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厳冬期の札幌で、「雪」をテーマにした『札幌国際芸術祭2024』が開幕! 

  • 2024年2月2日
  • コロカル
初の冬季開催となったSIAF2024のテーマは「LAST SNOW」

6年半振りとなる『札幌国際芸術祭』が、1月20日に開幕した。これまで3年スパンで開催されてきたが、2020年はコロナ禍のため中止に。幻となってしまった企画も多数あったが、その後も札幌のアートファンを増やす地道な取り組みを続け、今年ついに開催まで漕ぎ着けた。

『札幌国際芸術祭2024』(以下、SIAF2024)の最大の特徴は、冬に開催されること。過去2回は夏開催だったが、北国の個性が際立つのは、なんといっても雪の季節。札幌の1年間の降雪量は平年約5メートル。世界的に見ても、人口100万人以上の「大都市」で、これほどの降雪量があるのは札幌だけだそうだ。豪雪都市で行われるSIAF2024のテーマは「LAST SNOW」。札幌市内6会場を中心に、10か国以上、約80組のアーティストの作品が展示されるほか、冬ならではの屋外イベントなどが、37日間にわたって展開される。

筆者は12年前に東京から北海道に移住し、北国の冬は「雪」とどのように向き合うかが最大の課題であることを知った。そこで今回、芸術祭の「LAST SNOW」というテーマを、北国目線でリポートする。

総合インフォメーションセンターは、〈札幌文化芸術交流センター SCARTS〉。まずはここでガイドブックなどを入手しよう!

総合インフォメーションセンターは、〈札幌文化芸術交流センター SCARTS〉。まずはここでガイドブックなどを入手しよう!

まずは芸術祭のディレクターである小川秀明さんが、「LAST SNOW」に込めた思いを紹介。小川さんは、オーストリア・リンツ市にあるアートとテクノロジーの世界的文化機関として知られる『アルスエレクトロニカ』のフューチャーラボ部門の共同代表を務め、メディアアートの先進的な取り組みに長年関わっている。

ディレクターの小川秀明さん。2007年からリンツ市で活動を始め、アルスエレクトロニカにて、アーティスト、キュレーター、リサーチャーとして活躍してきた。

ディレクターの小川秀明さん。2007年からリンツ市で活動を始め、アルスエレクトロニカにて、アーティスト、キュレーター、リサーチャーとして活躍してきた。

2020年以降の世界的なパンデミック、分断、紛争、戦争など、私たちは、絶え間ない危機の中で生きています。加速するテクノロジーの発展と、それによって急速に変容する社会。そして、地球規模の気候変動の影響は、私たちの生活をゆっくりと、しかし確実に変化させています。札幌では当たり前のように存在しているはずの「雪」の意味や、雪が作り出す風景も、21世紀末には現在とは異なるものになると予測されています。この芸術祭では、そのような未来の地球、社会、コミュニティー、生活のための変革と創造に焦点を当てます。(中略)「LAST SNOW」は、このような未来に向けた創造と行動を呼びかけるものです。私たちは、ただ未来がやってくるのを待ち、それを受け入れるだけなのか。それとも、これをラストチャンスととらえ、未来に向けて何かを始めることができるのか。 

SIAF2024 ディレクターメッセージより一部抜粋

副題としたのは「はじまりの雪」。英語では「Where the Future Begins」、アイヌ語では「ウパㇱテ」。雪を意味する「ウパㇱ」を語源に考えられた「ウパㇱテ」は、「雪とともに未来に向けて走り出してみる、雪を通して互いに気づきあってみる」という今回のテーマに相応しいイメージを重ねたそうだ。

主要会場は6つ。1日ではまわりきれない充実の展示

主要な会場のイメージマップ。札幌市街からモエレ沼公園までは車で約30分。札幌芸術の森美術館までは車で約35分。

主要な会場のイメージマップ。札幌市街からモエレ沼公園までは車で約30分。札幌芸術の森美術館までは車で約35分。

テーマに基づき、札幌市内の6つの会場は大きくふたつのストーリーに分けられた。

ひとつは「200年の旅」。札幌市の中心地にある、〈札幌文化芸術交流センター SCARTS〉と〈未来劇場[東一丁目劇場施設]〉、〈北海道立近代美術館〉の3施設を巡ることで、1924年から2124年という時間軸を見通す構成となっている。

