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酷暑の夏を乗り越えて秋がきた! 野菜を育てる大変さを知ることが、食べる喜びにつながる。

  • 2023年10月16日
  • コロカル
11年目の、秋の小豆島

10月に入り、小豆島はぐっと温度が下がりました。あんなに蒸し暑かった9月が嘘のよう……。残暑は消え去り、突然やってきた秋。ちょっと戸惑いつつも、この季節がやってくるのを切望しておりましたので、心底うれしい。

少し冷たい気持ちのいい風。晴れ渡る空の下の山と海。紫色に熟し始めたオリーブの実を収穫する人々。

秋の小豆島は本当に最高なんです!

秋の澄んだ空と小豆島の山々と瀬戸内海。

秋の澄んだ空と小豆島の山々と瀬戸内海。

夏の間、緑色だったオリーブの実は、10月頃から赤紫色に熟していきます。

夏の間、緑色だったオリーブの実は、10月頃から赤紫色に熟していきます。

10月は島のあちこちでオリーブの収穫風景をみることができます。

10月は島のあちこちでオリーブの収穫風景をみることができます。

私たち家族が小豆島に引っ越してきたのも、そんな秋の日でした。今年の10月で小豆島在住歴11年となります。

小豆島に移住し、1年半後にオープンした〈HOMEMAKERSカフェ〉はもうすぐ10周年になります。

小豆島に移住し、1年半後にオープンした〈HOMEMAKERSカフェ〉はもうすぐ10周年になります。

小豆島に暮らし始めて、農業を始めて、カフェをオープンして、最初の頃は、野菜の種まきから収穫、発送業務、カフェの仕込み、営業などすべて夫婦ふたりでやっていたのですが、少しずつやることが増えてきて、手伝いにきてくれる友人がひとりふたりと増えて、今はだいぶ仕事を分担するようになりました。

最近のわたしは、販売や発送に関わる事務作業、野菜の出荷作業、カフェ営業などが主な役割で、畑に出て作業する時間がだいぶ少なくなりました。野菜の出荷作業はしているので、野菜にはいつも触れているのですが、種をまいたり、苗を植えたり、土を触ったり、そういう作業からは離れていました。

この秋、ちょっと人手不足だったこともあり、私も畑仕事を手伝います! と初心者の気持ちで久しぶりに畑に出ることに! 秋は、冬から春先に収穫する野菜の準備で大忙しなんです。冬に収穫する大根や白菜だけでなく、春先に収穫する新玉ねぎなどの種まき、苗植えも年内に終わらせてしまわないと間に合わなくなります。猫の手も借りたい忙しさなら、畑仕事に慣れてない私でも少しくらいは力になれるかと。

この日はにんじんの種まき。まだ残暑が残る9月下旬。

この日はにんじんの種まき。まだ残暑が残る9月下旬。

無事に発芽した、にんじんの芽。ほっ。

無事に発芽した、にんじんの芽。ほっ。

育てる大変さを知ることが食べる喜びにつながる

久しぶりのにんじんの種まき。種まきって意外と難しいんです。にんじんの種はとっても小さいので、ついついぱらぱらぱらっとたくさんまきすぎてしまいそうになるのですが、種が密集してしまうときゅうくつでにんじんが大きく育ちません。

そのために間引きしたりもするのですが、なるべく余計な作業は減らしたい。1、2、3と数えながら、ある程度、正確な数をまいていきます。種をまいたあと、どれだけ土をかぶせるかも大切なポイント。5ミリなのか1センチなのか、それによって芽が出てくる日数や確率も変わってきます。正確に丁寧に土をかぶせて、押さえて、種まき完了。

種まき後、土が乾きすぎないように、こまめに様子を見て水やりをして10日後くらいにようやく発芽。もしわたしがまいたところだけ芽が出なかったらどうしようと、ちょっと冷や冷やしました。

無事に発芽した大根。ひとつの穴に3つの種まき。

無事に発芽した大根。ひとつの穴に3つの種まき。

大根の種もまきました。畝の準備と白いマルチ貼りは完了していて、私はひたすら開けてもらった穴に3粒の大根の種をまいて、1センチほど土をかけて、トントン叩いて土を押さえる。それをひたすら繰り返す。

5日後、畑をチェックしに行ったら、ちゃんと芽が出てる!わーー、芽が出てる。芽が出るってこんなにうれしいことなんだなと再認識しました。

畑に直接種をまかずに、トレイに土を入れて種をまいて苗として育ててから、畑に植える野菜もあります。

畑に直接種をまかずに、トレイに土を入れて種をまいて苗として育ててから、畑に植える野菜もあります。

きれいに育った苗たち。ひとつずつ畑に植えつけ。

きれいに育った苗たち。ひとつずつ畑に植えつけ。

小松菜やチンゲンサイ、レタスなどは畑に直接種をまかずに、小さなポットが連結したような種まき専用のトレイに種をまいて、まず苗を育てます。小さな穴に小さな種をひたすらまく、とっても大変な作業です。私たちそろそろローガンズ(老眼)には、さらに厳しい……。

こうして育てた何種類もの野菜の苗をひたすら植えていく作業も。大変だけど、わたしは意外と好きな作業。

ひとつひとつ地道に苗を植えていく。スピード勝負!

ひとつひとつ地道に苗を植えていく。スピード勝負!

種をまいて、育て、収穫する。これをずっと繰り返していく。

久しぶりに畑に出て、自分の手を動かして作業することで、なんだかいろいろと思い出しました。仕事を分担することももちろん必要だし重要。でもそうするとどうしても見えなくなってしまうことがあったり、その大変さも喜びの気持ちも忘れてしまったり。それはちょっと切ない。

全部を自分ひとりではできない。でも自分たちがしている、ひとつひとつのことをなるべく忘れてしまわないようにしたい。種をまく大変さを知っているから、芽が出るとうれしい。育てる大変さがあるから、収穫して食べる喜びにつながる。

そんなことを心にとめつつ、11年目の小豆島での暮らしも、種をまき続けよう。

information

HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:土曜のみ 11:00〜17:00(L.O. 16:00)*冬季休業

Web:HOMEMAKERS

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。https://homemakers.jp/

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