話題「HOTEL MVSA 慕舍酒店」 ミシュランシェフによる絶品朝食に 世界の美酒、アートに触れる台湾旅

  • 2024年3月29日
  • CREA WEB

 コロナ禍を経て、台北のホテル事情も大きく変わりました。新たな選択肢が次々と増えているなか、ひときわ注目を集めているのは「HOTEL MVSA (ホテル・ムーサ)」。

 2020年10月にオープンした全38室のブティックホテルで、世界の著名ワイナリーと提携していることや、ミシュランシェフによる朝食が味わえることで知られています。次なる台北旅行に向け、気になる個性派ホテルをチェックしてみましょう。


スペインのミシュランレストランの分店を併設

 ビジネス街として知られるMRT松江南京駅に近い「ホテル・ムーサ」。高架道路のそばにあり、一見、高級マンションのようにも見えますが、実はここ、スペインのミシュラン二つ星レストラン「Molino de Urdániz(モリノ・デ・ウルダニス)」を併設したホテルです(海外では唯一の分店です)。


入り口には小さな看板のみ。知らないと通り過ぎてしまいそうな隠れ家的な宿。

 数々の一流ホテルで働いてきた台湾人オーナーが「Molino de Urdániz」に惚れ込み、契約を交わしたのは2012年。その後、9年の歳月をかけてホテルを完成させたと言います。そこには「世界の美食、美酒、アートを届けたい」というオーナーの並々ならぬ情熱とこだわりが伺えます。

 館内にはオーナーのコレクションである絵画がそこかしこに飾られており、ロビーではバルセロナに暮らすオランダ人の画家の友人から贈られたという闘牛士の絵が目を引きます。

 そのほか、「Molino de Urdániz」の本店から贈られたという2012年の闘牛祭りのポスターは双方の縁が繋がった年を記念したものです。


華やかな雰囲気のロビー。奥に見えるランプはブドウの形がモチーフ。台湾人デザイナーの作品です。

ワイナリーの名前を冠した客室で部屋飲みも

 このホテルの特色の一つになっているのは、世界の6つのワイナリーや日本酒の酒造と提携していること。各フロアにはそれぞれの名前が付けられています。

 また、「Wine O’clock」というハッピーアワーには、各階のエレベーターホールに設けられたカウンターでフロア名と同じワイナリーや酒造のお酒が楽しめます。


エレベーター前に設けられたカウンター「Super Bar」。お菓子やドリンクがあり、24時間利用可能。

 天才醸造家が手がけるナパヴァレーの「Kanpai Winery」やドイツ最大のワイナリー「Peter Merters」、スペインで最高ランクのスパークリングワインとして知られる「Gramona」、チリの国宴で指定されている「Vina Garcés Silvea」など、錚々たる銘柄が揃い、ワイン好きの間でも評判となっています。

 また、唯一提供されている日本酒は、茨城県にある田中酒造の「君萬代」。こちらは明治天皇より下賜されたという由緒ある銘柄です。


ワインセラーには提携ワイナリーのワインがずらりと並びます。

 宿泊者は部屋からグラスを持ってきて、自由に注いで楽しむというスタイル。カウンターで飲むのもよし、または部屋でまったりと飲むのもよし。夕食前にホッと一息つくことができます。


各フロアに一種類のワインが用意されています。同じフロアの人たちと交流も楽しそう。

 さらにもっとお酒を楽しみたいという方には、最上階にある「Lounge Vino」というバーへ。


独創的なカクテルを生み出す、バーテンダーのアンバーさん。

 ここには台湾の茶葉やフルーツを用いたオリジナルカクテルが揃っています。なかには台湾の朝食店で供される甘いハムサンドイッチをイメージしたという変わり種もあり、豊かな発想力に驚かされます。屋外スペースで夜景を眺めながら、旅の疲れを癒やしましょう。


手前は「Bubble No.1(450元)」。スぺイン産のジンに金柑ジュースを加えたもので、上の泡はグァバ味。奥は「Secret garden(420元)」。鉄観音茶にウオッカ、ライムジュースなどを加えたもの。

屋外席。都会の真ん中にありながらも静かな雰囲気。バーは宿泊者以外も利用可能です。

ボリューム満点の豪華な朝食。活力を注入

 このホテルのもう一つの目玉になっているのがミシュランシェフが手がける朝食。台湾でも唯一のサービスと言われ、これをお目当てに訪れる宿泊者も少なくないとか。

 メニューはヨーグルトやシリアル、フルーツ、そして、サラミやハム、チーズの盛り合わせ、カラスミをふりかけたオムレツといった卵料理など。メインディッシュには肉料理か魚料理を選びます。