もうひとつは「未来の冬の実験区」。〈モエレ沼公園〉、〈札幌芸術の森美術館〉、『さっぽろ雪まつり』の会場で、実験的要素を取り入れたプロジェクトを展開していく。そのほか市内各所で関連プロジェクトも多く、とても1日では回りきれないボリュームの芸術祭となっている。今回のリポートは、もっともアーティストの作品が多い未来劇場をはじめ「200年の旅」が味わえる3会場を中心に紹介する。

会場のひとつ〈未来劇場〉。

会場のひとつ〈未来劇場〉。

長らく劇場として使われ、その後は貸し施設となっていた東1丁目劇場施設(旧北海道四季劇場)を、アートを通して未来を体験し、考え、行動する拠点として、SIAF2024では〈未来劇場〉と名づけ、ここで行われる展覧会を『2124 ―はじまりの雪―』とした。会場となったのは劇場全体。舞台ホールだけでなく、舞台裏や楽屋も巡り、個々の作品へと誘う物語が設定された。

劇場の扉をあけ舞台へ続く通路は「タイムトラベル」とし、KOMAKUS(北海道と東京を拠点に脱中心的な音響空間の創造を行う)によるサウンドインスタレーションが時空を超える演出をし、そこを抜けると韓国のアーティスト、チェ・ウラムさんによるインスタレーションが現れた。ウラムさんの作品から、「機械仕掛けの生き物が魂を持って自律的に動く」という「未来の風景」を小川ディレクターは思い起こしたという。

チェ・ウラムの作品。(左上)『素敵に枯れていきたい、君と。』、(左下)『穴の守護者』、(右下)穴を覗き込むように鑑賞する『無限の穴』。

チェ・ウラムの作品。(左上)『素敵に枯れていきたい、君と。』、(左下)『穴の守護者』、(右下)穴を覗き込むように鑑賞する『無限の穴』。

その後、舞台の地下に降りると「時空の錬金術」として2組のアーティストの作品が、続いて「100年後の物語」として6組のアーティストの作品があり、いずれもテクノロジーや映像、インスタレーションを駆使して、それぞれが思い描く未来像を表現していた。

「時空の錬金術」コーナーで紹介された青木美歌の作品。粘菌やウイルス、細胞、花粉など原始的な生命のかたちが、緻密なガラスの技術で表現。Photo by FUJIKURA Tsubasa

「時空の錬金術」コーナーで紹介された青木美歌の作品。粘菌やウイルス、細胞、花粉など原始的な生命のかたちが、緻密なガラスの技術で表現。Photo by FUJIKURA Tsubasa

今ある危機に警鐘を鳴らすアーティストたち

続いて「今ある危機」と題して展開されたエリアでは、6組のアーティストが地球温暖化をテーマにした作品を発表した。ベルリンを拠点に環境問題に関心を寄せる建築家、ジョヴァンニ・ベッティさんとカタリーナ・フレックさんは、イタリアのアルプス山脈で氷河が溶け出すのを遅らせるために、ターポリン(横断幕などに使われるプラスチック製の生地)で山の雪を覆う活動について取り上げている。山の稜線になぞらえて天井からターポリンを吊り下げ、今後消えていく氷河のかたちを連想させつつ、環境を守るために環境に負荷がかかるプラスチック製品を使わなければならないという皮肉な状況を視覚化した。

ジョヴァンニ・ベッティ + カタリーナ・フレックによるターポリンを使った作品『Invisible Mountain』。壁面には気温上昇により発生する氷雪藻の色を元に生成されたデジタルグラフィックを展示。

ジョヴァンニ・ベッティ + カタリーナ・フレックによるターポリンを使った作品『Invisible Mountain』。壁面には気温上昇により発生する氷雪藻の色を元に生成されたデジタルグラフィックを展示。

また、マーシャル人を祖先にもつ詩人、キャシー・ジェトニル=キジナーさんとイヌイット族の作家、アカ・ニワイアナさんは、共同で制作した詩を朗読する映像作品『Rise: From One Island to Another(Rise:ある島国からもうひとつの島国へ)』を発表。地球温暖化により、マーシャル諸島は海面上昇の危機に直面し、グリーンランドでは氷河の融解で国土が失われつつある。また、冷戦時代にマーシャル諸島のビキニ環礁とエニウェトク環礁では、アメリカによる核実験が多数行われた歴史も。映像作品では、こうした現実と祖先に対する思いを詩に織り込み、それを互いに朗読し、危機に立ち向かうための連帯を呼びかけている。

