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手打ちの常陸秋そばと日本酒に舌鼓♪ 茨城老舗酒蔵が営む「蔵+蕎麦 な嘉屋」

  • 2024年4月12日
  • ことりっぷ


「蔵+蕎麦 な嘉屋」は、江戸時代創業の酒蔵「木内酒造」に設けられたそば処。香り高い茨城県産のブランド品種「常陸秋そば」が楽しめる人気店です。酒蔵のおいしい仕込み水が、そばにも生かされています。風情ある蔵のなかで、銘酒をいただきながら、彩り豊かな旬の前菜がつくミニコースや手打ちそばを堪能しませんか。
茨城・那珂市鴻巣に本社がある「木内酒造」は、1823(文政6)年に創業した老舗酒蔵。日本酒「菊盛(きくさかり)」をはじめ、フクロウラベルで知られ、世界中にファンのいる「常陸野ネストビール」、県産の梅の実をビールスピリッツに漬けた極上の「木内梅酒」、国産ウイスキー「日の丸ウイスキー」など、多種多様なお酒を造っている酒蔵です。
大正時代に建てられた長屋門や蔵が建ち並ぶ「木内酒造」。右手にある立派な門をくぐると、中庭が広がっています。そこには「菊盛」などのお酒を醸造する酒蔵、きき酒処を併設するショップ「木内酒造 本店」があります。門とつながるように建っている右側の2階建ての蔵が「蔵+蕎麦 な嘉屋」です。「な嘉屋」という名前は「木内酒造」の創業時の名前からつけたそう。
蔵を生かした和モダンなそば処は、2階天井の立派な棟木に書かれた文字を見ると、1926(大正15)年に建てられた蔵であることがわかります。ここは日本酒の酒米を保存する米蔵として使われていていたそう。その後、増築をしながら、手作りビール工房を経て、そば処として2007年にオープンしました。
二階には筆で文字が書かれた大きな木のテーブルがあります。これは日本酒の酒槽(さかぶね)というお酒を搾るために使われていた道具の側面を利用したもの。木内酒造で使われていたものかは定かではありませんが、この建物の雰囲気に合うものを活用しています。
そば処を始めたのは「常陸野ネストビール」の製造がきっかけです。かつてはビールに使われていましたが、途絶えてしまった国産ビール麦「金子ゴールデン」を、那珂市の農家とともに復活させました。「金子ゴールデン」はオールジャパンの素材で造られる「ニッポニア」の麦芽に使われています。このビール麦の裏作として育てられたのが小麦とそば。酒蔵では小麦とそばも買い取ることにし、そば処のオープンにつながりました。
栽培しているそばは、全国から評価も高い茨城県のブランド品種「常陸秋そば」。那珂市は常陸秋そばの名産地でもあります。小麦もそばのつなぎとして使い、余すところなく栽培している素材を使っています。この小麦は一番人気のビール「ホワイトエール」にも使われていますよ。
女性に人気のメニューは「酒蔵ミニコース」。少しずついろいろな料理を味わえる彩り豊かな前菜がつくのが人気の理由です。季節を感じる旬の食材や県産食材がふんだんに使われています。例えばこの日は春を感じる、新じゃがいものポタージュ、塩麹ハムと甘酒マヨネーズ、大洗産のマイワシの南蛮漬け、あさりと大豆のやわらか煮、鉾田産の人参きんぴら、ブロッコリーのテリーヌ、八郷産キウイの白和えの7種類。どれもやさしい味わいで、わくわくするような前菜です。
肉の下ごしらえに塩麹を使ってやわらかくしたり、お酒や酒粕、甘酒などを使ったり、料理に酒蔵ならではのアクセントを加えています。
「常陸秋そば」は口に含んだ時に甘みがあり、芳醇で香り高いのが特徴。このそば粉を使う「な嘉屋」は、基本的に「外一(そといち)」でそばを打っています。そば粉を10、小麦粉を1にすることで、のど越しがよくなめらか。細目で美しいそばです。水のよさがそばのおいしさにもつながり、そばの風味が際立ち、みずみずしさを感じます。十割そばもプラス400円で味わえますよ。
「酒蔵ミニコース」では冷・温・つけ蕎麦から選ぶことができます。今回は人気の「いろいろ野菜の天婦羅蕎麦」を選択。サクサクに揚がった天ぷらはまいたけやごぼう、レンコン、珍しいアレッタなどがつき、藻塩と天つゆで味わえます。
食後はデザートとコーヒーがつきます。仕込み水で淹れるコーヒーの豆は、笠間の自家焙煎珈琲店「橋本焙煎所」のもの。こだわりの1杯をいただきましょう。本日のデザートは、那珂市の人気の卵屋さん「ひまわりの丘」が作る卵の味が濃いシフォンケーキ。夏は酒蔵で造る梅酒を使った梅酒ゼリーも登場します。
コース以外にも「季節の蕎麦」が人気。春は「川海老のかき揚げ」、5月中旬から秋近くまで「冷やしすだち蕎麦」をいただけますよ。
料理長一押しのお酒に合う一品おつまみは「奥久慈大子のこんにゃくの土佐煮」。茨城県北部の大子町はこんにゃくの名産地です。カツオだしでひと口サイズのこんにゃくを煮込んだ土佐煮は、弾力のある食感で、かむとカツオだしの旨みがじゅわっと口の中に広がる一品。しっかりとした味付けです。
日本酒を合わせるなら、少しずつおいしいお酒が飲める「季節の酒三種飲み比べ」を。春は「春待月」「春一輪」「愛山」の3種類。純米吟醸の「愛山」は兵庫県産の酒米、希少な愛山100%で造るお酒で、数量が限られている1本です。やわらかな甘みがあります。
ビールに向かない大麦を使えないかということから、2016年にスタートさせたのが「日の丸ウイスキー」造り。シングルモルトだけでなく、小麦や米もブレンドしています。日本らしい米を使ったウイスキー「KOME」は、酒米を使用しているそう。米を磨いたときに出る酒米の米ぬかを使うことで、フルーティーな香りがするウイスキーに。「無駄なく地元でとれた穀物で作るのが、木内酒造のジャパニーズウイスキー」といいます。
「KOME」は3年熟成させたグレーンウイスキー。やや甘いお菓子のような香りで、米独特のフルーティーさがあります。和食にも合いますよ。
「常陸野ハム BARREL SMOKE」は、2023年にウイスキー造りからできたハムです。「八郷蒸溜所」のそばに銘柄豚「常陸野ポーク」の養豚場があり、蒸溜の過程ででた麦芽粕を豚たちの飼料の一部に使っています。その豚を丸ごと一頭仕入れるため、あらゆる部位が使えるハムやソーセージ、サラミなどを作ることに。仕上げにウイスキー樽をチップにして、スモークしています。熟成して肉の旨みが引き出されたハムは、ぜひウイスキーと一緒に。
お酒造りに関わる穀物などを無駄にすることなく、新しいお酒や商品を生み出している「木内酒造」。そばと日本酒をゆっくり味わいながら、酒蔵ならではの個性やつながりを感じてみてはいかがでしょうか。

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