彩り豊かな朝食。朝から元気をたっぷりともらえます。

 この日の肉料理は台湾産のブランド鶏肉である「桂丁鶏」の胸肉ともも肉を低温調理したもの。黒ニンニクのソースと一緒に味わえば、朝から元気が湧いてきます。魚料理は市場で仕入れた新鮮なアマダイを低温調理した後、表面をパリパリに焼き上げたもの。しっとりとした食感と、あっさりとした味付け。胃にも優しいメニューです。


スパイスの効いたソースとともにいただきます。メリハリのある味わい。

魚の骨で取ったコクのある出汁をたっぷりと。

 また、自家製のパンやジャムも豊富。フランスパンやクロワッサンなど数種類ありますが、マストオーダーはキャラメルバタートースト。トーストをミルクとバターに一晩浸け込んだもので、一口食べるとじゅわっと濃厚なバターの風味が広がります。

 さらにこの豪華な朝食にはスパークリングワインが付いてきます。朝からとびっきり優雅なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

 なお、朝食は宿泊者以外の方でも利用することが可能。台湾の伝統的な朝ごはんも魅力的ですが、たまには西洋スタイルの贅沢な朝食を試してみるのもいいかもしれません。

台北では珍しいスペインのファインダイニング。

 レストランのランチやディナーにはスペインの多元的なフード文化とフレンチの手法を組み合わせた創作料理を楽しめます。


落ち着いた雰囲気の店内。近隣のビジネスマンが接待や会食に利用することも少なくないそうです。

 今回撮影したのは春メニュー。前菜の「後院」はスペイン本店の裏庭をイメージしたもので、生カキにパルメザンチーズとミルクを加えたものを小石に、オイスターハーブソースや、米酢とスパイスで漬けこんだキュウリを草木に見立てています。春の息吹が感じられるメニューです。


本店オープン時から供されている定番メニュー「後院」。キュウリにソースをのせていただきます。

 そして美しい花輪のような「花舞」も同じく本店にある花園からインスピレーションを得たもの。濃厚なココナツアーモンド風味のクリームに、甘酸っぱい青リンゴがのっています。豊かな風味だけでなく、アート作品のような美しさにも目を奪われます。


白いお皿に映える一品。一般的なスペイン料理の概念を覆されます。

 メインディッシュの「海韻」は台湾の離島、澎湖産のアカハタに昆布を組み合わせた逸品。低温調理されているので、そのふっくらとした食感とジューシーさがたまりません。


日本人にも親しみやい食材を使用した独創的な料理。

 ここの料理は全体的にやや酸味を感じる味付けが特色となっており、これまでに味わったことのない新鮮な味覚を楽しめるはずです。

 ランチは全8品、ディナーは全13品。。2、3カ月に一度、メニューの一部が更新されます。台北でもスペイン料理のファインダイニングは珍しい存在なので、ぜひ試してみたいところです。


ワインセラーがあるスペースも。グラスの模様が入ったガラスの壁がキュート。

コンパクトながらも居心地の良い客室

 最後に、気になる客室です。ベージュとオフホワイトを基調とした部屋は明るく落ち着いた雰囲気。湯船があるタイプと無いタイプに分かれているほか、ベランダに露天風呂を設けたヴィラタイプもあります。


ヴィラタイプの客室。「Super Bar」で出されるお菓子が客室内にあります。

 客室内のベッドルームとバスルームの間は壁ではなく、室内窓で仕切られています。このため、開放感があり、実際の面積よりも広く感じるのがグッド。コンセントも各所にあり、無駄がなく、使い勝手の良い作りとなっています。


湯船があるダブルベッドルームの「酒荘客房」。

 なお、ウオッシュレットトイレは米国のKOHLER製、バスタブは英国のAdamsez製。機能性だけでなく、デザイン性も重視されています。さらに客室内にある冷蔵庫のビールやジュースがフリーなのもありがたいところです。

 ヨーロッパの要素と台湾らしいホスピタリティを融合させた「ホテル・ムーサ」。周囲にはカフェやレストランも数多くあるので、食事や休憩にも便利。台北の新たな滞在先リストに加えてみてはいかがでしょうか。

HOTEL MVSA 慕舍酒店(ホテル・ムーサ ムーサーチョウディエン)

所在地 台北市中山區建國北路一段61號
電話番号 02-2500-6770
交通 MRT松山南京駅5番出口から徒歩約6分
料金 朝ごはん付き宿泊プラン:都會客房(湯船なし)7,888元/室〜、酒荘客房(湯船あり)8,888元/室〜、大地別墅(ヴィラ)18,288元/室〜、天際別墅(ヴィラ)21,588元/室〜
以上の価格はサービス料・税込

Molino de Urdániz(モリノ・デ・ウルダニス)

営業時間 7:00〜10:30(L.O.10:00)、12:00〜14:30(L.O.13:00)、18:00〜22:00(L.O.20:00)
料金 ランチ 3,680元+10%〜、ディナー 5,380元+10%
https://hotelmvsa.com/

文=片倉真理
撮影=榎本麻美

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