キャシー・ジェトニル=キジナー+アカ・ニワイアナによる映像作品『Rise: From One Island to Another』。

キャシー・ジェトニル=キジナー+アカ・ニワイアナによる映像作品『Rise: From One Island to Another』。

筆者はこのふたつの作品に接し、北海道に降り積もる雪と氷河とが直感的につながったような感覚が湧き上がった。私の住むのは札幌から40キロほど離れた岩見沢で道内有数の豪雪地帯。それでも今年は気温が比較的高く、雪が少ない状態が続いていて、こうした変化が氷河の融解とも地続きとなっていると強く思った。

次の部屋へと向かうと、スイスのジュー渓谷にある森を記録したクアヨラさんによる絵画作品が現れた。手描きの水墨画のように見えるが、森の風景を3Dレーザースキャナで読み取って、それを印刷しており、細部を観察するとポリゴンで構成されていることがわかる。

イタリア出身のアーティスト、クアヨラによる『Remains: Vallee de Joux』。

イタリア出身のアーティスト、クアヨラによる『Remains: Vallee de Joux』。

さらに奥へと進むと、北海道を拠点に活動する国松希根太さんの巨木をチェーンソーやナタ、ノミ、ヤスリなどで削って制作された彫刻が並んでいた。ここまで決して明るいわけではない100年後の未来を描いた作品を巡ってきたこともあって、森や木々という存在と対峙したクアヨラさんと国松さんの作品が、まるで環境破壊を無言で受け入れるしかなかった植物たちの苦渋の声を代弁しているかのように感じられた。

国松希根太『WORMHOLE』。タイトルは虫喰い穴という意味。北海道で20か所近くの巨木を巡る旅のなかから作品をつくりあげた。

国松希根太『WORMHOLE』。タイトルは虫喰い穴という意味。北海道で20か所近くの巨木を巡る旅のなかから作品をつくりあげた。

展示を締めくくるのは、SIAF2024のテーマである「LAST SNOW」と題されたコーナー。

雪は天から送られた手紙である

このコーナーでは、世界で初めて雪の結晶を人工的につくり出した物理学者、中谷宇吉郎(1900-1962)の言葉から始まり、札幌の気候や地形から見る雪の状況や、雪の最新の研究が地球温暖化にどのような役割を持つのかなどが紹介された。

札幌と雪の関わりを示した資料展示。21世紀末には積雪が大きく減り、雪まつりの採雪コストが2倍以上になるという試算も。札幌を拠点とするグラフィックデザイナー、ワビサビが展示構成を手がけた。

札幌と雪の関わりを示した資料展示。21世紀末には積雪が大きく減り、雪まつりの採雪コストが2倍以上になるという試算も。札幌を拠点とするグラフィックデザイナー、ワビサビが展示構成を手がけた。

すべての展示を見たあとに、来場者は舞台へと誘われる。小川ディレクターは、来場者が「観客(ビジター)」ではなく「演者(アクター)」になってほしいとして「未来ラボ」というひとりひとりが体験をする場を設けた。そのなかのひとつに、雪の結晶をプログラミングでつくるコーナーも。芸術祭開催前から雪の結晶をつくるワークショップを札幌市内の小中学校で実施しており、集められたたくさんの結晶をスクリーンに映し出す仕かけもあった。

ステージに取りつけられたスクリーンには、人々がつくった雪の結晶が流されていた。ワークショップの企画や映像化はインタラクティブ・アート・ユニット、フジ森が手がけた。

ステージに取りつけられたスクリーンには、人々がつくった雪の結晶が流されていた。ワークショップの企画や映像化はインタラクティブ・アート・ユニット、フジ森が手がけた。

除雪や排雪を独自リサーチ&未来の雪のまちを描き出す

〈未来劇場〉をあとにし、徒歩3分のところにある〈札幌文化芸術交流センター SCARTS〉へ。芸術祭の総合インフォメーションセンターの役割とともに、SIAF2024が目指す方向性に共鳴し、連携・協働する「イニシアティブ・パートナー」となったソニーグループの『INTO SIGHT at SIAF2024』が発表された。

自然やマテリアル、光や影といったさまざまな要素を、来場者の動きに呼応させてリアルタイムに変化させ、万華鏡のようなビジュアルエレメントを生み出す体験型の空間で、ロンドンで発表したものに雪のイメージを加えたSIAFバージョンとなっているそう。

