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海野和男のデジタル昆虫記

カイコ

カイコ
2007年09月11日

 今日は信州大学の金勝廉介先生を訪ね、カイコの話しをお聞きしたり、少しビデオを撮影させていただいた。
 カイコの幼虫にいろいろな品種があることも詳しくは知らなかった。その品種も安定的な形質を持つたくさんの品種があり、それを掛け合わせて新たな品種を作り、卵を農家に飼育してもらい繭を生産していた。農家が卵を産ませるわけではなく、卵の採取は専門家が行っていた。1998年までは、一般の人のカイコの累代飼育は禁止されていたのだ。
 かっては無許可で飼育することも禁じられていたのかなと思う。子供の頃にカイコが飼いたくて仕方がなく、内緒でもらったことを思い出した。ぼくの叔母さんの連れ合いは蚕糸試験場の技官だったのだ。
 でも管理が厳しく行われたおかげで、様々な生物学的なことがわかっているらしい。性フェロモンの構造もカイコではじめて明らかになり、カイコの学名のBombixからボンビコールと名付けられたのは1959年のことだ。
 今では、学校の教材として無くてはならないものになっているという。韓国でも同様だそうだということでびっくり。かっては勝手に飼ってはいけなかったカイコも今は生物教材として無くてはならないものになりつつあるようだ。これは大変面白いことだ。
 絹は江戸時代から輸出の花形で、養蚕は日本の基幹産業だったのだ。1930年代は年に40万トンもの繭が生産されたという。それが2005年にはわずか620トンになってしまった。ここ10年でも加速度的に養蚕農家が減っているようだ。小諸でもぼくがきたころは、クワを刈り取っているところを見かけたが、この所、全くそうした場面に遭遇しない。今は絹の生産は完全に中国に移り、年間70万トン近くの繭が生産されているという。
 写真左上はカイコの卵。品種ごとに整理されている。これは標本ではなく休眠中の卵であるというからびっくり。右上はカイコを飼っている様子。左下は真皮細胞の中に色素が入り、黄色くなったカイコ。これはある品種を掛け合わせてで作られたカイコで黄色1に対し白3の割合で出る。メンデルの遺伝の法則を目の当たりに見ることができるのだ、右下は白い粉がかかっているが、この粉は石灰。脱皮にばらつきがでるので、早く脱皮した幼虫の発育を遅らせるための役割をする。クワを枯らして早く脱皮した幼虫の成長を抑えるのだという。
 そのうちにカイコの話をtepcoの昆虫教室でしたいなと思う。
 
◎ビデオの海野和男の昆虫教室第49回「蝶の道」

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