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社長も男性社員も「いたたたた!」 浅草・アサヒグループ本社ビル 「生理痛疑似体験」イベントに潜入

  • 2024年4月27日
  • CREA WEB

生理痛疑似体験、男性、女性それぞれの反応は?


アサヒグループ食品 代表取締役社長 川原 浩さん。

 女性の体に月に一度訪れる生理。ちょっとお腹が痛むくらいという人から、痛みで救急車で運ばれたことがあるという人まで、程度の差こそあれ、女性なら誰しもが生理による不調を経験したことがあると思います。

 女性にとっては身近な生理ですが、気の置けない仲間同士の間では話題にできても、オフィスや学校など公の場では、なかなかオープンにしにくいものでした。

 それが、ここ数年、フェムテック・フェムケアの盛り上がりや、女性の労働力をもっと生かそうといった動きを経て、生理について社会全体で理解する必要があるのでは、という声が目立つようになってきました。

 女性は初潮を迎えてから閉経するまで約40年生理が続くとすると、一生における生理期間は、トータルで約6年9カ月にもなるのだそうです。そのようなことからも生理について皆が理解し、最大限に個人が能力を発揮できるようにするための動きが加速しているのです。

 アサヒグループ食品も、そうしたDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン。性別や年齢、出身地や価値観などの違いを認め合い、一人ひとりが最大限に能力を発揮できている状態)の実現をめざす企業のひとつ。今回、入社3年目のアサヒグループ食品 人事総務部の窪田百恵さんの発案で、2024年3月28日(木)、「生理痛疑似体験」イベントが実施されました。


アサヒグループ食品 人事総務部の窪田百恵さん。

 窪田さんによると、DE&Iの取り組みを進めるにあたり、「人それぞれの違いを自分事化して理解するのはなかなか難しい。実際に何か体験して理解を深められるイベントができないか」と考え、性別特有の健康課題「生理痛」を体験できるイベントを企画。アサヒグループ食品の川原社長に相談したところ、二つ返事で承諾してくれ、開催に至ったのだそう。

 イベントは、アサヒグループ食品だけでなく、アサヒビールなど、アサヒグループ全体に呼び掛け、皆が気軽に参加できるようにと、アサヒグループ本社ビル内、社員食堂の近くのスペースで実施。当日は、アサヒグループ食品の社員だけでなく、多くの参加者で賑わっていました。


生理痛体験デバイス「ピリオノイド」。

 生理痛疑似体験イベントで使用したのは、甲南大学と奈良女子大学により開発された、生理痛体験デバイス「ピリオノイド」。電気的筋肉刺激(EMS)を用いて腹筋を収縮させることで、生理時に生じる腹部の痛みを疑似再現できます。


「弱」「中」「強」の3段階で生理時の痛みを擬似体験できる。

 さて、気になる体験者の反応は?

男性も女性も……気になる体験者の反応

●アサヒグループ食品 代表取締役社長 川原 浩さん


アサヒグループ食品 代表取締役社長 川原 浩さん。

「『わたしプロローグ(月経前の一時的な晴れない気分を緩和する機能があるサプリメント)』のような商品を出す会社なので、資料やアンケートを読んで、生理時の痛みについてはわかっている気でいましたが、想像よりはるかに辛かった。『わかったつもり』と『わかる』ことはこんなに違うのかと。食べ物にあたったときの締め付けられるような痛みをひどくしたような痛みですね」


川原社長、体験後のアンケートでは「耐えられないくらい痛い(日常生活にかなり支障が出る)」に迷わず一票。

アサヒグループ食品から2024年1月に発売された、月経前の一時的な晴れない気分を緩和する機能があるサプリメント「わたしプロローグ」1袋60粒 2,210円。

●アサヒグループジャパン People&Culture本部 タレント開発部 部長 山田裕介さん


アサヒグループジャパン People&Culture本部 タレント開発部 部長 山田裕介さん。

「生理痛の話は聞いていて、私は理解があるほうだと思っていました。が、まさかの痛みで、この状態で仕事しているとは思わなかった。これは仕事にならないな、と。よく『ず〜ん』という言葉で痛みを表現するじゃないですか。お腹に石をのせられているぐらいの痛みだと思っていた。でも、体験したら石をねじ込まれているような痛みで、これほどまでとは想像していなかった」

●アサヒグループ食品 ダイレクトマーケティング部 部長 岩崎琢也さん


アサヒグループ食品 ダイレクトマーケティング部 部長 岩崎琢也さん。

「体がよじれるような痛みでした。ずっと痛いのかと思っていたら違うんですね。『いたっ』となって戻っての繰り返し。これは本当に電車にのっていられないですよ。女性は一生で約450回生理があると聞いています。この痛みが450回くるとは……。痛みのある中で、仕事や家事を行っている女性に対してリスペクトを感じました」

●アサヒグループ食品 広報 20代男性社員

「とにかくしんどい。一回きりの体験でしたけど、これが毎月となると、これは想像するだけでしんどい……。『弱』でも相当しんどくて、思考が停止しました。『中』でも、表情を普通の状態に保っておくだけで精一杯。『強』は声が出る痛みでした。立っていられない。世界中の女性がこの痛みを抱えて生きていることを今日初めて知りました。生理のときは、彼女に優しくして、家事も積極的に行いたいと思いました」

 一方、「私自身、普段痛みがないので『弱』でも結構痛かった。『強』のような痛みを感じている人は本当に大変だなと思いました」(アサヒグループ食品 ダイレクトマーケティング部 藤澤侑衣さん)といった女性社員の声も。同性であるからこそ、わかった気になりがちですが、生理の痛みは千差万別。男性が女性を理解するイベントであったと同時に、女性も女性に対しての理解を深められたようです。


アサヒグループ食品 ダイレクトマーケティング部 藤澤侑衣さん。

 また、この経験を踏まえ、「この痛みを人に言えない環境があってはならない。この痛みが当たり前に会話されて、当たり前に解消されなければいけないですね」(川原社長)、「体調が悪い中、仕事しているのは不健全なので、働きやすい環境を整えないといけないと思いました」(山田さん)などの意見が次々と。

 このような取り組みをする企業が増えることで、「生理が辛くても我慢しながら働く」という当たり前が、そうではなくなる日が近づくかもしれません。

文=CREA編集部
撮影=深野未季

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