ソニーグループによる『INTO SIGHT』。

ソニーグループによる『INTO SIGHT』。

 

SCARTSの2階では、同じく「イニシアティブ・パートナー」の『WIRED』日本版によるポッドキャストプログラムの配信と『都市と自然をめぐるラボラトリー』という展示が行われた。このラボラトリーでは、札幌ならではのクリエイティビティを模索してきたSIAFラボと、さっぽろ雪まつり会場で「とある未来の雪のまち」を出現させアートを介して未来を構想する社会実験を行うパノラマティクスが共同した、調査研究展示が行われた。

中央に置かれているのが『除雪彫刻』。モニターからは除雪に関わるプロフェッショナルのインタビュー映像が流されている。

中央に置かれているのが『除雪彫刻』。モニターからは除雪に関わるプロフェッショナルのインタビュー映像が流されている。

そのなかで、ひときわ目を引いたのは、SIAFラボによる『除雪彫刻』。札幌の道路脇には、重機で除雪した際に溜まった雪が壁のようになる。この雪壁を3Dスキャナで読み込みデータ化し、発泡スチロールを切削して彫刻を制作。それを2021年の盛夏に、元データを採取した地点に再び据え置き、北海道の季節差をヴィジュアライズする活動も行った。積雪量が増えてくると最大の問題になるのは、雪をどこに捨てるか。やっかいな道路脇の雪の排雪が進まないと車道が1車線になり渋滞の大きな原因に。それが彫刻として表されることで、量感がリアルに迫ってきて興味深いものだった。

冬に雪の壁ができていた場所に『除雪彫刻』を設置。夏の風景との大きなギャップが感じられる。

冬に雪の壁ができていた場所に『除雪彫刻』を設置。夏の風景との大きなギャップが感じられる。

100年前のアートから現代までを巡り、未来を探る

3つ目の会場は、地下鉄「西18丁目駅」を下車し徒歩5分のところにある〈北海道立近代美術館〉。ここでは「1924-2024 FRAGILE[こわれもの注意]」と題し、美術館のコレクションとアーティストの新作インスタレーションを組み合わせ、100年前から今日までを再考する展覧会が行われた。

FRAGILEとは「壊れやすい」「もろい」などの意味を持ち、美術作品の輸送の現場で使われている言葉だ。この言葉が示すようにアートは壊れやすいもの。しかし、こうした物理的な側面だけでなく、アートは歴史のなかでさまざまな価値観にさらされ、その価値観自体も「壊れやすい」ものなのではないかという問いかけも含まれている。

今回の企画を象徴する展示。中央にFRAGILEと書かれた美術品を守り輸送するための木箱が置かれた。

今回の企画を象徴する展示。中央にFRAGILEと書かれた美術品を守り輸送するための木箱が置かれた。

出発点は100年前。1924年に起こった社会的事象に関連が深い作品を取り上げ、そこから時代の変化に呼応するように描かれた作品や美術運動について紹介。コレクションのなかには北海道出身の作家も多く、漁夫をモチーフにした絵画や写真もあり、厳しい自然のなかでたくましく生き抜く人々の姿を見つけることができた。100年という時代を一気にかけ抜け現代へ。2000年代を象徴する作品として5名のアーティストの作品が紹介された。

平野禎邦の写真作品『タラ延縄船、北千島』。北洋漁船で働きながら、過酷な漁の様子を写真に撮り続けた。

平野禎邦の写真作品『タラ延縄船、北千島』。北洋漁船で働きながら、過酷な漁の様子を写真に撮り続けた。

行武治美によるガラスのインスタレーション『凍景』。凍てつく光の林のようなイメージの空間が生まれた。

行武治美によるガラスのインスタレーション『凍景』。凍てつく光の林のようなイメージの空間が生まれた。

近代美術館では、目に見えるかたちでの雪をテーマにした作品は多くなかったが、「LAST SNOW」に込められた、自然環境の大きな変化に対して私たちはどのように向き合い、未来を切り開いていくのかという問いかけに対し、「環境問題にはまた、政治的・経済的な強者と弱者の格差や、社会における差別構造との関係が指摘されている」という視点でキュレーションが行われたそうだ。

