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「ケナフ」 詳細解説

読み:
けなふ
英名:
Kenaf

ケナフはアフリカ原産。インドでは古くから繊維作物として栽培が行われていた。1930年代に主にロシアで黄麻に代わる繊維作物として研究されていたが、1950年代後半、アメリカの農務省が製紙原料として木材に代わる最適な非木材資源として紹介した。それ以降、ケナフは木材を使わない紙の原料として、主に熱帯林の森林資源の減少を食い止める切り札として注目されるようになり、日本でも1990年代から話題となった。

ケナフは、成長が早く、また、収穫できる繊維も多いことから、木材代替資源として注目を集めるとともに、二酸化炭素(CO2)の吸収もよく、地球温暖化防止にも役立つというので、環境教育に導入する学校が増えた。ケナフを栽培し、そこから紙をつくることを環境教育として導入することは、子どもたちに環境問題を考えさせるきっかけになるという視点からだ。また、学校ばかりではなく環境に関心を寄せる人の間にも広まり、ケナフを植栽する集まりが全国に発足した。最近では、バイオマス資源活用の観点からも注目されている。

しかし、ケナフの植栽は、環境に悪影響を与えるという異論もある。まず、ケナフから紙をつくる場合、栽培のための化学肥料の使用、生産過程での化石燃料の使用、輸送、廃水処理など、一連の生産プロセスをLCA評価すると、木材パルプの生産よりCO2の環境負荷が高くなるといわれる。また、CO2の吸収についても、1年草の場合、多年生の樹木やサンゴのように、長期間にわたってCO2を蓄えることができず、枯れた段階でCO2を空気中に放出するため、CO2の吸収効果も少なく、温暖化防止への役割も高くないという考え方もある。さらに、何年も同じ土地に植え続けると連作障害を引き起こす。加えて、強い繁殖力を持つケナフを大量に日本に植栽すると、外来植物として帰化し、在来植物に影響を与えることが危惧されている。

このようにケナフに関しては、環境問題の観点からは賛否両論がある。いずれにしても、コストの面からみるとまだ木材パルプに比較して高く、大量生産して木材パルプに代替するような段階にはきていない。また、十分に研究し尽くされていない現段階では、日本で植栽する場合には、種をしっかり管理するなどして、帰化することを防ぐ手立てが求められる。

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