ペルー取材から戻った。あっという間の１９日間だった。今回は学生時代からのあこがれの地、初めて訪れるペルー。期待は大きかった。高嶋君も連れて行った。二人の役割は今回は高嶋君がメインのビデオカメラマン。ぼくはビデオはディレクター兼助手。ビデオ撮影は虫の眼や高速度などを少し回しただけ。スチールは勿論ぼくの担当。高速度をのぞけば荷物もビデオカメラ２台スチール２台だから、いつもの取材の一人分と言ったところ。
　学生時代にペルーにあこがれたのは美しい蝶の舞うペルーアマゾンの記事がきっかけだ。その期待通りにチョウが乱舞する夢のような光景が目の前で繰り広げられ、ほかの虫もまずまずみることができた。
　行きの飛行機で二人分の荷物が届かず、最初の１週間近く、十分な機材がなかったりしたけれど、まあ何とかなるもので、虫さされや、ゴム長靴で足がかぶれてしまったりしたぐらいで無事に帰ってきた。
　ペルーは危険な地域が多いと言われているが、今まで訪れた中南米国の中でも、もっとも落ち着いた安全な国に思えた。実は危険と言われる地域にずっといたのだが、そこは全くの平和な地域で、身の危険どころか、泥棒すらいないような場所だった。もっとも１０年ほど前まではゲリラの活動もあったらしいが、今はそのようなことはないという。
　　南米の本格的な取材は１２年ぶりぐらいだろうか。８０年代の後半から９０年代前半にかけて、何度も中南米に行った。そのころは今よりもどん欲に虫を探したから、ずいぶんいろんな虫と出会えた。今回は、その多くがかってみたことのあるもので、全く新しく見つけたものはほとんどなかった。けれど、再度出会いたかった虫たちにたくさんあえたのはうれしかった。そして目的の一つのＨＤＶでの収録もかなりうまくいったのではと思う。写真もたくさん撮った。これほど写真を撮ったのは久しぶりだ。RAW+JPGで撮影したので、全部で70ＧＢほどにもなった。ＨＤがいっぱいで、デジカメの画像が大きくなっていく現状では、次回は保存システムも考えなければと思った。
　電気のない山でのキャンプが主だったが、夜間に昆虫を集めるために発電機を使ったので何とか充電もできた。
　今回は、ぼくの個人旅行としては初めて、全行程ガイドについてもらった。ぼくの撮影スタイルは勝手にレンタカーで動き回って場所を探すスタイルが主だった。けれど短い時間でたくさんの虫に出会えたのは、やはり虫の専門ガイドの力によるところが大きいと思った。
ペルーに昆虫を見に行く人の多くの目的はアグリアスというたてはチョウの仲間である。アグリアスはその美しさや、変異の多さから人の心をとらえ続けている。そのアグリアスを比較的楽に見られるのがペルーのアマゾン地域なのだ。
　もっとも偶然にアグリアスに出会うのはよほどの運がないと難しい。ぼく自身、１５年ほど前に友人の汗に来たアグリアスを見た時はびっくりした。
　通常トラップと言ってバナナや糞尿を使ってアグリアスをおびき寄せる手法で見ることができるが、警戒心が強く。近くまで来ても木の葉や幹にとまって、なかなか降りてこようとしないことも多い。
　今回はアグリアスはどうでもよいと思っていたのだが、やはり行けば見たくなる。　ペルーアマゾン地域でもっとも普通に見られるのがアミドンアグリアスだ。普通と言っても、今回は一度だけしか現れてくれなかった。　ぼくはアグリアスはブラジルのいろんな地域で見たけれど、アミドンアグリアスに出会ったのはペルーに来た今回が初めてだ。やや小型のアグリアスで迫力には欠けるが、愛らしい感じがすると思った。　
　今日からはしばらく、小諸からの日記は時々にして、ペルー昆虫記をアップしていきたいと思っているので見ていただけたらと思う。



講演会のお知らせ
海野和男特別講演会「虫と自然の世界を撮る」が下記の日程で開催されます。東京では久しぶりの講演会です。ふるってご参加ください。写真ファン向けですが、お子さまでも楽しめるようにします。
2006年12月23日(土・祝) 開場12:00 開演13:00　浜離宮朝日小ホール(朝日新聞社 新館2階)
詳細申し込み方法は上記リンクをクリックしてください。