今からちょうど100年前の1924年に描かれた上野山清貢『とかげを弄び夢見る島の乙女』。

今からちょうど100年前の1924年に描かれた上野山清貢『とかげを弄び夢見る島の乙女』。

3会場をまわるのには半日以上かかった。作品を見るだけでなく、掲示されている解説を読み、さらには各会場に設置されたQR コードを読み込むことによって入手できるNFTスタンプラリーもチェックして……。読み込めば読み込むほど、環境問題やAIテクノロジーの脅威、紛争や災害など、目を背けたくなるような事実に対して、アーティストが警鐘を鳴らしていることに気づかされる内容だと感じられた。

SIAF 時空を超えるNFTスタンプラリーと題し、各会場を巡りQRコードよりアクセスすると、展示や作品にまつわる秘密のインタビューを入手可能。

SIAF 時空を超えるNFTスタンプラリーと題し、各会場を巡りQRコードよりアクセスすると、展示や作品にまつわる秘密のインタビューを入手可能。

雪とは北海道で生きる人々にとってどのようなものだろうか。車の運転中に前触れもないホワイトアウトにあったり、車が雪にハマったり。筆者は除雪のために屋根に登り、命綱をつけていても足が震えた経験もあり、雪に脅威を感じることも。

雪が降ってしまったら、人間の都合を押し通すことはできないという意識は、道民が持っている共通の意識なのではないかと思う。

札幌では当たり前のように存在しているはずの「雪」の意味や、雪が作り出す風景も、21世紀末には現在とは異なるものになると予測されています。

小川ディレクターが問いかけたメッセージと、それによって生まれたSIAF2024は、雪とともにある道民だからこそ、未来がより具体的にイメージできる機会になるのではないかと思った。「LAST SNOW」であり「はじまりの雪」でもある。つまり何かが終わり、新しい何かがはじまるという、いまが転換点なのかもしれない。そんな考えを心の片隅に持ちながら芸術祭をめぐってみると、未来への方向性が何かしら見えてくるのかもしれない。

今回、紹介しきれなかった会場でも注目プログラムが多数。モエレ沼公園では、「未来の雪の公園」というタイトルのもと、新しい冬のスポーツをつくる共創型プロジェクト『未来の札幌の運動会』と、国際的に活躍する脇田玲による映像作品、フィンランド出身のユッシ・アンジェスレヴァとスイスのアーティストユニットAATBによる作品も紹介。

『明和電機 ナンセンスマシーン展 in 札幌』(撮影:三橋 純)

『明和電機 ナンセンスマシーン展 in 札幌』(撮影:三橋 純)

札幌芸術の森美術館では「メディアアーツの森」と題し『明和電機 ナンセンスマシーン展 in 札幌 』と『メディアアーツ都市・札幌って知ってました?』というふたつの展示を実施(会期は2024年3月3日まで)。

エネス「Airship Orchestra」 Photo by Ben WEINSTEIN

エネス「Airship Orchestra」 Photo by Ben WEINSTEIN

さっぽろ雪まつり大通2丁目会場では「とある未来の雪のまち」というタイトルで、移動や暮らしに焦点を当てた未来を構想する社会実験を実施。オーストラリアのアート&テクノロジースタジオ、エネスによる光と音の大型作品『エアシップ・オーケストラ』も登場する。

information

SAPPORO INTERNATIONAL ART FESTIVAL 2024 札幌国際芸術祭2024

会期:2024年1月20日(土)〜2月25日(日)

※札幌芸術の森美術館の会期は2023年12月16日(土)〜2024年3月3日(日)

※さっぽろ雪まつり大通2丁目会場の会期は2024年2月4日(日)〜2月11日(日祝)

会場

未来劇場(東1丁目劇場施設)

北海道立近代美術館

札幌芸術の森美術館

札幌文化芸術交流センター SCARTS

モエレ沼公園

さっぽろ雪まつり大通2丁目会場

サテライト会場・札幌市資料館(旧札幌控訴院)

ほか

Web:札幌国際芸術祭2024

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、『みづゑ』編集長、『美術手帖』副編集長など歴任。2011年に東日本大震災をきっかけに暮らしの拠点を北海道へ移しリモートワークを行う。2015年に独立。〈森の出版社ミチクル〉を立ち上げローカルな本づくりを模索中。岩見沢市の美流渡とその周辺地区の地域活動〈みる・とーぶプロジェクト〉の代表も務める。https://www.instagram.com/michikokurushima/

https://www.facebook.com/michikuru

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